蟋蟀さんからのお届け物

2019.05.10 (Fri)
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ごんぎつね殿、こおろぎと名乗っていた時期もあったかな。常世の国の名軍師、私をネットの世界にいざなった張本人。お化けの猫さんから誕生日のプレゼントが届いた。ごんぎつね殿と私は何を隠そう生まれた日が同じ、4月15日の牡羊座。
私はそんなことなどすっかり忘れていて、自分の誕生日すらここ数年思い出す暇もなし。当然、お化けの猫さんにはプレゼントなど送っていない。不義理というのはまったっくこのことを指して言うのです。

届いた包みを開けてさらにびっくりした。桐の箱に収められた日本酒。ラベルはある書道家に依頼して揮毫された『常世神少彦名命』の文字。うれしさのあまりため息が出ます。
今夜、村の友人、といっても大先輩ですが、夕食に御呼ばれして、一人で飲むにはもったいないと大事に抱えていたこの一本を彼と一緒に飲もうと持っていきました。
美味しかった。頂いたものですからケチをつけることもできませんのでいろいろと美辞成句を並べないとと考えていたのですが、この一本は文句なしにおいしかった。おいしかったと過去形は間違いでまだ半分も飲んでいませんので、そのうえ、お土産として持ち込んだのですから本来ならば訪問先に置いていかなければいけませんが、こればっかりは他人に渡すわけにはいきませんでしっかり持ち帰ってきました。角張ったところが全くない、アルコールのチクリすらない、丸くって、ふくよかな香りのする、お米の味がほんのりとして、若々しいがそれでいてとても豊かな可愛らしい本当に美味しいお酒でした。
去年の暮は全く忙しく大根を漬けることもできない、何一つ心のある贈り物ができない。本当にありがとうございます。
今すぐ電話して感謝を伝えたいのですが、ここ一か月携帯の調子がおかしいと思ったらついに壊れてしまって、新しくはしたもののデータの移設ができなくてすべての連絡先を失ってしまいました。だから今は誰にもメールも電話もできません。



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越路吹雪 純米大吟醸 越淡麗35 720ml[桐箱入り]高野酒造 日本酒 純米大吟醸 やや甘口




収められていた桐の箱には『越路吹雪』と刻まれています。往年のシャンソン歌手と同じ銘です。彼女の名前を見て思い出す歌があります。
『約束』
雪村いずみさんの歌。越路吹雪さんと雪村いずみさんが頭の中でごっちゃになっています。先輩方だってビートルズとローリングストーンズ、ピストルズとクラッシュ、前田敦子と指原莉乃の区別はつかないでしょう?
この『約束』という曲。とんでもなく暗い曲です。物心ついたころ、本当の一番古い記憶、母親から、父親から、ばあ様から。私がこの曲を聴いて泣きわめくのを面白がって何度も聞かされました。その後、東京の下町の泥の河に飲み込まれる悪夢を何度もみました。真っ暗な四畳半を覗き込むと、ひきづりこまれた先は鬼の住む地獄の釜の底でした。夢の中で火事になったアパートの焼け跡の前で死んでゆく母親の車いすの周りに近所の人々が集まって記念撮影したみんなは満面の笑顔でした。私の趣味趣向、感受性、精神基盤の根幹を決定づけた曲です。もしこの曲を聴いた親御さんがいたならば絶対に子供には聞かせないでください。私のような闇を抱えた、自殺願望の、破壊的で破滅的な大人に必ずなることを『約束』します。そして、私はこの曲が大好きです。

お化けの猫さんとの思い出は『僕が少彦名を名乗るわけ』で書きました。とても感傷的な駄文になりますが興味のある方は読んでください。
お化けの猫さん。ありがとう。そして、この曲を思い出させたあなたは私の本当の友達です。




『雪村いずみ 約束』
 

ライブの音源です。スタジオ録音の市販されている原版はより一層鬼気迫る作品になっています。



















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『続・フィリピン・南国の光』 名古屋の夜

2019.04.19 (Fri)
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ついこの間、やっとフィリピン旅行の記事を書き終えたと思ったら再び再渡航です。
今回は名古屋で一泊、前日まで東京で祖母を見送って、そのまま長野の自宅へは戻らずに高速バスで名古屋入り。
名古屋の街はナナちゃんのメイド姿でお出迎え。田舎暮らしの長い私は久しぶりの華やいだ夜の街に、葬式帰りというのも忘れてのお上りさん気分丸出しです。






