アイヤッパへの道 vol.10

2017.08.03 (Thu)
第10話 インド人の日常

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連日のパーティは乾いた朝の光の中に溶けてゆき、遠方からやってきた親類、友人たちはまたの再開を誓い三々五々ホテルを去ってゆく。

写真は笑うブッタ / Laughing Buddha 日本でいう七福神の布袋さんです。流行しているのか、いろいろなところで目にします。
私たちも誰もいなくなったホテルを後に、チェンナイ市街の友人の家に移動します。




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リビングで就寝中の友人
アイヤッパ巡礼が終わるまではベットの上で寝てはいけません。
でも、巡礼云々に限らずインドを旅行していると普通に雑魚寝している姿を目にします。というか、ちゃんとベットで寝ているほうが珍しい気がします。

ということで、今夜はインドでよく見るインド人の日常、少彦名が見たインドのあるあるをご紹介いたしましょう。






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“朝起きると知らない人がたくさんいる”

家族なのか親戚なのか、はたまた友人なのか。入れ代わり立ち代わりたくさんの人が何食わぬ顔で普通に出入りしてます。そのうえ見ての通りに我が家のごとくにリラックス。どこからどこまでが家族でどの人が友人で、あ、この人はドライバーさん?主人も奥さんも特に気に留めるでもなく一緒に食事をして一緒にテレビを見てくつろいでおります。
赤いギターは私の旅の道ずれ、私が旅してきた国々を一緒にめぐって見分してきた気心の知れた相棒です。








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お手伝いさんの娘さん。
特に遠慮する様子もなく、家族のように接していました。
朝、一緒に朝食をとってこれから学校です。










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“テレビのチャンネルが500以上ある”

インドは 29 の州と、7つの連邦直轄領に分かれています。当然テレビ局もそれぞれがそれなりに放送していますから、全部まとめたらととんでもない数になるわけです。子供たちが楽しみにしているアニメはほとんどが日本製、ハットリくんもボタン一つで、タミル語からマラティ、ヒンディー語とバイリンガルで放送されています。
でも、どの地方の放送でもやっぱり決め台詞は『ニンニン』でした。

家で退屈しているときは大概 NHK を見てました。日本で見る番組よりも外国人向けにより日本色を前面に出した番組ばかりで、私も知らない日本があったりしてなかなか楽しめました。それにえらくおしゃれな構成で、美しい映像ばかり。おかたい日本の番組とは大違いです。日本食のクッキング番組には早見優さんがレギュラーで活躍してました。
番組と番組の間にちょっとしたコンサートのコーナーがあるのですが、それがまた出色のプログラム。海外のヒット曲を日本の楽器で演奏するのですがそれがまた誇らしいやら美しいやら、涙が出るほど素晴らしいのでちょっと一つだけご紹介しましょう。





Stairway to Heaven-Led Zeppelin
Japanese Cover-Nijugen-Koto



天国への階段  レッド・ツェッペリン 


それでは
お琴の美しい音色を楽しみながらお話の続きを










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“インド人は日本が大好き”

『一般参賀で集まった国民に手を振る天皇陛下御夫妻』
他国の元首のニュースが普通に新聞の記事になっています。取り立てて何があったわけでもないのに天皇陛下の写真が頻繁に新聞に掲載されます。もしかしたら日本の新聞より登場頻度が高いかもしれません。ちなみに、「私は日本から来ました」と答えると間髪入れずに「スーパーカントリー!!」と笑顔で叫びます。





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“笑顔が素敵”

もう、これは皆さんもよくご存知ですね。





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“南インドのほうが食事がおいしい”

これ、バックパッカーの常識。日本で普段目にするインド料理というといわゆるドロッとした北インドスタイルがほとんど。油が多めのこってりしたものを想像すると思いますが南インドのカレーは油控えめ。さらっとさっぱりした味付けが特徴。ハーブ系のフレッシュスパイスも多用して疲れた胃袋にも優しいさわやかでヘルシーな料理です。
南インドで定食を頼むと基本食べ放題です。お皿が空になるとつかつかっと小僧がやってきて無言で無造作にカレーをお皿に放り込んできます。もういりませんといわない限りこの無間地獄は続きますのでインド旅行の際はどうかご注意を。
スパイスは北に比べると辛い傾向にあって中には私でも食べられないのがあったりします。もし辛いの苦手という方はイドゥリやドーサなどを頼んでみてください。全くスパイスを使っていない食事もたくさんあるのでインドにつかれたときは南インドで胃袋を休めます。



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南インド料理シリバラジ 中目黒
南インド料理シリバラジ 水道橋

売り上げに貢献しないとね





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“インドのお菓子は甘い!”

甘すぎます!!砂糖の塊を食べているようです。手も口もすべてのものがベタベタになります。でも、慣れてくると無性にそれがたまらなくなります。乾燥した気候のせいでしょうか、熱風に吹かれて当てもなくさまよう体には即効果のあるカンフル剤です。





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“太ってます”

特に南インドの人は。お金持ちになればなるほどおなかが出てきます。そして太ってる人は、もてます。映画でもタミルの女優さんはふっくらしてます。ヒロインとしてはたぶん日本だとアウトのレベルです。でも、私は好きです。ふっくらしてる女性のほうが落ち着きます。
先ほど南インドの料理は油控えめでヘルシーとお話しさせていただきました。でも、あれだけ食べたら太るのは当たり前です。そのうえ夕食は就寝する直前に食べることが多いです。深夜、おなか一杯のまま布団に入ります。




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“非常に信仰深い”

誰もが知ってるインドのイメージですね。写真は友人のマンションにあるガネーシャの祠、インド人の生活はすべて宗教を中心に動いています。インドという国は地方で言葉も文化も人種も違う様々な国の寄せ集め、でもそれを一つにまとめているのが宗教。生活習慣からものの考え方から倫理観まで、すべては宗教を基本にしています。ヒンドゥ教=インドといってもいいかもしれません。インド人ならばイスラム教徒でもキリスト教徒でも、根底に流れるのはヒンドゥの教理のようです。
だからと言って日本人の私たちが彼らに引け目を感じることなどありませんよ。インドに行くたびに彼らと接触するたびに、私は日本人の持つ宗教性を深く感じることができます。私たちが普段意識することのない日本の日常にいきわたった良き日本の神々、「日本人は無宗教だから」などと脅しを使って近寄ってくるカルト信者にはくれぐれもご注意を。





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カーリーが憑依した人、みんなからお賽銭貰ってました。



“幽霊を異常に怖がる”

これは日本とインドの環境の違いからじゃないかと考えてます。
だって、インドで闇夜に山の中歩いてたらトラに食われるか蛇にかまれるか象に踏んづけられるかして死んでしまいますから。






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“カメラを向けるとポーズをとる”

別にあなたをとってるわけじゃないんだけど・・・








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“カラスが小さい”

というか日本のカラスがでかい。








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“ポトスがでかい”

おなじみの観葉植物、人の顔ぐらいあります。でも、これはまだ小さいほう。雨期になるともっとでかくなって子供一人乗れそうです。



ほかにも、シャワーは朝浴びるとか、朝起きたら忙しくてもチャイは必ず飲むとか、う〇こは左手で拭くとか、お金は右手で渡すとか。
インドのことがなんとなくわかったところで、最後に、インドの食事風景をご覧ください。お皿はバナナの葉っぱ、右手でひたすらにぎにぎしています。食べ終わった後はまるで舐めたかのようにお皿の上はピッカピカ。よくも指だけであんなにきれいに食べられるものかといつも感心します。
インド人の食べる様子を見ていると日本でよく話題に上る『カレーとご飯は混ぜるべきか』という議論がいかに不毛なものかよく理解できる事でしょう。そう、カレーの食べ方にはルールはないのです。けっこう、左手も使ってるし。





カレーを食べる人








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アイヤッパへの道 vol.8

2017.07.24 (Mon)
第8話 Mahabalipuram


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旅の途中で出会った美しい人、中国は上海のSandyさんに別れを告げ、後ろ髪を引かれる思いで少彦名は独り、マハーバリプラムの丘を登ってゆきました。
再び彼女の写真を載せた理由ですか?それは単なるアクセス稼ぎ、私のような世のスケベ紳士が放っておくはずはありません。

