アイヤッパへの道 vol.7

2017.07.21 (Fri)
第7話 初めてのおつかい

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その日も朝早くから起きだして、みんな明け方近くまで騒いでいましたので起きているのは私一人。同居人を起こさないようにシャワーを浴びてひげをそって、カメラと着替えのTシャツをナップザックに詰めたら、おっと、かぜ薬も持って行かないと。レストランで軽く、ウタパンとオレンジジュースで朝食を済ませてホテルのガードマンさんに聞いていたとおりにハイウエーを横切ってローカルバスのバス停に向かいます。










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バス停といっても日本のように目印があるわけでもなく、三々五々、人が集まっているところに、『この辺かなぁ』とあたりをつけて一緒になってバスを待ちます。







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ちょうど通学、出勤の時間だったのでバスの中は結構混んでます。
大学生かな、女学生がたくさん、ファッションのこととか話してるのでしょうか、学校までの道のり、友達と思い思いに会話を楽しんでいます。
みんなには黙って出てきてしまいましたからあとでこっぴどく叱られるんでしょうね。でも、せっかくインドまで来たんですから一日ホテルでボケっとしているわけにはまいりません。体の調子もあまりよくないけれど具合が悪くなったら引き返せばいいことだし、とにかく今年初めての『初めての一人旅』なのであります。





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途中、目の前の席がちょうど空きまして座らせていただきました。本来なら女性に席を譲るところですがそういう訳にも参りません。
これは決して体の調子が悪いからというわけではなく、なぜならインドのバス、インドのほかの地域は知りません、チェンナイの市内バスは右の座席が男性、左の座席が女性、そう決まっているのです。混んでいましたが吊革につかまって立っている男性は私一人、あとは女性ばかりです。気兼ねなく座らせていただきます。






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乗り換え地点、タンバラム/Tambaram に到着。大きな町です。近くに駅もあってバスターミナルとしてもかなり巨大なチェンナイ郊外の交通の要所、当然排気ガスもすごいです。また喉をやられてしまいます。





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雑踏の行き交う歩道の地べたに店を広げている露天でバナナ買って、そのバナナをつまみながら次のバスはどこかいな、出発前はすぐに見つかると高をくくっていましたがこれだけ巨大だと初めての訪問者としては、それもタミル語のわからない日本人にとって乗り換えのバスを見つけるのは至難の業、目的地まで出るバスの本数はそれほど多くないとみてますし、乗り遅れてこんなところで待ちぼうけでは病み上がりの体は干からびてしまいます。それでもあちこち聞きまくった挙句やっと乗り換えることができました。
でも、こういったハラハラ感って一人旅の醍醐味なんですよね。









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一番前の席に陣取って、左側の席だけど大丈夫?ほかのお客さんに目くばせしたら皆さん座っていいですよって。混んでいなかったからいいのか、この路線はいいのか、私が日本人だからよかったのかわかりませんが絶対に右が男性、左が女性ということでもないようです。





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途中、海の見える海岸線を走り二時間近くかけてやっと到着いたしました。南インド屈指の観光地、マハーバリプラムです。





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二度目の訪問、一度目に訪れたのはもうずいぶんと前、10年以上昔のことです。そのころとは街の様子は変わっているでしょうか?以前は石屋が点在していたほんの小さな村だった記憶があります。
さて子手始めに終着駅のすぐ目の前、スタルラサヤナ・ペルマル寺院 / Sthala Sayana Perumal Temple にお参りです。
二枚上の写真が全景、南インド寺院特有のゴプラム、塔門が見えます。
現在修復中のようですが屋根の上に『 アナンタ / Ananta 』寝そべったビシュヌの化身を見ることができます。ということはこの寺院はビシュヌをまつったもの、第4話でもお話ししましたがビシュヌはたくさんのアバターを持っています。ヒンドゥ教はたくさんの神話、無数の土着の神々が集合してできたもの、形があってないような不思議な宗教です。しかし一定の経典もない、一見とらえどころのない神話と教理、教義の集合体ですが、しかしながら私はこれこそが自然な形の本当の宗教だと思っています。
マハーバリプラム / Mahabalipuram は古代インドの寺院群が見れる考古学的に貴重な場所です。ガイドブックに載っている名跡を見て回るのもいいですが、現在、こうして日常的に機能している寺院もぜひ訪れたいものです。