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大きなバックを抱えて街を歩き倒し、一通り名古屋の街を散策した後、東京の母親に電話をした。

「戒名変えることにしたから」

100歳のばあちゃんが死んだ。ばあちゃんが死んで葬式の準備という時に母親が電話をかけてきた。「おばあちゃん、西だっけ東だっけ?」と唐突に素っ頓狂な電話をかけてきた。
西か東か?西本願寺か東本願寺かってことらしい。しかし、そんな相談は今まで受けたこともないし、当然ながら今までそんなことは考えたこともない。身内の葬式は爺さん以来、もう何十年ぶりのことだ。

「いろいろ周りに聞いてみる」

そのまま電話を切ったものの、こちらの親戚に聞いても、そりゃ、長野にはつれあいの爺さんの縁故はいないからわかるはずもなし。それでも心当たりを方々あったてみたが、また母親から「大丈夫だから」と電話がかかってきた。

急ぎ帰郷して、当日葬式始まったら、うちは親せきが少なくって家族葬ということにはしたものの集まったのは東京にいる10人と長野の私だけ。そんな少人数ということもあって葬式の段取りなど相談できる人も少ない。みんな顔をそろえたところでお通夜が始まってみると、あれ?なんだかいつもと様子がちょっと違う。おや?聞いたことないお経だな?坊さんの説教もなんだか変な感じ。大体お経が平明な口語体で聞いててあらかた意味が解るような。

で、どういうことかというと、そもそもの宗派、浄土宗と浄土真宗を間違ってたわけ。

「西だっけ東だっけ?」

いやいや、浄土宗?真宗?て聞かれてたら、「そりゃ、浄土宗だろ」って答えてたのだろうけど。いきなり電話口で東西を問われたら、それはどっちだっけ?ってなってしまいました。

爺さんも、ばあちゃんの親類もみんなみんな浄土宗なのに、違う宗派の戒名つけられて、違う船に載せられて、せっかく100歳まで生きたのに、今じゃ、みんなと違うところに独りで送られてきっとばあちゃん、今頃此処は何処?って迷ってるよ。








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「お経あげなおしてもらって戒名も浄土宗に変えてもらったから。」

何ともあっけらかんとしたものだ。うちの家族はいつもこんな感じ。そそっかしいし、一番肝心なところが抜けている。

ばあちゃんは痴ほう症を患って10年近く施設に入っていた。入所した当初は体も弱っていて一年持たないんじゃないかと思っていたが、都会のマンションで一人で暮らしているより施設の生活のほうがあっていたのか、あれよあれよと見る見る元気になってとうとう100歳の天寿を全うした。そもそもうちの母方の家系は長生きが多いようで、中にはお通夜の晩に生き返った人もいる。お経を読んでいる最中に棺桶からむっくり起きだして「腹減った。なんか食わせろ」と言ったそうだ。葬式用に並んでいたおにぎりを三つ、ぺろりと平らげて、そのばあさまはまた三日後に棺桶に逆戻りした。






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もう、フィリピンへの飛行機の予約はしてあったし、父親も旧友たちと沖縄旅行を予定しており、二人の姪っ子、ばあちゃんにとってはひ孫の二人はともに受験で追い込みの日程は超過密だし、母親は実の母の宗派も間違えるで、そんな家族が右往左往する中でとうのボケてしまっていたはずのばあさんが一番しっかりしていたようで、みんなが一人も欠けずに集まれるように家族の多忙な日程を縫ってピンポイントにその日と選で100歳の長い人生に幕を下ろした。


二日前にばあさんの葬式を済ませた私は、長距離バスに揺られて西も東も分からない名古屋の街についたばかり。まばゆいばかりの大都会のネオンを眺めながら夢なのかうつつなのか、なんだかふわふわしたようで、そのうえ、明日には飛行機でフィリピンへ。久しぶりの都会で羽を伸ばそうと夜の街の客引きの声に耳を傾けてはみたものの、なんと、名古屋のキャバクラの相場がそれはそれは高いこと。東京なんかよりも二割は高い。