さてと、気を取り直して




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抜けるような青空、とにかく暑いです
海から近いので風がしっとり湿気があって暑いといってもまだまだいいのですが、それでも病み上がりの体にはこの直射日光はさすがに堪えます。



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7世紀から8世紀の古代遺跡、マハーバリプラムの寺院は岩山を切り出して作られています。それはそれはすさまじい熱意と労力です。

さて、今夜はこの少彦名がインドの名跡をガイドいたしましょう。
『マハーバリプラムの歩き方』 ささ、皆さま、くれぐれも私からはぐれないように。




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まずは牛の神様 『ナンディ』 
どこのお寺に行っても大概出会うことができます。第4話の乳海攪拌で生まれた牝牛と聖仙カシュヤパの子、シバはこの牝牛に乗って移動します。






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krishna mandapa
クリシュナをまつった洞窟寺院です。
クリシュナはビシュヌのアバター。維持の神、ビシュヌの化身の一つ。この寺院に描かれているのは、インドラとクリシュナの戦いの物語。古い神、雷神インドラを人々が恐れまつる様子を見て、そんな自然を恐れるよりも真理を学び人心を整えなさいと、今年のインドラ祭り中止!って村人達を諭したものだから当のインドラ怒りまくって大洪水を起こしちゃった。クリシュナはゴーヴァルダナ山を片手で差し上げて大雨からみんなを守りました。戦いにも勝ってインドラを撃退。バラモン教の神々がヒンドゥの新たな神にとって代わられる過渡期を描いた神話です。大洪水の話は旧約聖書などほかの宗教のなかでもいろいろと語られてます。






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マハーバリプラムにあって中心的彫刻
『Arjuna's Penance』 アルジュナの苦行です。アルジュナはマハーバーラタに出てくる英雄、シバとアルジュナの友情の物語です。インドの神様オールスター出演、真ん中の割れ目がインドの聖地、ガンジス川、その周りをインドの神話が巻物のように描かれています。レリーフの語る物語には様々な解釈があるようで、今後も新しい発見があるかもしれません。






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お父さんがお母さんの毛づくろいをしてあげてます。赤ちゃん子ザルがおっぱいを飲む仲睦ましいおさるの家族。





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石を積んで作ったのではありません。
岩をくりぬいて彫り出したガネーシャのお寺。ここにはこんな寺院がゴロゴロあります。





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Varaha Cave Temple
ビシュヌの化身、イノシシの顔を持つヴァラハとバラハの妻。母なる海、大地の母、ブーデヴィ / Bhuma DeviまたはBhudevi です。
バラハの手にはシャンカとチャクラ、 shankha はホラ貝、日本で仏事にホラ貝を吹いたり戦いのときに時の声として吹いたりするのはここからきています。chakraは法輪、チャクラムという鉄の輪でできた武器のこと。仏教でも煩悩を断ち切るものとして語られています。チャクラムと日本とのかかわりを謎の守屋神社のなかでちょこっと触れてますので興味があればのぞいてみてください。イノシシの神、バラハも大洪水から人々を守る神として神話の中に現れます。






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インドの人って写真が大好き
さあ、撮ってもらいなさい、お母さんの言われるままにカメラの前ではにかむ女の子。特に写真送ってとか後でいうわけではないんですけどね。





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Trivikrama、トリビクラーマ、またの名を Vāmana / ヴァーマナ。これまたビシュヌの化身です。
子供の乞食の姿でこの世に現れ三歩歩いた分だけ土地を頂戴と約束してそのあといきなり巨大化、世界を全部取っちゃった悪い子です。周りの神様たちがひえーと恐れおののいております。







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空が綺麗ですね
でも暑いです。カラータイマーが点灯し始めました。






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ヴィシュヌかな?ホラ貝とチャクラムを持っていると思われます。




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お隣、三神の中央はシヴァ。リンガ、石塔がありますから。




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左側がブラフマー
世界のすべてを作り出した創造神です。
しかし今ではほぼ信仰の対象となっていません。この辺がキリスト教と大きく異なるところ。ヒンドゥは世界を作り出した創造神に絶対的権力を与えることはなかったのです。






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紹介するのを忘れてました
Varaha Cave Temple のGajalakshmi、ラクシュミはビシュヌの奥さん、ガジャは象のこと。両側を象が囲んでいるのを特別に区別してガジャラクシュミと呼びます。ラクシュミは日本では吉祥天のこと。ちなみに吉祥天と双璧をなす美女の象徴、弁天様はサラスバティ、ブラフマーの奥さんです。ガジャラクシュミの二頭の白い象はブッタの誕生の象徴だといいます。また、ガジャラクシュミをブッタの母、Mahamaya 摩耶夫人と同一視することもあるようです。が、しかしながらこれらは後年、後付けでくっつけた民間信仰の一つでしょう。バラモン教から誕生した二つの宗教、仏教とヒンドゥ教はその様相を磁石の両極端として、ヒンドゥ教は世界のすべての神々を肯定し受け入れることで世界に安定をもたらし、仏教はあらゆる神を否定することで現世に平和を願った。やり方は全く異なりますが目指すところは一緒のようです。ちなみにブッタもヒンドゥではビシュヌの化身の一つになります。







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最後に紹介するのはバターボール。
丘の斜面で踏ん張っている不思議な大岩です。
写真は観光客にしっぽを踏んづけられていそいそと逃げだす一匹の野良犬。また新しく日陰の寝床を見つけなければなりません。






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ここ来るとみんなこれやります。
わかっていても見ているほうはハラハラします。






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今夜の少彦名観光ツアーはこれでおしまい。
でも、実は見どころの半分もご紹介していません。やっぱり病み上がりにこの暑さはしんどい。前に一度来て見ているし、またくることもあるかとおもって帰ってきました。でも、結局マハーバリプラムに再度訪れることは無く、無理してでも周っておけばよかったと今になって後悔しています。写真は帰りのバスであった女の子、メヘンディというヘナで手のひらに模様を描くインドのおしゃれです。








Daler Mehndi - Bolo Ta Ra Ra





この方はインドのミュージシャン、ダーラ・メヘンディ、先ほどのおしゃれ、‎MEHNDI と同じ名前です。私がひそかに音楽の師匠とお慕いしてる方。インドの西方、砂漠の地、ラジャスタンの出身です。インド国内で不動の地位を獲得した彼でしたが、日本で行われたコンサートの来日の際に人身売買目的で同行者の不法入国を斡旋、逮捕された上に本国で実刑を受けその名声は一瞬で地に落ちました。それでも彼の音楽は輝きを失ってはいない。芸術自体には罪はないですから。




Daler Mehndi - Dardi Rab Rab Kardi




Daler Mehndi - Ho Jayegi Balle Balle




Daler Mehndi - Tunak Tunak Tun













アイヤッパへの道 vol.7

2017.07.21 (Fri)
第7話 初めてのおつかい

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その日も朝早くから起きだして、みんな明け方近くまで騒いでいましたので起きているのは私一人。同居人を起こさないようにシャワーを浴びてひげをそって、カメラと着替えのTシャツをナップザックに詰めたら、おっと、かぜ薬も持って行かないと。レストランで軽く、ウタパンとオレンジジュースで朝食を済ませてホテルのガードマンさんに聞いていたとおりにハイウエーを横切ってローカルバスのバス停に向かいます。










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バス停といっても日本のように目印があるわけでもなく、三々五々、人が集まっているところに、『この辺かなぁ』とあたりをつけて一緒になってバスを待ちます。







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ちょうど通学、出勤の時間だったのでバスの中は結構混んでます。
大学生かな、女学生がたくさん、ファッションのこととか話してるのでしょうか、学校までの道のり、友達と思い思いに会話を楽しんでいます。
みんなには黙って出てきてしまいましたからあとでこっぴどく叱られるんでしょうね。でも、せっかくインドまで来たんですから一日ホテルでボケっとしているわけにはまいりません。体の調子もあまりよくないけれど具合が悪くなったら引き返せばいいことだし、とにかく今年初めての『初めての一人旅』なのであります。