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中は暗く静かで、ちょうどお昼時でしたから信者の方の数も少なくゆっくりお参りすることができました。昨夜の初もうではあいにくお寺が閉まっていましたのでこれが本当の今年初めての初もうで、途中、白髪の老人が手招きして私の全くわからないタミル語でお寺のガイドを始めましたが境内を連れ立って歩くその途中、私の目の隅に一瞬映った麗しきたおやかなる人影、その影は寺院の暗闇の中を柱から柱へ、私の前を蝶のように見え隠れしては通り過ぎてゆきます。
もうすでに、老人の声は耳に届きはしません。




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長い長い説明の後、予想していた通り右手を目の前に差し出す老人。彼には申し訳ありませんが追い払う意味もかねて最初から予想していた案内料のチップを渡すと、私、普段ならそんなお金を容易に渡すなんて、そんなことしませんよ。勝手に近づいてきて説明し始める人って観光地にはよくいます。まれに寺男の方が説明してくれる時がありますがそういう人はあちらからチップを請求する事はありません。そういう時はこちらから感謝の意味も込めてお布施致します。
でも、正月だし、おじいさん、とても人がよさそうだし、目的を果たした老人は小さい体をくの字に曲げてその場を離れていきましたから、二人きりになったところを見計らってさっそく彼女に話しかけてみました。見た感じ、地元の人とは見えないし、ヨーロッパの人でもなさそうだし、彼女もこちらには興味があったみたいで快く挨拶をしてくれました。






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上海からやってきた中国の方だそうです。
今年初めて会った、それも特別美人なお嬢さん。もう明日にはデリーに発ってしまうということで、残念、再開は果たせずじまいでしたがこんなきれいな人と一瞬でも巡り合えたのは本当に幸運なことなのでしょう。
メルアドやら電話やらしっかり聞けばいいものを、私のブログの文面では全く感じることはできないでしょうが私は元来女性に対しては非常に奥手な者で、え、信じられないって?この日のようにこちらから声をかけるなんて本当に珍しいことなので、しかしながら寺院の中で私と彼女二人きり、旅行者同し無視するのも後々気まずいし。勇気を振り絞って声をかけた次第でございます。ちょっと話は変わりますが、私の長い人生の中でいまだかつてこちらから女性に交際を申し込んだことはありません。だいたいが女性のほうから、いわゆる逆ナンてやつです。しかしそれも今は昔、遠い過去の物語。だいたい山にはシカやキツネはいても女性は森には生えていませんから。






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誠にやることなすことじれったい少彦名ですが、今夜のお話はこの辺で。
肝心のマハーバリプラムの観光写真は次回掲載いたしましょうか。観光地の写真は巷に溢れていますので特に目新しい記事にはなりませんけど、折角撮ってきた写真だから次回もお付き合いのほどをよろしくお願いいたします。









Wo Wo Ni Ni 我我 你你 ‐ Dick Lee






当ブログ、唯一の二度目の登場
もう二度と会うことのできないあの人に













アイヤッパへの道 vol.6

2017.07.19 (Wed)
第6話 盲目の音楽家

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今年の正月はインドで、尚且つインドのインフルエンザで一月一日から寝込んでいました。
ホテル内は来賓のお客で大賑わいしている中、独り青い顔で寝込んでいる日本人、
今年は元旦から何もかもが普通とは違います



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2017年、病み上がり最初の食事
日本人はお蕎麦でしょってことでお勧めで出てきたけど、麺にはうるさい日本人だから・・・
申し訳ないけどやっぱり正月は雑煮ですね