「今夜はおとなしく、やめておくか。」

母親の電話を切った後、冷たいベンチに腰を下ろしながらコンビニで買いこんだ飲みかけの缶ビールを片手に街のネオンを眺めていた。
暮れの賑わいに雑踏の行きかう夜の街。ばあちゃんのお見舞いに行ったとき、老人ホームの近くの公園で、車いすを押しながらばあちゃんと一緒に大声で歌った『木曽節』を今夜は独りで口ずさむ。

「心置きなく楽しんでおいで。」

そう、ばあちゃんが言ってくれているような気がした。






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Vashti Bunyan - Just Another Diamond Day






覚書;18日に稲の苗起こし、今日はインド野菜の畑準備、マルチ敷設。明日はモロッコインゲンの畑の石灰処理。ジャガイモ準備。
以前『アクアテラリウム』で紹介した『ヴァシュティ・バニヤン』の名作。
いろいろ考えるのがめんどくさい時、畑仕事で疲れた時はいつもこの曲。












奈良井宿「アイスキャンドル祭り」

2019.02.05 (Tue)
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奈良井宿にやってきました。
先日から続く眩暈はまだ少し残っていますが、柄にもなく「アイスキャンドル祭り」なんていう物を見てまいりました。







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雪になったりみぞれが降ったり。
あいにくの天気でしたがその分我慢のできる寒さだったので楽しく散策できました。







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『中村邸』
300円で見学できます。
中二階のようになっていて箱階段を上るとそこは茶室になっています。
やはり和室はいいですね。立って見学するよりも実際に正座するとその良さがわかります。
お客さんがいないのを見計らって畳でしばしのごろ寝。







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『長泉寺』本堂の天井画。明治時代の作、飛騨の工匠、山口権之正。
境内で見学しているとわざわざ開きを開けて中を見学させていただきました。

「素晴らしい竜の絵ですね!」

私は初めて見たように声を上げて驚いてみせてましたが、この絵を見るのは実は初めてではありません。
映画『Saahasam』の撮影の時にこのお寺さんには大変お世話になりまして本堂の中で、長机まで並べていただいてスタッフみんなで食事させていただきました。ご住職の二度目の親切にこの日は本当のことが言い出せず申し訳ございませんでした。
また改めてご挨拶にお伺いさせていただきます。

『SAAHASAM in 木曾』







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そのうちにずいぶんと降り始めて手足もかじかんでまいりましたのでお茶屋で甘酒と五平餅、それぞれ300円。暖かなストーブの暖を考えれば破格の値段です。味噌は山椒が効いててピリリと辛いです。







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日が暮れてもなかなか灯がともらないので一時駐車場の車内に避難。



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一時後、再び戻った町はこんな感じでした。




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男の私でも『まぁロマンチック』などとつぶやいてしまいます。


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街のいたるところで甘酒やホットレモン、振る舞い酒やトン汁の仕出しをしていて寒風吹きすさぶ冬の雨の中、訪れた人ももてなす村人も一応に笑顔です。


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五平餅をいただいた『たなかや』さん。
このお店、気取ってなくてかえって好きだな。



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8時に花火が上がるということでしたが用事があったのでこの辺で退散。



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思っていた以上に幸せなひと時でした。









Diana Krall - Have yourself a merry little christmas




クリスマスでも何でもないけど雰囲気だったので、今夜の締めくくりはこの曲で。
ダイアナ・クラールはカナダ出身の女性ジャズ・ピアニスト、歌手。美しいとか妖艶とかいう表現とは違ったあの力強い歌声が、頼りがいのある姉御な風貌と相まってとっても好きなジャズボーカリストです。が、今日の今までエルビス・コステロの奥さんとは知らなかった。知識に暗いにもほどがありますが、よりによってコステロの奥さんとは。作曲家としてはいい曲書いているとは思いますがフロントマンとしてはあまり好きではないんですよね。なんか悔しい。
この曲、『Have yourself a merry little christmas』はジュリーガーランド主演の『Meet Me in St. Louis』というミュージカルで歌われている曲。その後、いろいろな人がカバーしてます。