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途中、目の前の席がちょうど空きまして座らせていただきました。本来なら女性に席を譲るところですがそういう訳にも参りません。
これは決して体の調子が悪いからというわけではなく、なぜならインドのバス、インドのほかの地域は知りません、チェンナイの市内バスは右の座席が男性、左の座席が女性、そう決まっているのです。混んでいましたが吊革につかまって立っている男性は私一人、あとは女性ばかりです。気兼ねなく座らせていただきます。






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乗り換え地点、タンバラム/Tambaram に到着。大きな町です。近くに駅もあってバスターミナルとしてもかなり巨大なチェンナイ郊外の交通の要所、当然排気ガスもすごいです。また喉をやられてしまいます。





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雑踏の行き交う歩道の地べたに店を広げている露天でバナナ買って、そのバナナをつまみながら次のバスはどこかいな、出発前はすぐに見つかると高をくくっていましたがこれだけ巨大だと初めての訪問者としては、それもタミル語のわからない日本人にとって乗り換えのバスを見つけるのは至難の業、目的地まで出るバスの本数はそれほど多くないとみてますし、乗り遅れてこんなところで待ちぼうけでは病み上がりの体は干からびてしまいます。それでもあちこち聞きまくった挙句やっと乗り換えることができました。
でも、こういったハラハラ感って一人旅の醍醐味なんですよね。









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一番前の席に陣取って、左側の席だけど大丈夫?ほかのお客さんに目くばせしたら皆さん座っていいですよって。混んでいなかったからいいのか、この路線はいいのか、私が日本人だからよかったのかわかりませんが絶対に右が男性、左が女性ということでもないようです。





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途中、海の見える海岸線を走り二時間近くかけてやっと到着いたしました。南インド屈指の観光地、マハーバリプラムです。





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二度目の訪問、一度目に訪れたのはもうずいぶんと前、10年以上昔のことです。そのころとは街の様子は変わっているでしょうか?以前は石屋が点在していたほんの小さな村だった記憶があります。
さて子手始めに終着駅のすぐ目の前、スタルラサヤナ・ペルマル寺院 / Sthala Sayana Perumal Temple にお参りです。
二枚上の写真が全景、南インド寺院特有のゴプラム、塔門が見えます。
現在修復中のようですが屋根の上に『 アナンタ / Ananta 』寝そべったビシュヌの化身を見ることができます。ということはこの寺院はビシュヌをまつったもの、第4話でもお話ししましたがビシュヌはたくさんのアバターを持っています。ヒンドゥ教はたくさんの神話、無数の土着の神々が集合してできたもの、形があってないような不思議な宗教です。しかし一定の経典もない、一見とらえどころのない神話と教理、教義の集合体ですが、しかしながら私はこれこそが自然な形の本当の宗教だと思っています。
マハーバリプラム / Mahabalipuram は古代インドの寺院群が見れる考古学的に貴重な場所です。ガイドブックに載っている名跡を見て回るのもいいですが、現在、こうして日常的に機能している寺院もぜひ訪れたいものです。





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中は暗く静かで、ちょうどお昼時でしたから信者の方の数も少なくゆっくりお参りすることができました。昨夜の初もうではあいにくお寺が閉まっていましたのでこれが本当の今年初めての初もうで、途中、白髪の老人が手招きして私の全くわからないタミル語でお寺のガイドを始めましたが境内を連れ立って歩くその途中、私の目の隅に一瞬映った麗しきたおやかなる人影、その影は寺院の暗闇の中を柱から柱へ、私の前を蝶のように見え隠れしては通り過ぎてゆきます。
もうすでに、老人の声は耳に届きはしません。




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長い長い説明の後、予想していた通り右手を目の前に差し出す老人。彼には申し訳ありませんが追い払う意味もかねて最初から予想していた案内料のチップを渡すと、私、普段ならそんなお金を容易に渡すなんて、そんなことしませんよ。勝手に近づいてきて説明し始める人って観光地にはよくいます。まれに寺男の方が説明してくれる時がありますがそういう人はあちらからチップを請求する事はありません。そういう時はこちらから感謝の意味も込めてお布施致します。
でも、正月だし、おじいさん、とても人がよさそうだし、目的を果たした老人は小さい体をくの字に曲げてその場を離れていきましたから、二人きりになったところを見計らってさっそく彼女に話しかけてみました。見た感じ、地元の人とは見えないし、ヨーロッパの人でもなさそうだし、彼女もこちらには興味があったみたいで快く挨拶をしてくれました。






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上海からやってきた中国の方だそうです。
今年初めて会った、それも特別美人なお嬢さん。もう明日にはデリーに発ってしまうということで、残念、再開は果たせずじまいでしたがこんなきれいな人と一瞬でも巡り合えたのは本当に幸運なことなのでしょう。
メルアドやら電話やらしっかり聞けばいいものを、私のブログの文面では全く感じることはできないでしょうが私は元来女性に対しては非常に奥手な者で、え、信じられないって?この日のようにこちらから声をかけるなんて本当に珍しいことなので、しかしながら寺院の中で私と彼女二人きり、旅行者同し無視するのも後々気まずいし。勇気を振り絞って声をかけた次第でございます。ちょっと話は変わりますが、私の長い人生の中でいまだかつてこちらから女性に交際を申し込んだことはありません。だいたいが女性のほうから、いわゆる逆ナンてやつです。しかしそれも今は昔、遠い過去の物語。だいたい山にはシカやキツネはいても女性は森には生えていませんから。






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誠にやることなすことじれったい少彦名ですが、今夜のお話はこの辺で。
肝心のマハーバリプラムの観光写真は次回掲載いたしましょうか。観光地の写真は巷に溢れていますので特に目新しい記事にはなりませんけど、折角撮ってきた写真だから次回もお付き合いのほどをよろしくお願いいたします。









Wo Wo Ni Ni 我我 你你 ‐ Dick Lee






当ブログ、唯一の二度目の登場
もう二度と会うことのできないあの人に













アイヤッパへの道 vol.6

2017.07.19 (Wed)
第6話 盲目の音楽家

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今年の正月はインドで、尚且つインドのインフルエンザで一月一日から寝込んでいました。
ホテル内は来賓のお客で大賑わいしている中、独り青い顔で寝込んでいる日本人、
今年は元旦から何もかもが普通とは違います



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2017年、病み上がり最初の食事
日本人はお蕎麦でしょってことでお勧めで出てきたけど、麺にはうるさい日本人だから・・・
申し訳ないけどやっぱり正月は雑煮ですね



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そのうち部屋が満室ということで移動することに
一部屋を一人で独占することはできないのでみんなと相部屋に
彼らインド人はそれこそ雑魚寝には慣れていて逆に一人で寝ることのほうが少ないくらい
病人なのでベットは何とか確保できましたが寝ているそばから連日のパーティーで酔っ払って帰ってきたのが床で寝るわ鼾はかくわ、頼むからクーラーだけはかけないでねとあれだけ言ったのに凍えるくらいにクーラーかけ始めてインドでも東南アジアでも馬鹿みたいに冷房をかけておかげで旅行のたんびに体調を崩すという経験は旅慣れた人なら一度や二度は経験しているはず。このままでは本当に殺されてしまうと、今夜はもうベットで寝るのはあきらめよう。毛布片手に部屋を抜け出して廊下のソファーにシーツにてくるまって熱い体を休めていたら、いったいなんでそんなとこに寝ているととがめられ、これこれしかじか、やんごとなき理由を話しまして、それだったらこっちの部屋でおやすみなさい、先客がいるけど彼は冷房かけないから。

寝ている先客を起こさないように真っ暗な中忍び足で指定された部屋のベットに。荷物は明日取りに行けばいいし、とりあえずこのまま寝てしまいましょう。暗闇の中電気も点けづにこっそりと、でもよくよく考えてみたら同室になったのは目の見えないお目くらさんのミュージシャン。電気つけようがつけまいが一向に関係なかったんです。





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おかげさまで次の朝は昨日よりもだいぶ調子が戻って、のどは相変わらず痛いけれども気持ちよく目覚めることができました。隣のベットでは先客が何も知らずにすやすや眠っています。テレビをつけるわけにもいかず、シャワーを浴びることもできず、ただぼけっと外を眺めていますとのど元がむずむずと、ついに我慢しきれず、喉の底の胸の奥から大きな咳を続けざまにこんこんと。突然の咳の音で起きてしまった同居人、もぞもぞとシーツの中で寝返りを打ち半身を引き起こして「誰ですか?」と虚空を見上げて問いかける。