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そのうち部屋が満室ということで移動することに
一部屋を一人で独占することはできないのでみんなと相部屋に
彼らインド人はそれこそ雑魚寝には慣れていて逆に一人で寝ることのほうが少ないくらい
病人なのでベットは何とか確保できましたが寝ているそばから連日のパーティーで酔っ払って帰ってきたのが床で寝るわ鼾はかくわ、頼むからクーラーだけはかけないでねとあれだけ言ったのに凍えるくらいにクーラーかけ始めてインドでも東南アジアでも馬鹿みたいに冷房をかけておかげで旅行のたんびに体調を崩すという経験は旅慣れた人なら一度や二度は経験しているはず。このままでは本当に殺されてしまうと、今夜はもうベットで寝るのはあきらめよう。毛布片手に部屋を抜け出して廊下のソファーにシーツにてくるまって熱い体を休めていたら、いったいなんでそんなとこに寝ているととがめられ、これこれしかじか、やんごとなき理由を話しまして、それだったらこっちの部屋でおやすみなさい、先客がいるけど彼は冷房かけないから。

寝ている先客を起こさないように真っ暗な中忍び足で指定された部屋のベットに。荷物は明日取りに行けばいいし、とりあえずこのまま寝てしまいましょう。暗闇の中電気も点けづにこっそりと、でもよくよく考えてみたら同室になったのは目の見えないお目くらさんのミュージシャン。電気つけようがつけまいが一向に関係なかったんです。





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おかげさまで次の朝は昨日よりもだいぶ調子が戻って、のどは相変わらず痛いけれども気持ちよく目覚めることができました。隣のベットでは先客が何も知らずにすやすや眠っています。テレビをつけるわけにもいかず、シャワーを浴びることもできず、ただぼけっと外を眺めていますとのど元がむずむずと、ついに我慢しきれず、喉の底の胸の奥から大きな咳を続けざまにこんこんと。突然の咳の音で起きてしまった同居人、もぞもぞとシーツの中で寝返りを打ち半身を引き起こして「誰ですか?」と虚空を見上げて問いかける。

「私はジャパニ、おはようございます!」

その時の彼のあわてっぷりったらなかったです。「あ、いや、日本人、これは、その、とんだことで、こりゃ大変、大変な失礼を・・・・」
今まで寝ていたベットから飛び起きて、まるで宙を泳ぐように手足をバタバタさせて、最終的にはベットの上で正座してしまいました。その様子を腹を抱えて笑う私は、咳と笑いでむせ返りながら自分の名前とあいさつと、そんなに慌てなくていいですよと彼をなだめるのとをいっぺんにしなければいけませんでした。



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同室のよしみ、これからしばらく、どうぞよろしくお願いします

彼は音楽の教師で、でも正規雇用ではないので暮らしはなかなか厳しいそうです。子供が一人いて奥さんも優しい人。
どこの国でもそうですが特にインドだとハンディキャップのある人にはとても親切な印象があります。目が見えないのも、足が不自由なのも神様のお考え、神様が与えた何かのしるしのように神聖視することもあります。
お目くらさんといえば私の好きな作家、内田百閒の作品にちょくちょく顔を出す宮城道雄を思い出します。いわずと知れたお琴の大家で百閒とは親友の中、幼少のころに失明し百閒は彼のことを『お目くらさん』と親しみを込めて呼んでいます。百閒が彼の家に行くといつも部屋は真っ暗で右も左もわからない、その様子を宮城検校は、健常者というものは誠に不便ですね、と揶揄します。



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事あるごとに彼の世話をし、彼も安心して私に何かを頼んでくる
風呂場の歯磨き粉を取ってあげたり、笛がニ十本も入っている重いバックを持ってきてあげたり。こんなことを言うととても僭越ですが人の役に立てるのは至極気持ちのいいこと、正月から思わず心安らかな平和な日々を新しい友と過ごすことになりました。



