アイヤッパへの道 vol.9

2017.07.28 (Fri)
第9話 Kabali

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マハーバリプラムの町は相変わらず鄙びていてそれでもバーだとかヨーロピアン好みのお店が増えました。
本当の一人旅なら一週間くらいはここで沈没してるでしょう。




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あてもなくバスに揺られているのは気持ちのいいものでインドのバスの座席はとてもリラックスできるしろものでもないですが、やっぱり帰りも学生さんたちが群がってきてゆっくり寝かせてはくれません。
退屈しないあっという間の二時間のバスの旅。






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初めて来たときはホームレスの子供がわんさかいたのですが今回はそう言った風景をほとんど目にしませんでした。
たぶんそんな場所にあまり行かなかったせいもありますが生活水準は目に見えてよくなっているようには思えます。





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夜はいつものようにいろいろな人が来て飲んだり食べたり歌ったり




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時には高級ホテルで映画界のセレブ達と優雅なお食事
同席したのは誰もが知ってる芸能人、そしてテーブルに並んだ高級料理は・・・やっぱりカレーなんですけども






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タミルナードのビール
なぜか金魚が「強いでっせ!」とプロデュース。インドのお酒に共通するのですが、発酵が中途半端なのか穀物の甘みというか雑味というかのど越しがあまりよくないんです。インドのビールはアルコール度数が高めでどれも鼻に重い香りが残ります。『British empire beer』 ラガービールで度数は6度。







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映画関係の人が多かったですね。
それもかなりの有名人、俳優さんだったり女優さんだったり、作曲家だったり監督だったり





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Ramya NSK タミルナードの有名歌手


ここでちょっとタミルの映画事情などを一つ
この方はインドでもとんでもなく有名な人のご家族。インドのチャップリンとまで言われたインド映画創世記のコメディアン、クリシュナン / N S Krishnan のお孫さん ラマヤ NSK です。
祖父の N S Krishnan は1950年代に活躍した俳優、歌手で初期のタミルナード映画界において重要な役割を担った人です。The Nadigar Sangam / South Indian Artistes' Association、南インド芸術家組合の初期会長も務め、その活動は芸術分野にとどまらず政治活動にも深く及んでいます。実際、何度か殺人を含む事件に巻き込まれ彼自身も刺されるなど相当危ない思いもしているようです。タミルタイガーという名前で思い出される方もいらっしゃるでしょう、彼が深くかかわったスリランカの内戦問題。当時のニュースだとタミルタイガーはタミル人の民族主義的テロリストと報じられることが多かったようですがタミルの人から聞く限りでは残虐の限りを尽くしていたのは当時のスリランカ政府、ジェノサイド『民族大虐殺』と非難されてもおかしくない状況だったようです。テロリストが乗っていると称して女、子供でいっぱいの難民船を襲撃、皆殺しにしたりタミル人の集落を襲っては焼き払うなど極悪非道の行いは日常茶飯事、一年間に5千人以上のタミル人が虐殺されたという記録も残っています。彼らタミル人の言を総合すると私たちが新聞やニュースの報道で見てきたものは偏向報道の度をはるかに越えている感があります。というのもインドの中央政府はデリーにある北インド中心、彼らにとってはスリランカ、および、スリランカをバックで支援するアメリカ、イギリスなどの欧米諸国と事を構えるよりもパキスタンのイスラム国家との紛争のほうが重大事案であり南インドで起きていることを国際問題として大きく取り上げることはあえてしなかったようなのです。要は日本に伝わる情報はすべてスリランカからの発信で、殺されてゆくタミルの民衆の声は世界には届かなかった。ともあれ、インドの映画界は政治とは非常に深いかかわりがあり、特にタミルナードは昔から政治的な関心が強い場所、もともとインドに古くから住んでいたドラビダ人の国、インドの古い伝統を担う誇りと中央政府との軋轢が特殊な政治観をこの地域に生み出しています。実際、私がインドにいた時も国を揺るがす大きな政治的問題がいくつも同時に起こっていて、先の俳優クリシュナンさんが会長を務めていた South Indian Artistes' Association に赴いて政治的支援に参加する羽目になったことはタミルナードという土地がインド国内でどういった位置にあるのかを改めて認識させられる出来事だったと感じています。
ちなみに、インドは29の州に別れ、タミルだけでも一億を超す日本よりも大きな国。インドとはそれぞれに言語文化の違う独立国家の集合した共和国と考えたほうがしっくりくる場合が多いです。