「私はジャパニ、おはようございます!」

その時の彼のあわてっぷりったらなかったです。「あ、いや、日本人、これは、その、とんだことで、こりゃ大変、大変な失礼を・・・・」
今まで寝ていたベットから飛び起きて、まるで宙を泳ぐように手足をバタバタさせて、最終的にはベットの上で正座してしまいました。その様子を腹を抱えて笑う私は、咳と笑いでむせ返りながら自分の名前とあいさつと、そんなに慌てなくていいですよと彼をなだめるのとをいっぺんにしなければいけませんでした。



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同室のよしみ、これからしばらく、どうぞよろしくお願いします

彼は音楽の教師で、でも正規雇用ではないので暮らしはなかなか厳しいそうです。子供が一人いて奥さんも優しい人。
どこの国でもそうですが特にインドだとハンディキャップのある人にはとても親切な印象があります。目が見えないのも、足が不自由なのも神様のお考え、神様が与えた何かのしるしのように神聖視することもあります。
お目くらさんといえば私の好きな作家、内田百閒の作品にちょくちょく顔を出す宮城道雄を思い出します。いわずと知れたお琴の大家で百閒とは親友の中、幼少のころに失明し百閒は彼のことを『お目くらさん』と親しみを込めて呼んでいます。百閒が彼の家に行くといつも部屋は真っ暗で右も左もわからない、その様子を宮城検校は、健常者というものは誠に不便ですね、と揶揄します。



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事あるごとに彼の世話をし、彼も安心して私に何かを頼んでくる
風呂場の歯磨き粉を取ってあげたり、笛がニ十本も入っている重いバックを持ってきてあげたり。こんなことを言うととても僭越ですが人の役に立てるのは至極気持ちのいいこと、正月から思わず心安らかな平和な日々を新しい友と過ごすことになりました。



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夜は初詣、なのかな?
インドに初もうではあるのか知らないけど、だいたい事あるごとにお寺に行きますから初も最後もないのかもしれませんけど、私としては心新たに迎える新年ですから何かいいことがあるようにと強くお願い申し上げます



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この旅は観光地というものにまず縁がない旅行なのでインド紀行としては物足りないかもしれませんがしばしお付き合いを
それでは今夜はお話の最後に彼の演奏を聞いてください。
路傍の花売りも、海岸の魚屋も、盲人の笛吹きも、今は遠く離れた友人たちに思いをはせて
















最後は音楽の先生によるかわいい授業













アイヤッパへの道 vol.5

2017.07.17 (Mon)
第5話  Unhappy New Year

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空港に降りたその日のうちにのどをやられ、インドでの大みそかはついにベットの中で迎えることになりました。
胸の奥のほうからこみあげてくる重たい咳、始まると呼吸困難になるほど止まりません。
空気は非常に乾燥していて日本でもインフルエンザのはやる時期。大気の汚染もありますが日本人にとって全く免疫のない未知のウイルスが悪さをしているのでしょう。
きっと計ったら40度近く熱はあったと思います。




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インドの薬を飲んで半病人ながらなんとかパーティーに出席
突貫工事で仕上げていた地下のラウンジは作業完了して見事、パーティーに間に合わせることができました。
お友達から親類から、映画俳優から政治家から2~300人はゆうにいるでしょうか、元気だったら賑やかにやるんでしょうけど、音楽も耳に入らない。



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プロの歌い手さん、映画なんかでも歌ってて有名な人だそうです。女性のほうは親類だったかな、お嫁に来て今は普通の主婦をやってます。




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映画業界の面々
日本で撮影する際はよろしくお願いいたします。





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宴も最高潮、私の体温も限界に近付いております。




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ホテル・ヒラリティ・インのスタッフ
笑顔のかわいい明るい人たちばかり
この笑顔がインドの何よりのおもてなしです。






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カウントダウンでハッピーニューイヤー
ホテルのお客さんも、近所の住人も交えての新年の宴
日本から3時間30分遅れのあけましておめでとう






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なんとか新年を迎えることだけはできました
地元のコーラをもらって部屋に退散、「Bovonto」はタミルナードの飲料メーカー、一本50円くらいです。
昔はチェンナイ市内に300の飲料メーカーがあったそうで、コカ・コーラやペプシとの競争で現在残ったのはこの会社を含めてほんの数社、日本でいえばチェリオみたいな会社かな。
味は炭酸弱め、チェリーコーラみたいな味がするけど後でホームページ見たらブドウのフレーバで風味付けしてるんだって。
余談ですが3月にインドの流通業者がコカ・コーラやペプシのボイコットを打ち出したそうです。実はタミルナードは去年から続く大干ばつ、大義名分としては地下水を大量に汲み上げる巨大企業への制裁という意味も大いにあるのでしょうが地元に愛される企業を守りたいという地元っ子のタミル魂が運動を下支えしているようです。

残念ながらせっかくのパーティーなのに今日は書けることがあまりありません。日記の体裁を整えるための関係ないこんな与太話のみ。しかしインド紀行文のインドの新年、一つの区切りとして書いておかないと。
さて、早く治して明日から仕切り直しです。







Disco Dancer (1982)
Auva Auva Koi Yahan Nache





ホテルの部屋のカーテンと重なってニューイヤーパーティーのミラーボールの光が熱に浮かされた目ににじんで見える。ベットに横たわる私は現実と幻のはざまで、沸騰する脳みその中は歌い踊る歌姫のコーラスと交錯するまばゆいネオンで私の体は無限の宇宙に放り出されてしまいました。私は誰?ここはどこ?それでも病床のあの切ない孤独感がないのはきっとたくさんの友達に囲まれているからでしょう。
第一話、アイヤッパへの道 vol.1でも紹介した映画『Disco Dancer』の挿入歌、イギリスのバンド、バグルスの曲『ラジオ・スターの悲劇』の丸パクリです。作曲したのはカルカッタの巨匠、『バッパ・ラヒリ/BAPPI LAHIRI』以前紹介した曲と合わせてご堪能ください。私のようにおかしな気持ちになりたい人はBAPPI LAHIRIで検索するといいかもしれません。変な曲ばっかり。




Bappi Lahiri
Yaad Aa Raha Hai Tera Pyar Kahan Hum Kahan





バッパ・ラヒリの作品、『ディスコ・ダンサー』からもう一曲、こちらもなかなかのもの。結構いろんなところで耳にします。ところでそんなにギター振り回したら危ないって!
この映画は世界的に好調な興行をあげたようで、意外なところではソ連などでも大ヒットしています。
映画と同名の曲、アメリカのテクノバンド『ディヴォ/DEVO』のDisco Dancerはこの映画にインスパイアされて制作された曲。




The Buggles - Video Killed The Radio Star




元曲がこれ
とりあえずちゃっちゃと簡単に済ませようと思ったら、今日もしっかり書き込んでしまいました。
ア♪ハナチェナチェ・ハナチェナチェ♪












アイヤッパへの道 vol.4

2017.07.14 (Fri)
第4話 アイヤッパ インドの神々

Ayyappa アイヤッパ




アイヤッパ Ayyappan または Ayyappa

Ayyanは敬意を表す言葉。Appanは父親。ケララやタミルナードの南インドを守る神の一人。守護神の頂点に君臨する鎮護の最高神です。
乳海攪拌の神話、アイヤッパは神々と悪魔の争い、呪いによって力を失った古い神、インドラやスーリヤを助けに来たシバ、ビシュヌ、ブラフマーの連合軍とアスラ達(阿修羅)の戦いの過程で生まれた英知の神です。ドルバサの怒りを買い呪いをかけられた神々の霊力を取り戻すため、不老不死の妙薬、アムリタ(甘露)を作り出そうと神々は曼荼羅山を回転させてミルクの海をかきまわします。乳海攪拌は月や太陽など世界の様々なものを生み出し、ついには、ビシュヌたちはアムリタを手にすることに成功しました。しかし、再びアムリタをめぐって神々と悪魔の争いが起き Amrita はアスラたち魔族の手におちてしまう。一計を案じたビシュヌは美しい娼婦、モヒーニ / Mohini に変身、悪魔たちを誘惑し、そのすきにアムリタを無事奪い返します。しかし、それを見ていたシバはその美しい娼婦に一目ぼれ、彼女がビシュヌの化身とは知らずに激しくアタック。その結果アイヤッパ神が生まれました。