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夜は初詣、なのかな?
インドに初もうではあるのか知らないけど、だいたい事あるごとにお寺に行きますから初も最後もないのかもしれませんけど、私としては心新たに迎える新年ですから何かいいことがあるようにと強くお願い申し上げます



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この旅は観光地というものにまず縁がない旅行なのでインド紀行としては物足りないかもしれませんがしばしお付き合いを
それでは今夜はお話の最後に彼の演奏を聞いてください。
路傍の花売りも、海岸の魚屋も、盲人の笛吹きも、今は遠く離れた友人たちに思いをはせて
















最後は音楽の先生によるかわいい授業













アイヤッパへの道 vol.5

2017.07.17 (Mon)
第5話  Unhappy New Year

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空港に降りたその日のうちにのどをやられ、インドでの大みそかはついにベットの中で迎えることになりました。
胸の奥のほうからこみあげてくる重たい咳、始まると呼吸困難になるほど止まりません。
空気は非常に乾燥していて日本でもインフルエンザのはやる時期。大気の汚染もありますが日本人にとって全く免疫のない未知のウイルスが悪さをしているのでしょう。
きっと計ったら40度近く熱はあったと思います。




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インドの薬を飲んで半病人ながらなんとかパーティーに出席
突貫工事で仕上げていた地下のラウンジは作業完了して見事、パーティーに間に合わせることができました。
お友達から親類から、映画俳優から政治家から2~300人はゆうにいるでしょうか、元気だったら賑やかにやるんでしょうけど、音楽も耳に入らない。



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プロの歌い手さん、映画なんかでも歌ってて有名な人だそうです。女性のほうは親類だったかな、お嫁に来て今は普通の主婦をやってます。




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映画業界の面々
日本で撮影する際はよろしくお願いいたします。





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宴も最高潮、私の体温も限界に近付いております。




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ホテル・ヒラリティ・インのスタッフ
笑顔のかわいい明るい人たちばかり
この笑顔がインドの何よりのおもてなしです。






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カウントダウンでハッピーニューイヤー
ホテルのお客さんも、近所の住人も交えての新年の宴
日本から3時間30分遅れのあけましておめでとう






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なんとか新年を迎えることだけはできました
地元のコーラをもらって部屋に退散、「Bovonto」はタミルナードの飲料メーカー、一本50円くらいです。
昔はチェンナイ市内に300の飲料メーカーがあったそうで、コカ・コーラやペプシとの競争で現在残ったのはこの会社を含めてほんの数社、日本でいえばチェリオみたいな会社かな。
味は炭酸弱め、チェリーコーラみたいな味がするけど後でホームページ見たらブドウのフレーバで風味付けしてるんだって。
余談ですが3月にインドの流通業者がコカ・コーラやペプシのボイコットを打ち出したそうです。実はタミルナードは去年から続く大干ばつ、大義名分としては地下水を大量に汲み上げる巨大企業への制裁という意味も大いにあるのでしょうが地元に愛される企業を守りたいという地元っ子のタミル魂が運動を下支えしているようです。

残念ながらせっかくのパーティーなのに今日は書けることがあまりありません。日記の体裁を整えるための関係ないこんな与太話のみ。しかしインド紀行文のインドの新年、一つの区切りとして書いておかないと。
さて、早く治して明日から仕切り直しです。







Disco Dancer (1982)
Auva Auva Koi Yahan Nache





ホテルの部屋のカーテンと重なってニューイヤーパーティーのミラーボールの光が熱に浮かされた目ににじんで見える。ベットに横たわる私は現実と幻のはざまで、沸騰する脳みその中は歌い踊る歌姫のコーラスと交錯するまばゆいネオンで私の体は無限の宇宙に放り出されてしまいました。私は誰?ここはどこ?それでも病床のあの切ない孤独感がないのはきっとたくさんの友達に囲まれているからでしょう。
第一話、アイヤッパへの道 vol.1でも紹介した映画『Disco Dancer』の挿入歌、イギリスのバンド、バグルスの曲『ラジオ・スターの悲劇』の丸パクリです。作曲したのはカルカッタの巨匠、『バッパ・ラヒリ/BAPPI LAHIRI』以前紹介した曲と合わせてご堪能ください。私のようにおかしな気持ちになりたい人はBAPPI LAHIRIで検索するといいかもしれません。変な曲ばっかり。