Judy Garland - Have Yourself a Merry Little Christmas





あなたのためにささやかなメリークリスマス。

あなたの心を明るく照らして。

心配事なんて消してあげましょう。

だって、今夜はあなたのためのささやかなメリークリスマス。







『Christmas Songs』が無かったのでお勧めを何枚か








少彦名のきのこ図鑑7 スッポンタケ

2018.10.30 (Tue)
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2018年10月25日撮影


家の裏で恐竜の卵を見つけました。
もうすでに孵化が始まっていて何やら目のようなものがこちらを恐る恐る伺っています。






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見つけたのは家の裏の石垣。
裏の山のもみじはいつものように真っ赤に紅葉しています。







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二日後
ついにその姿を現しました。スッポンタケです。
しかし真っ白なものは初めて見ました。スッポンタケの別種かなと初めは思いましたがよく見るとすぐ近くに頭の黒いのが一本生えていましたので何かの拍子にグレバの部分が抜け落ちてしまった個体のようです。

スッポンタケ、学名を『Phallus impudicus』、ラテン語で『厚顔無恥なペニス』。日本でも、くそたれきのご、 へびたけ、きんたまっこ、と、言われ放題のキノコです。そんなこともあってか日本ではあまり食用にすることはありませんが中華やヨーロッパでは頻繁に食べられる、近縁で白く美しいベールをまとった『キヌガサタケ』と合わせて食味のいいおいしいキノコ、キヌガサタケは高級食材として珍重されています。山林、原野、空き地など様々な場所に生え、私が東京にいたときに採取したのは道端の街路樹を伐採した直後の日当たりのいい斜面にびっしりと生えていました。





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上が通常よく見る形状のスッポンタケ。頭にグレバと呼ばれるねばねばした胞子の塊が付着していてこれがかなりの悪臭を放ちます。繁殖はこの匂いによって蠅をおびき寄せて胞子を運ばせる虫媒方式。軸の部分は柔らかくスポンジ状、基部の卵のような部分はゼリー状で薄い皮でおおわれています。







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試しに卵の部分のゼリーを食べてみました。
湯がいて酢醤油で、飾りつけすればちょっとした酒のつまみに見えなくもないですが・・・
・・・マズイデス。グレバの臭みと何とも言えない食感と口の奥に湧き上がるあわい酸っぱさと。これでもう少しグミのように歯ごたえがあれば耐えられそうですが口の中でとろけるような感覚が逆に気味が悪いです。






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軸の部分。一見柔らかく味もそっけもなさそうに見えますが結構コクがあってスポンジ状のしゃきしゃきとした歯ごたえで、スープにも良い出汁が出ます。やはり家の裏でできたナメコと一緒に今夜はビールとキノコ鍋。ただし食べ過ぎは厳禁のようです。キノコの中ではよくあることなのですがお酒と一緒に食べると深酒になったり悪酔いするものが何種類かあります。この、スッポンタケもその一つのようで、さらに食べ過ぎても体質によって酩酊したり幻覚を見たりするそうです。なので今夜はビール一本のみで。この一本きりで酩酊できるのであればちょっと得した気分です。







海道はじめ・スナッキーガールズ-スナッキーで踊ろう





悪酔いといえばこの曲の右に出る作品はありません。1968年に発表された幻の名曲。作曲は「早く帰ってコ」「矢切の渡し」「王将」などで知られる船村徹さん。残念ながら去年お亡くなりになりました。歌うは海道はじめ、バックを固めるのはスナッキーガールズ、小山ルミ、吉沢京子、羽太幸得子の三人。山本リンダが流行っていた時代と聞きますからちょっとその辺でおかしくなっちゃたのでしょうか。プリマハムの新商品『スナッキー』のイメージソングだったそうです。
今回は曲の紹介をするかどうかかなり迷いました。だってこの曲流しちゃうとどんな記事でも全部持ってかれてしまう。











たこ八郎

2018.08.05 (Sun)
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ある日、いつもの公園から帰ってくると家の中がすっごく臭かった。
昼間からカーテンを閉めて薄暗いリビングに母親がこっちを向いて鼻をつまみながらソファーのほうを指さして苦笑いしている。
並べられたソファーには見たこともない浮浪者がいびきをかいて眠っていた。