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英知と勇気の神、アイヤッパはシバとビシュヌの子供。男神同士の子供であり、と同時にビシュヌのアバターの一つでもあります。南インドのみ、北インドでの信仰は見られません。マハーバーラタやバーガヴァタ・プラーナに現れる乳海攪拌の物語を読んでいただき、そこから感じられる通り、この神話では古くからの神々が実力を失い新しいヒンドゥの神が台頭してゆく。世代交代の過程が描かれています。現在、古い神のいくつかは人々から忘れ去られ、またある神は姿を変え、またある神は悪魔に身を落としてゆく。そんな中、ケララの一地方神であったアイヤッパがヒンドゥの神々と習合して生き残ってゆく過程が見て取れます。北から侵入してくるアーリア人の文化と飲み込まれてゆく古いインドの伝統が混然一体となってミルクの海に溶けてゆく。時に名を変え、時に姿を変えてあらゆる神々が再編成されてゆく。この辺がヒンドゥ教の面白いところ。キリスト教世界のように他者を否定し異文化を蹂躙し完膚なきまでに滅ぼしてしまう。黒か白かの一神教と違ってすべてをあるがままに容認し、分け隔てなく尊重し、なおかつ共存してゆく。平和で争いのない社会を築くための優れた選択が東洋の英知として目の当たりにできる物語です。








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日本の国産みの神話、伊邪那岐と伊邪那美が海(女陰)に天の沼矛(男根)を差し込み、かき混ぜ、抜き取った時に落ちたしずくが日本列島になったという神話に似ていますね。
とすれば日本は神々が作り出した甘露、日本のこのおおらかさはインドや東南アジアに共通するものかもしれません。







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今日はチェンナイのアイヤッパ神社にお参りに来ています。この旅行の一番の目的、サバリマラ巡礼はアイヤッパ神を信仰する人々が一所に集まる世界でもまれな大巡礼の旅。村の代表として巡礼に選ばれたこの若者たちは各地に点在するアイヤッパ神の別院で出発前の祝福を受け、皆に代わって神となり、巡礼の終わるまで菜食に徹し、睡眠は床でとり、たばこや酒はもちろんのこと様々な禁欲生活の中でアイヤッパの山を目指すことになります。






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お参りを終えて、その後、お友達のところを挨拶回り
インドに招待された日本人の大事なお仕事です。中にはとんでもなく偉い方もいらっしゃいます。









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この子は特には偉くないですが、ちょっと変なお顔してますね。
昔、インドではあまり見かけませんでしたが最近は犬をかわいがっているのをよく目にします。
インドで犬は『クッタ』。汚い下等な動物とみなされていました。インドで犬がペットとして受け入れられ始めたことは動物が好きな私にとってもうれしいこと。ゴムまりのように女の子の後について走り回っていました。
ちなみに、ご飯を食べた後「あー食ったクッタ」というとインド人が笑います。









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インドの占い『アガスティアの葉 / Nadi astrology』のナディ・リーダー、インドでも20人いない導師の一人です。とてもすごい先生なのですが全く屈託のない笑顔のかわいいチャーミングな人。アガスティアに関しては別稿で書きたいと思いますが本当に読める人は世界にもほんのわずかしかいないということだけ今は記しておきます。






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インドで年の瀬、今日はお休みなのでしょうか。
この辺の海は波が高いです。泳いでいる人は見たことがありません。波と戯れる平和な風景。
半月後、この静かな海岸はある事件がきっかけに大群衆で埋め尽くされることになります。
少彦名も大活躍、こうご期待!









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海岸沿いに開かれた露天市
南の人は魚をよく食べます。
確か十年以上前にこの海岸には訪れた記憶があります。
その頃は砂浜の上に建てられたゴミや流木で作った掘立小屋に裸同然で漁師たち家族が暮らしていました。
今では政府からの援助で一区画にアパートをあてがわれ、それなりの生活水準で暮らしていけるようになったといいます。








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日本で見る魚も、見ない魚も、サメなんかも食べるんですね。
安くしとくよ、兄さん買ってきなさいよ。






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「写真撮るならお金置いていきなさいよ。私、こう見えても高いんだからね!」

こちらも負けてはいられません

「漁師の村の女性は何でこんなにも綺麗なんですか?笑った顔がまたチャーミング!やっぱり毎日魚を食べてるからそんなにきれいなんですよね。」

あーらやだよこの人ったら!
彼女は照れてそれでも嬉しそうに隣の売り子たちと笑っています。
どーやらこの勝負、私の勝ちのようですね。






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チェンナイの空気が悪いのか、のどが痛くて体がだるいです。
第一話でもちょっと触れましたが到着早々、埃と排気ガスでのどをやられたみたいです。あらら、明日はハッピーニューイヤー、ホテルで年越しのパーティーがあるのに。私は風邪をひくと高熱に悩まされる体質。特にのどは少彦名のウイークポイントです。実際、この旅の間一か月、いや、帰ってからも半月以上、咳が止まらず時に高熱に侵される毎日でした。
どうぞ、海外に出掛ける際は日本製のマスクをお忘れなく。







Chennai Driving to Nivedhanam






インドの車窓から
クラクションなりっぱなし、車線無視の無法地帯。割り込み、逆走何でもあり、牛がいないだけまだましです。







アイヤッパへの道 vol.3

2017.07.08 (Sat)
第三話 Drishti Bommai

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到着して二日目、ハイウエーを挟んでホテルの向かいにある小さな村を訪ねます





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幹線道路から一歩入ると、そこは数軒の平屋が点在する静かな村。開発から取り残された人々がささやかに暮らしています。





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コの字になった道を挟んで、土埃の舞う荒れ地に二十軒ばかり、ブロックやレンガで積まれた簡素な家がぽつんぽつんと点在しています。





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カメラを提げた東洋人、遠目で見ていた村人はそんなよそ者にも優しく微笑んでくれます。
「ナマステ、フォト・プリーズ」
彼には写真をあげるよと約束したのに近くに現像屋もなくついに手渡すことができなかった。
また会いに行かなきゃな






Drishti Bommai




新築現場につるされた不気味な人形、壁には舌を出した真っ赤な鬼のお面も見えます。
ドゥリシティ・ボゥマイ、邪気を払うおまじないです。






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Drishtiとは邪視のこと、英語で言うと『Evil eye / 邪悪な目』、嫉妬や羨望が人に災いをもたらすという民間信仰です。あのお面は自動車やトラックのフロントなどいろんな場所で見ることができます。つるされた人形は新築の家の中に獣が入ったりしないようにという案山子の意味もあるようで、ただし北のほうでは見たことがありません。
ドゥリシティから身を守る方法は地方によっても、またその対象が家だったり車だったり人だったり、動くものなのか動かないものなのか、生きているのか命のないものなのか、様々な状況により異なってきます。北インドではあの真っ赤な仮面も見ませんでした。その代わりにライムやトウガラシを糸で縛った魔除けを玄関先で見ることができます。
ちなみに家が出来上がった時にはあの人形は邪気と一緒に燃やされてしまいます。お面のほうは壁にかけたままドゥリシティから家族を守ることになります。



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多すぎる『おめでとう』が受けたものに災いをもたらす。人類学者、マルセル・モースが『贈与論』で紹介した「ハウ/物の霊」に似ています。贈り物、タオンガ/taongaに宿ったhau/物の霊をため込んでしまう、クラ/Kura(交易)の風/Hauを止めてしまうとそのものに災いが起こる。多すぎるおめでとう、溜まってしまった「Drishti」が人を取り殺すわけです。モースの著書『贈与論』に沿って改めてインドの現代社会を見てみると、インドの経済というのはモースの言う「potlatch」、富の再分配をいまに継承する、ポトラッチを現代に具現化した経済活動に他ならないように思えます。すぐに思い出すことができる事例、近近の出来事で記憶に新しいものとしてはタタ財閥の製造販売した大衆車、「タタ・ナノ」の存在ではないでしょうか。このプロジェクトの発案者であり総責任者のタタ・ラタン会長はこの事業に関して自社の利益を二の次に、けっして裕福ではないインドの大多数の大衆に向け、自動車という現代の利便性、社会インフラとしての乗用車という財産を分け与える決断を下しました。結局事業としては大赤字で大成功というわけにはいかなかったようですが、この辺の考え方は同じ新興国である中国とは大いに違うところ、インド人の持つ美徳の一つといえるかもしれません。
そしてその美徳の恩恵に大いに浴することになった少彦名、今回の私のインド旅行こそがまさにその『ポトラッチ』なのです。私を招待してくれた友人はこの私に対して見返りを期待することは全くありません。無償の善意によっていま私はこの国にいるのです。



もし、分け与えることなく私利私欲のために貯めこみしまい込んだ食物をとる者があれば、

「食物の本質を殺し、また摂られた食物に殺される」

マハーバーラタ、ブラーフマナの教義に見える言葉です。
また私はマハーバーラタの言葉を借りてこうも言う。

「王よ、王から物を貰うのは、はじめは蜜のように快いものだが、終わりは毒になってしまう」

私が多くの人から受けた恩恵に報いる日はいつか来るのでしょうか?