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タミルナードを知ってもらうためにちょっとばかり話が脱線しましたが、宴会はとても和やかに。彼女もプロの歌手で映画などで活躍する芸術家、おじいさんの歌った歌をみんなで合唱しました。








ENGHKEY THEYDUVEYN / N S Krishnan




アイヤッパ寺院への巡礼の旅、マイクロバスの長い長い道中の間、何本もタミルの映画を見せられました。言葉もわからず長いし退屈極まりなかったのですが何本かは見ていて、なるほどなという作品がありました。印象としては昔のようにただ歌って踊って恋をしてというファンタジー的なものよりもよりリアルで時には残酷でやるせない気持ちにさせる物語が多くなってきているようです。『太陽がいっぱい』を下敷きにしたのでしょうか、優しかった父親の死後、浮気を続ける母親と浮気相手が密会している自宅に火をつけて焼き殺してしまう子供、更生施設で十分な教育を受け出所した直後、ひょんなことで他人の名をかたりなりすまして大学に通うことになる。ルームメイトの大金持ちとは親友の中、しかし彼に自分の素性がばれそうになった時、もみ合って倒れた友人はテーブルに頭を打ち付けてそのまま死んでしまった・・・・思いがけぬ事件が重なり追い詰められてゆく孤独な一人の青年の一生を描いた悲しい物語。あいにく旅の都合で最後まで見ることができなかったのですが、この映画だけはもう一度見ておかないとと思ってます。題名は・・・・忘れました。


最後までしっかり見れた映画といえば日本でも『踊るマハラジャ』でおなじみのラジニカーント、セリフがわからないながら一気に退屈することなく見れた2016年、去年大ヒットした映画『カバリ/Kabali』です。スーパーヒーローの今回の役柄は、なんとダーティーな暗黒街のボス、冷酷非道なマフィアの親分です。『ロボット/Enthiran』などの以前の映画では、おとぎ話の主人公、完全無欠のヒーローを演じていた彼ですが、今回のこの作品では年齢も彼の実際の年齢そのままで、リアルちょい悪親父、等身大のラジニカーントを堪能できると大いに話題になりました。インド版リアル任侠やくざ映画です。死んだはずの人が生きていたり思いもよらない人が自分の子だったりとストーリー的に「ン?」てところも多少ありましたが、北野武のアウトレイジでも見ましたか?というほど殺し方がなかなかえげつない本格バイオレンス。次回作撮る気満々のエンディングもなかなかスタイリッシュでインド映画に全く興味のない映画ファンでも十分楽しめる力作に仕上がっています。巷の若者の間では「カバリラ!」が合言葉のようになっていました。





さて、今夜はちょっと、観光から離れて映画の評論の真似事などを。内容もいつになくハードな、初めての映画レビューでした。
それでは等身大で復活したスーパースター
「ラジニカーント」の活躍をお楽しみください。





Kabali / Rajinikanth / Neruppu Da






インドの友人はラジニさんとちょっとした知り合い
一度お会いしたいです



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コメント
こんにちは^^

明るい色使いの建物が多くて元気が出そう^^
学生さんの目がきれいで、見ていて癒されました^^
よいち | 2017.07.28 21:54 | 編集
凄い画像が並んでいるのに、石のなかに歴史が流れているのに、インフルエンザが心配でコメントがありません。
くんざん | 2017.07.29 20:43 | 編集
よいち さん

コメントありがとうございます
インドの家はかわいらしいものが多いですね。ピンクや青や気ままに好きな色で塗っています。
こどもた日の顔は輝いてます。成長している国は子供の顔を見ればわかるのかもしれません。
sukunahikona | 2017.07.30 10:09 | 編集
くんざん さん
インフルエンザつらかったですよ。ただ、あれだけ咳をしても彼らには全く移りませんでした。
また来てコメントください
sukunahikona | 2017.07.30 10:11 | 編集
簡単な地図があれば、sukunahikonaさんとのブログ上での旅、
より楽しめそう。

で、思うんですが、インドの人ってみんなお腹が出てますね。
さすがマフィアの親分さんはへっこんでましたけど。
雨宮清子(ちから姫) | 2017.07.30 11:32 | 編集
雨宮清子さん

地図載せようかなとも思ったのですが実は日記をインドに忘れてきてしまって場所を思い出いながらの記事なんです。Googleマップではわかるように登録されている地名で記事にはしてますので僕の居場所を探してみてください。

タミルの人は特にでぶっちょです。背も低いしどう見てもカッコ悪いけどクマさんみたいでかわいいです。女優さんも南のほうがふっくらしていて安心できる体型です。
sukunahikona | 2017.07.30 22:01 | 編集
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