Bappi Lahiri
Yaad Aa Raha Hai Tera Pyar Kahan Hum Kahan





バッパ・ラヒリの作品、『ディスコ・ダンサー』からもう一曲、こちらもなかなかのもの。結構いろんなところで耳にします。ところでそんなにギター振り回したら危ないって!
この映画は世界的に好調な興行をあげたようで、意外なところではソ連などでも大ヒットしています。
映画と同名の曲、アメリカのテクノバンド『ディヴォ/DEVO』のDisco Dancerはこの映画にインスパイアされて制作された曲。




The Buggles - Video Killed The Radio Star




元曲がこれ
とりあえずちゃっちゃと簡単に済ませようと思ったら、今日もしっかり書き込んでしまいました。
ア♪ハナチェナチェ・ハナチェナチェ♪












アイヤッパへの道 vol.4

2017.07.14 (Fri)
第4話 アイヤッパ インドの神々

Ayyappa アイヤッパ




アイヤッパ Ayyappan または Ayyappa

Ayyanは敬意を表す言葉。Appanは父親。ケララやタミルナードの南インドを守る神の一人。守護神の頂点に君臨する鎮護の最高神です。
乳海攪拌の神話、アイヤッパは神々と悪魔の争い、呪いによって力を失った古い神、インドラやスーリヤを助けに来たシバ、ビシュヌ、ブラフマーの連合軍とアスラ達(阿修羅)の戦いの過程で生まれた英知の神です。ドルバサの怒りを買い呪いをかけられた神々の霊力を取り戻すため、不老不死の妙薬、アムリタ(甘露)を作り出そうと神々は曼荼羅山を回転させてミルクの海をかきまわします。乳海攪拌は月や太陽など世界の様々なものを生み出し、ついには、ビシュヌたちはアムリタを手にすることに成功しました。しかし、再びアムリタをめぐって神々と悪魔の争いが起き Amrita はアスラたち魔族の手におちてしまう。一計を案じたビシュヌは美しい娼婦、モヒーニ / Mohini に変身、悪魔たちを誘惑し、そのすきにアムリタを無事奪い返します。しかし、それを見ていたシバはその美しい娼婦に一目ぼれ、彼女がビシュヌの化身とは知らずに激しくアタック。その結果アイヤッパ神が生まれました。








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英知と勇気の神、アイヤッパはシバとビシュヌの子供。男神同士の子供であり、と同時にビシュヌのアバターの一つでもあります。南インドのみ、北インドでの信仰は見られません。マハーバーラタやバーガヴァタ・プラーナに現れる乳海攪拌の物語を読んでいただき、そこから感じられる通り、この神話では古くからの神々が実力を失い新しいヒンドゥの神が台頭してゆく。世代交代の過程が描かれています。現在、古い神のいくつかは人々から忘れ去られ、またある神は姿を変え、またある神は悪魔に身を落としてゆく。そんな中、ケララの一地方神であったアイヤッパがヒンドゥの神々と習合して生き残ってゆく過程が見て取れます。北から侵入してくるアーリア人の文化と飲み込まれてゆく古いインドの伝統が混然一体となってミルクの海に溶けてゆく。時に名を変え、時に姿を変えてあらゆる神々が再編成されてゆく。この辺がヒンドゥ教の面白いところ。キリスト教世界のように他者を否定し異文化を蹂躙し完膚なきまでに滅ぼしてしまう。黒か白かの一神教と違ってすべてをあるがままに容認し、分け隔てなく尊重し、なおかつ共存してゆく。平和で争いのない社会を築くための優れた選択が東洋の英知として目の当たりにできる物語です。