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改めて贈与論を読むことになるとは思わなかった。
学生当時は何か遠くで起きていることのように、ただ知識の充実という自尊心のためだけに、いやいや読んでいた気がする。それが何年もたってふとした拍子に腑に落ちるという事もあるものだなと。辛いカレーを食べ続けて、甘すぎるインドのお菓子をほおばり続けて「いったい、これのどこが美味しいというのだろう?」などと思いながら旅のバスの窓をふと見上げると突然にひらけるデカン高原の、あの抜けるような青い空、すっとそれら郷土料理の本当の味と秘められた意味を突然のように理解する。
キザな言い方をすればそんな感じでしょうか。






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女の子のように見えますが実は男の子、ある年になるまで髪の毛は切ってはいけないのです。日本でいえば元服、七五三みたいなもの。もうそろそろこの子も元気に育ったお祝いに丸坊主にされる時が来ます。
彼の額とほっぺにある黒いあざは墨でわざわざ書かれたもの。これも代々伝わる魔眼除け、Drishtiの一種です。ほっぺにあるのがドゥリシティ・マイ、額がドゥリシティ・ポット、maiはインクのこと、単にPottuというと既婚女性が額につけているあの赤いワンポイントになります。
幼い子に黒いあざをつけるのはあまりにかわいいと鬼や悪魔に連れてかれてしまうから。大事な我が子をケガや病気から守る大事なおまじないです。




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この子たち姉弟は元服が終わったようですね。

細かいことですが『Drishti Bommai』の Bommai は直訳すると『オモチャ』の意味。ここでは単にモノ、グッズぐらいで理解してください。悪運を払うためにお祈りしたりお寺回りをする行為も Drishti と呼ぶので形があるものとして Drishti Bommai と区別して呼ぶようです。





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先ほどの元服前の男の子の家のキッチン
後ろに積んであるのは牛のフンを乾かしたもの。これが火を起こすときの燃料になります






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この子は大きくなったら何になるのかな。
声をかけても何も話さなかったけど村の途中まで見送ってくれました。





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村の入り口のシバ神の祠。
しばらく木陰で犬たちと一緒にまったり
今日はほんの一、二時間、ちょっと歩いただけで思いのほか充実した時間を過ごすことができました。
さて、ホテルのみんなはもう起きたかな。起きていたとしても夜まで部屋でダラダラしてるんだろうし、どうせだらだらするんだったらこの子たちとのんびりしてたほうがいいな。両親そろって5匹の家族。生まれたばかりの三人兄弟、あんまりかわいいと日本に連れて帰っちゃいますよ。

しかしそこはさすがに血を分けた親子、見ての通り見事にシンクロしていました。






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Boom boom madu






どこかで聞いたようなメロディーですね。『Boom boom madu』タミル映画の一場面、『Boom』は首を振る様子、『madu』は牛のこと。装飾された牛と一緒に街を流して日銭を稼ぐ占い師です。Drishti、邪気払いの一つです。

占い師 「この家には近々いいことがあるかな」
牛 「ウン、ウン、良いことがきっとありますよ」

家の玄関先で歌を歌いながら。でも最近はアパートが多くなって訪ねる場所が減ってしまってほとんど消えてしまったそうです。そもそもあまり高級なお仕事ではないようでただただ横で首を振る牛の様子が転じて、イエスマン、太鼓持ちのことを「Boom boom madu」とタミルでは軽蔑して使うそうです。

そういえば日本で首を振る牛の人形といえば「赤べこ」
気になって由来を調べてみたら
「天正年間、蒲生氏郷(がもううじさと)が殖産振興のために招いた技術者から伝わった」
とありました。
さて、その赤べこを伝えた技術者とはどこから来た人たちだったのでしょう。そこでさらに蒲生氏郷を調べてみたらキリシタン大名とのこと、ヨーロッパの宣教師ともしばしば交流を持っていたようで、もしや彼ら、殖産振興の技術者とは西洋の船に乗せられてやってきたインドからの奴隷たち?、いわれてみれば赤べこの全身は目の覚めるような赤い色、『Drishti Bommai』の燃えるような舌の色のようです。さらによくよく見ればあの赤べこの体にある黒い点は?見送ってくれた男の子のほっぺたにあった『Drishti mai』のようでは・・・・・

これ以上脱線するのはよしましょう。
第三話でこのボリュームじゃ一生かけてもアイヤッパにはたどり着けない。





John Lee Hooker - Boom Boom




寄り道ついでに
『BOOM BOOM』といえばこの曲、一時期よく聞いてました









やまびこ

2017.07.06 (Thu)
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パソコンが壊れて修理してシステムがまっさらになったものだから今度はブログにログインできなくて、FC2 IDて何なんだろう?ブログだけやってるから全く必要ないんだけどログインのたびにそちらに連れてかれて、パスワードも別個だったりブログのIDと違ってたりであのままログインできなくて辞めちゃう人も中にはいるんじゃないだろうか?



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朝、6時にゴミ出ししてそのまま田んぼの見回り。雨が続いたから水の量を加減しないとと思って見に行ったら株の間に雑草が茂ってるのが目に入ってしまって、すぐ帰るつもりだったのに。
除草剤使ってないから水の浅いところにじゅうたんのように生えてる。朝ごはんも抜きに結局そのまま午前中、はだしで田んぼの中、転げまわることになりました。





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午後は午後で、畑の草取り、ルバーブを植え替えようと思ったんだけどこの前やったばかりの場所がもう草だらけで結局こちらでも土の上を転がって夕方まで。せいせい虫に刺されました。
ジャガイモ畑、なんだか春先暑かったせいで虫が多くてテントウムシダマシの幼虫がうじゃうじゃ、ニジュウヤホシテントウでググってみて、これが気色悪いんだから。やっぱり農薬撒いちゃえば一発解決なんだけどどうしてもいやなんだよね。この性格何とかならないかな。すっかり坊主になった木もあって全滅ってことも考えたけどこのままだとまたダメかな。人事を尽くして天命を待つ。今更焦っても仕方ないな。





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今日は家の中外のかたずけと思っていたのに思わず一日畑で頑張ってしまったのでご褒美に山へ沢蟹捕りに行きました。空いてる水槽があったのでちょっとの間滞在してもらおうと思いまして。
仕事をかたずけて6時半に出かけても今は日が長いから、それじゃもっと働けよとも思いますがこの時間に畑に行ったら雨上がりのブヨの大群にあっという間にぼこぼこにされてしまいます。実際、右手がパンパンに張れてるんですよね





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ブログお休みしてたのでとりあえず更新しようと思って書いてます。「アイヤッパへの道」第三話は何書こうかもう決まってて、拍手100たまったら明日にでも書こうかな。

今日行ったとこの湧き水、憩いの森『延命水』はとっても冷たくて本当においしいよ。






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森の中を流れる小川もとっても冷たくてそのまま飲めるくらい。
あまりに澄んでいるのでカ二見つからなかったよ。きれいすぎて食べるものがないんだろうね。その代わり何かの卵を見つけたのでお持ち帰り。サンショウウオか川蛙の卵か、孵ってみないとわかりません。





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僕も知らなかったのですがこのキャンプ場、自由に使っていいそうです。周りは全く何にもないけれど水はおいしいし火を囲んでカレーでも作ったら盛り上がるんじゃないかしら。





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畑で取れたズッキーニとトマト、冷蔵庫にあった豚と鶏肉、家の前で生い茂ってるフェンネルとオレガノ、この前整理したにんにくの花芽、味付けはお塩のみ。夏野菜の煮込みだからフェンネル風味のラタトゥイユってとこですね。
お供はカシスリキュールの麦茶&ソーダ割




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こうやって一日が過ぎるんですよね
山に向かって叫ぶと山彦が返ってくるじゃない?
でも、まるっきり山の中だと返ってくるやまびこもないんだよね。
ま、いい一日でした。






Suburban Lawns -- Janitor








すべての出来事、刺激への反応
拡張
収縮
遠隔で操作するの

お水の中で
何か問題でも?
反物質
核反応
ブームブームブームブーム

君の母親は? 誰が父親なの?
血縁なんて見当違いね
君の母親は? 誰が父親なの?
お察ししますわ

ああ、私は管理人
ああ、私の陰部
ああ、私は管理人
ああ、私の陰部 ・・・・





アイヤッパへの道 vol.2

2017.06.30 (Fri)
第二話  Hotel Hilarity Inn

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ホテル ヒラリティ・イン
友人がオーナーの三ツ星ホテル
丸一日かけてのインドへの道のりを経てやっとホテルに到着した私は疲れ切った体にビール一杯注ぎ込んですぐにベットの中に。七時間の時差なんて何のその、自腹じゃっ決して泊まらない見ての通りの素晴らしい部屋でしっかり熟睡できました。




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準備もそこそこ、慌ただしく日本を飛び出してきたこともあり、なんだかインドにいるのが夢の中の出来事のようです。これから一か月、怒涛の海外生活が始まるのですが、まづは到着第一日目。今回宿泊させてもらったホテル周辺のご紹介から。色々お世話になったので少しは彼のビジネスのお手伝いしませんとね
ロビーの歌舞伎の絵を見てもわかるとおり彼は大の親日家、日本で成功したインド人の一人です。今の自分があるのは日本のおかげだと常日頃口にしております。




ヒラリティ イン

Hilarity Inn
No.89, Vandalur - Walajabad Road, Vanjuvancherry, Padapai, Tamil Nadu 601301




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朝食はビュッフェ方式、マンゴー、パパイヤ取り放題です。
ホテルの中にはレストランが二つ、一階正面にベジタブル・インディアン、二階がお肉も食べられるノンベジです。カウンター・バーもあって、どの施設も宿泊客以外で利用できます。メニュー見たら結構いい値段してたけれどランチの時間は席もいっぱいでかなり混んでます。



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でも、周りは何にもないんですよね。
宿泊客は主に近くの工場、会社に来た外国からの海外出張のお客さん。日本のビジネスマンも大勢利用します。観光主体のホテルとは違って年末のこの時期はシーズンオフということで宿泊客もまばら、私たちの他はフランスの若いエンジニアが二人、年越しをはさんで一か月の長逗留をしているだけでした。そうそう、彼ら、『Renault Nissan Factory』日産の工場で働くロボットのエンジニアって言ってました。
もしインドに来て観光シーズンの混雑時にホテルが取れなかったときなんかはこういうホテルを利用するのもいいかもしれません。





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ホテルの裏に回ってみると何やら工事中です。
半分出来てて半分作っててというのはインドではよくあること、駐車場の整備かな?この程度なら全く気になりません。




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こちらは夫婦で土間のコンクリート工事、機械があればもそっと楽にできるのでしょうが。ここでは全くの手作業、トロ船すらありません。日本じゃ雪が降っているというのに今日は夏の炎天下のよう。頑張ってください。





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毎日の警備ご苦労様です。警備の方からこの辺のことをいろいろと情報収集、以前はこのあたりは見渡す限りうっそうとしたジャングル、ハイウエーができてここ10年間、風景も随分変わったそうです。
ホテルの一階にあるベジタブルレストラン、看板の文字が欠けているのは決して予算不足というわけではありません。2015年の100年に一度といわれる大水害の時に壊れたそうです。ここに来る途中にも街路樹の巨大な大木が軒並みなぎ倒されたままだったり、大きな空き地にがれきの山がうずたかく積んであったり。東北の大震災を連想させるような光景がまだ残されていました。台風に慣れているインドの人も今回の大風は身も凍る体験だったと言っていました。

彼のレストランはチェンナイ市内にもあります。ベジタブル専門店。中華風の料理もあるのでカレーにつかれたときは行ってみるといいかも、特にネパールの若いシェフが出勤しているときに料理してもらったインディアン・チャイニーズは絶品です。ちなみに隣はやっぱり友人がオーナーのアイスクリーム屋さん。

Nivedhanam Veg International

234,, Venkatachalam St, Mylapore, Chennai, Tamil Nadu 600004



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ハイウエーをはさんでホテルの向かいにあった看板
この辺は日本企業も多数進出していて日本のお客さんもたびたび訪れているのでしょう。きっとこの看板、そんな常連さんが作ってくれたんでしょうね




                       
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ただいま一階に大きなバーを建設中、水槽やイルミネーションをふんだんに使った豪華なものです。
オープンは二日後の31日。果たして大みそかのニューイヤーズパーティまでに間に合うでしょうか







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この辺はまだいいけど市街地は埃や排気ガスですさまじく空気が悪いです。なんだかさっきからのどが痛いんですよね









Poovoma Oorgolam   போவோமா ஊர்கோலம்




1991年、映画『Chinna Thambi』の挿入歌、ブログ始めたころに一度紹介しました。タミルの曲で一番好きな曲です。






アイヤッパへの道 vol.1

2017.06.28 (Wed)
第一話 アライバルビザ
ーこれからインドに入国される方への覚書ー


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2016年12月28日、インドに行くことになった。
正式に決まったのが二週間前、パスポートは期限切れで慌てて役所に飛び込んだ。当然ビザなど取る暇もなく、切り札のビザなし入国に頼るしかない。三年前にアライバルビザでインドに入国した経験があるので今回も現地での入国手続きになりそうだ。
担当したインド人の旅行代理店によると当時の到着時ビザ申請は一度停止されたそうだ。2016年の3月に復活しているので大丈夫ですよ、安心していってきてください。ということだった。
インドとの付き合い、いつものことだが慌ただしい。






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羽田についてまづはチェックイン、これがみその付きはじめだったのかも。今話題のオーバーブッキング。航空会社の度重なるトラブルがテレビで報道される以前の事なので流行の最先端というところでしょうが、次発の便に強制変更、空港で余計に待つ羽目になった。でもよくよく考えてみると香港で6時間のトランジットがあるので乗り換えが少しタイトにはなりますが渡航には特に問題は無し。多分、そんな事情でキャンセルのお鉢が私に回ってきたのだと思います。その上、半額の7万円が払い戻しとして手元に戻ってきたわけでかえってラッキーだったのかも。ただ戻ってきたドル札は友人が出してくれたお金だから返さなくてはいけないけれど。






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美しい富士山も、美味しい日本食もしばしのお別れ。
おかげで、空港内をゆっくり堪能することとなりました。
まずは持ち金をドルに変えないといけないです。リュックサック片手に両替所に向かいます。私は旅行するときはボストンバックなどは絶対使いません。キャリーバックなどは問題外。貧乏旅行者、バックパッカーたる誇り、両手が使えないではせっかくの旅行の醍醐味が半減してしまいます。
ポケットの封筒を出して窓口に渡します。係員が封筒から取り出したお札の束、めったに目にかかることのない大金、しかしそれは他人から渡されたインドに持ってゆくもの、自分のお金ではありません。