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日本の国産みの神話、伊邪那岐と伊邪那美が海(女陰)に天の沼矛(男根)を差し込み、かき混ぜ、抜き取った時に落ちたしずくが日本列島になったという神話に似ていますね。
とすれば日本は神々が作り出した甘露、日本のこのおおらかさはインドや東南アジアに共通するものかもしれません。







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今日はチェンナイのアイヤッパ神社にお参りに来ています。この旅行の一番の目的、サバリマラ巡礼はアイヤッパ神を信仰する人々が一所に集まる世界でもまれな大巡礼の旅。村の代表として巡礼に選ばれたこの若者たちは各地に点在するアイヤッパ神の別院で出発前の祝福を受け、皆に代わって神となり、巡礼の終わるまで菜食に徹し、睡眠は床でとり、たばこや酒はもちろんのこと様々な禁欲生活の中でアイヤッパの山を目指すことになります。






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お参りを終えて、その後、お友達のところを挨拶回り
インドに招待された日本人の大事なお仕事です。中にはとんでもなく偉い方もいらっしゃいます。









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この子は特には偉くないですが、ちょっと変なお顔してますね。
昔、インドではあまり見かけませんでしたが最近は犬をかわいがっているのをよく目にします。
インドで犬は『クッタ』。汚い下等な動物とみなされていました。インドで犬がペットとして受け入れられ始めたことは動物が好きな私にとってもうれしいこと。ゴムまりのように女の子の後について走り回っていました。
ちなみに、ご飯を食べた後「あー食ったクッタ」というとインド人が笑います。









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インドの占い『アガスティアの葉 / Nadi astrology』のナディ・リーダー、インドでも20人いない導師の一人です。とてもすごい先生なのですが全く屈託のない笑顔のかわいいチャーミングな人。アガスティアに関しては別稿で書きたいと思いますが本当に読める人は世界にもほんのわずかしかいないということだけ今は記しておきます。






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インドで年の瀬、今日はお休みなのでしょうか。
この辺の海は波が高いです。泳いでいる人は見たことがありません。波と戯れる平和な風景。
半月後、この静かな海岸はある事件がきっかけに大群衆で埋め尽くされることになります。
少彦名も大活躍、こうご期待!









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海岸沿いに開かれた露天市
南の人は魚をよく食べます。
確か十年以上前にこの海岸には訪れた記憶があります。
その頃は砂浜の上に建てられたゴミや流木で作った掘立小屋に裸同然で漁師たち家族が暮らしていました。
今では政府からの援助で一区画にアパートをあてがわれ、それなりの生活水準で暮らしていけるようになったといいます。








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日本で見る魚も、見ない魚も、サメなんかも食べるんですね。
安くしとくよ、兄さん買ってきなさいよ。






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「写真撮るならお金置いていきなさいよ。私、こう見えても高いんだからね!」

こちらも負けてはいられません

「漁師の村の女性は何でこんなにも綺麗なんですか?笑った顔がまたチャーミング!やっぱり毎日魚を食べてるからそんなにきれいなんですよね。」

あーらやだよこの人ったら!
彼女は照れてそれでも嬉しそうに隣の売り子たちと笑っています。
どーやらこの勝負、私の勝ちのようですね。






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チェンナイの空気が悪いのか、のどが痛くて体がだるいです。
第一話でもちょっと触れましたが到着早々、埃と排気ガスでのどをやられたみたいです。あらら、明日はハッピーニューイヤー、ホテルで年越しのパーティーがあるのに。私は風邪をひくと高熱に悩まされる体質。特にのどは少彦名のウイークポイントです。実際、この旅の間一か月、いや、帰ってからも半月以上、咳が止まらず時に高熱に侵される毎日でした。
どうぞ、海外に出掛ける際は日本製のマスクをお忘れなく。







Chennai Driving to Nivedhanam






インドの車窓から
クラクションなりっぱなし、車線無視の無法地帯。割り込み、逆走何でもあり、牛がいないだけまだましです。







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