「60万円でいいですね」

隣の窓口の男性がびっくりしてこちらを見ている。ん、どこかで見覚えのある顔立ち。
なんと、そこにいたのはあの有名な『勇者ヨシヒコ』 サングラスをかけた俳優の山田孝之さんではありませんか。これからお正月をハワイでということなのでしょうか、何となくトロピカルな香りがいたします。背がすごく高いわけでもとびぬけておしゃれということでもないですが、やはりテレビで見る通りその立ち居振る舞いは自然で尚且つかっこいい。
なんて声かけようかなぁ、握手してもらおうかなぁ、なんて考えていたら換金されたドルの札束がどんと返ってきました。目の前の大金、ドル札が入った封筒に舞い上がった私はそのお金を片手に彼のわきをそそくさと素通り、サインも握手も、すっかり飛んで忘れてしまいました。






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かっこいいのが悔しいので写真はこちらで







ところで、インドのアライバルビザには、空港で2000ルピーか相当額の外貨が手数料として必要。この素晴らしい制度、これはその後入国時にわかったことですが、世界広しといえども私たち日本人のみが受けられる恩恵なのだそうです。思い立ったが吉日、成田に寄ったついでにインドでも行ってみるか、てなことも可能なわけですね。
ビザを持たずにバックひとつでインド旅行、どれだけインドという国が日本を信頼しているのか、どれだけインド人が日本人を愛していてくれているのか。この信頼を勝ち取った先達 先輩の皆さんに感謝するほかありません。本当にありがとうございます。


ちなみにですが両親のどちらかがパキスタン出身だとアライバルビザ対象外だそうです。芸能人つながりでいうとローラは事前にビザを取得しなければ入国できないことになります。

Embassy of india 日本人向け到着時ビザプログラム









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香港です。
どこかで見たようなお店です。中国人は何かと反日言いますけど結構ツンデレかもしれません。




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日本の品質がグローバルスタンダードになりつつあります。まねっこも時によってはいいことかもしれません。




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香港空港に到着、もう時間がありません。とにかく急いで乗り継ぎカウンターを目指します。手に入れたインド行きのチケットを引っ掴んでいざ搭乗口へ、しかしこれが広いのなんの、その上、乗継便の到着口が目まぐるしく変わります。チケットカウンタの女性が言っていた場所に行けば掲示板に他の便の番号、さればと思い航空チケットに記載されている搭乗ロビーに走って行けばその先は人っ子一人いないガラッンとしたフロアー、どこに変更かと職員に聞けば聞いた先が何もない行き止まりだったり、結局、汗びっしょり掻いて分かったのは搭乗の飛行機はかなり遅れていて到着時間も到着口も未定とのこと。慌てて右往左往していた自分が全く恥ずかしいです。気を取り直し、それではと今度は現地で出迎えるはずの友人に到着が遅れることを何とか知らせる段取りを。さては電話は何処に、そしてここでも少彦名は大慌て。公衆電話は至る所にあるくせに肝心のプリペードカードを売っている場所がわからない。早くすべて済ませて安心したいのにここでも優に30分以上、あたふたとした時間につまらないやり取りを強いられ全くもって疲れ果ててしまいました。旅慣れているはずの私ですがやはり初めての国は用心が必要です。飛行機の遅れはさらに二時間、結局ここでもいろんな意味で空港を堪能することになってしまいました。




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日本の飲食店もちらほら。
調べてみたら熊本の味千ラーメンの創業者って台湾の人だったんですね。また食べたいな。




チェンナイへの飛行機の中、今回見たのは
『イーグル・ジャンプ / Eddie the Eagle 』
というイギリス映画。
イギリス史上初のスキージャンプ・オリンピック代表選手、マイケル・エドワーズ / Michael Edwards の実話。一介の左官職人が憧れのオリンピックに出場するために孤軍奮闘する青春物語です。小さいころからオリンピックにあこがれていた彼が選んだのはイギリスでは知名度、人気ともにゼロ、これならだれでも出場できるとスキージャンプの世界に飛び込みます。運動音痴で見栄えも悪いちょっと変わった青年、エドワーズは、周囲のみんなに馬鹿にされながら、体面を重んじるオリンピック委員会に妨害されても、何度も何度も失敗しジャンプ台から転げ落ち大けがをしても、わしのように空に羽ばたくことを夢に見ながら、諦めることなくまっすぐに飛んでゆく。遥かインド洋の大空で、独り、映画を見ながら涙してしまいました。夢は叶えるためにある。いい映画ですよ!とても元気が出ます。




Michael Edwards
Fly Eddie Fly / Mun nimeni on Eetu




マイケル・エドワーズ選手が歌います
カルガリーオリンピックにちなんでフィンランド語バージョン

(マッチ・ニッカネン/Matti Ensio Nykänenが団体個人で4つの金をとっています)





さて、出発から丸一日、やっとのことでチェンナイ空港に着きました。深夜のチェンナイ国際空港、羽田や香港の空港と違って何となくがらんとしています。
いよいよ、アライバルビザの発給。もうすでに予定より二時間遅れ、待たせている友人を気遣う気持ちもあってイミグレーションには急ぎ脚。他の外国人ツーリストのあとについてアライバルビザと思しき窓口へ。皆さん、おんなじビザなし渡航なんですよね。

「あれ、君、証明書持ってないの?」

何それ、そんなもの持っていやしません。周りの乗客が一斉に私を振り返ります。皆さん、他の乗客、空港職員でさえも顔は微笑みをたたえながら一応に怪訝な顔。そこへ私の友人から連絡を受けた空港職員が数名、お世話になってますと私のところにあいさつに来ました。ああ、これで助かった。今の状況を話すと「さ、さ、こちらへ」ということで『おお、これがVIP対応ってやつか』とちょっと誇らしい少彦名。さて、これで一件落着と思ていたところあっちにうろうろ、こっちにうろうろ、空港内をぞろぞろとしばし彷徨うことに。色々とたらいまわしにされた挙句、結局空港事務室へ連れていかれることになりました。部屋には何かしら問題があったのか、入国できないでいる若い旅人が別々に二人、白人の一人は女性、一人はひげを蓄えた男性が先客として椅子に座って不安そうにしています。迎えに来ているインドの友人はタミルナードではちょっとした有力者、ま、何とかなるさとたかをくくってはいますがこうなってくると内心ちょっと不安です。そうこうしていると初老の白いクルタを着た職員が部屋に入って来て自分の目の前で『はい、パスポート』『ここにサインして』『日本はいい国だねぇ』いろいろと事務手続きを始めました。結局その時わかったのですが、ビザなしアライバルビザの入国は日本人のみが受けられる特権だということ、そのうえに、ほとんどの空港職員に周知徹底されておらず、こういったケース自体が初めてだったのか日本人に対するアライバルビザの取り扱いを多くの職員は全く知らなかったようなのです。私の一件以降、チェンナイ国際空港でもアライバルビザの存在がある程度知られることとなったようですから同じような不手際はないとは思いますけれど、皆さんもビザなしで入国される際はどうか気を付けてください。
さて、かれこれ一時間、すったもんだでやっとのことで手続きが終わり手数料の支払いへ、あれ、ドルでもいいんじゃないの?ルピーで払ってということで空港の両替所へ。まだ入国審査が済んでいないのにイミグレーションの外へ連れていかれ両替します。こんな深夜に両替所わざわざ開けてくれたのかな?日本人でよかたなぁと思いつつ両替してもらうと今度はビザ登録用のコンピューターがダウン。深夜ということもあって担当のシステムエンジニアを長時間待つことになりました。
結局空港を出て友人たちに会えたのが予定を大幅に過ぎた午前四時、申し訳なさそうに握手を交わす友達、深夜でなかったら空港のお偉いに電話して対応できたんだけどねって謝っています。彼の他に取り巻きや映画でお世話になったスタッフ達ともここで再開、ただの農家の日本人に総勢20人のお出迎えです。本当にお疲れさまでした。



P1018632.jpg
一緒に日本で映画を撮った助監督のヘムラージ氏撮影
本邦初公開の少彦名でございます。




チェンナイ郊外、招待してくれた友人が所有する三ツ星ホテル。ここがしばらく私たちの根城になります。

「あ、そうだ、キャンセル便で航空チケットの払い戻しがあったよ」

これからの旅行で必要だからそれは持っていてください。
いよいよ南インドの旅が始まります。








PARVATI KHAN - Jimmy Jimmy Aaja
“Disco Dancer”Movie song






♪『来て!来て!ジミー!!』
インドは君の来るのを待っている!!








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