それがたこさんとの初対面だった。

たこ八郎。本名、斎藤清作。元日本フライ級チャンピオン、日本屈指の名コメディアン。父とは同じボクシングの仲間、一つ下の後輩、階級も彼のほうが軽い一つ下のフライ級。
現役の時はよくスパーリングの相手をさせられた。させられたというのもたこさんとやるのが本当に嫌だったそうだ。父のほうが彼より一つ重いバンタム級(当時はスーパーフライ級という階級はありませんでした。1980年新設)。当然試合をすれば圧勝なのだが、たこさん、これがどれだけ打ったって倒れない。打たれても打たれても手をぶらっと下げたままノーガードで頭から突っ込んでくる。しまいには相手が根負けしてみんなリングから逃げだしちゃう。『あしたのジョー』、矢吹丈のモデルになった伝説のボクサー。

たこさんは僕のことを『お坊ちゃん』と呼んでいた。お酒を飲むとすぐに酔っぱらった。というかお酒を飲んでないたこさんを見たことがない。酔うと子供の時の話ばかりした。僕のような子供を相手に楽しそうにお酒を飲んでいた。飲めば故郷が懐かしいとこぼした。終いにはいつも必ず泣き出した。おねしょしたカーキ色の作業ズボンを母親が洗ってた。

「お坊ちゃん、子供のころ、学校帰りに、毎日、麦畑に寝転んで、あの青い空を眺めながら、あれだよ、オナニーをするんだよ。きもちよかったなあー。あの真っ青な空。あの日に帰りたいなぁ。本当にあの青空はきれいだったなぁ。」

そういいながらいつものようにおいおい泣いていた。母親はたこさんがいるときはいつも黙って苦笑い。私は、とっても嬉しそうに話すたこさんが実はとっても寂しそうなんだなって。昼間、父が留守の家でたこさんの相手するのは私。酔っ払いのわけのわからない苦だ話になぜだかいつまでも付き合ってた。父ら友人の間では「迷惑かけて、ありがとう」というのが合言葉のようだった。  

ある日、明日CMの撮影がハワイであるので飛行機に乗らなきゃいけないという日に、家で、前日から飲み続けてべろんべろんに酔っぱらってて。仕事に行きたくないよーっ、て子供のように駄々をこねた。母親がタクシー呼んで無理やりに車に押し込めた。
「空港に行くにはね、こうこうこの電車に乗って、この時間には間に合うようにこうしてああして・・・運転手さん、お願いしますね。」
次の日たこさんから電話がかかってきた。飛行機に乗り遅れたって。山手線で眠りこけてぐるぐる回ってる間に飛行機、飛んでっちゃったって。
こんなこともあった。
カルビーだったかな?ポテトチップか何かのCM撮りでスポンサーの社長に製品の感想を聞かれたら、「おいしいけど、ちょっとしょっぱいね」って。
結局CM降ろされちゃった。

忙しくなって顔を見せなくなっても、よく電話だけはかけてきた。

「たこです。え、っと・・・・清作です。お坊ちゃまでいらっしゃいますか?お母上はいらっしゃいますか。」
「はい代わりました、はい、そうよ。仕事行ってる?ちゃんと食べてる?お酒ばっかり飲んでちゃだめよ。ご飯ちゃんと食べなさいね。」

ー 何の電話だったの?
ー 今何時かって、家に時計がないんだって。 
  
たこさん、他の人の話は駄々をこねて聞かなかったけど母親の言うことだけは素直に聴いていた。  




それから何年かしたある夏の日、たこさんが死んだ。お酒を飲んだまま海に入ってそのまま帰ってこなかった。
その日から直前、ここ半年、一年間はたこさんからかかってくる電話は長電話が多くなっていた。いつも母親は困ったような、深刻な顔で親身になって相談に乗ってあげていた。
電話口でいつも泣いていた。結婚するのがどうしてもいやだって。あるひとにずいぶんと言い寄られて、それこそ家にまで押しかけてくるようで困っているって。確かそのころはほとんど彼女と一緒に暮らしてたみたい。たこさんもその人がとっても面倒見のいい、良い人で好きだって言ってたらしいけど、でも自分には結婚する自信がないんだって。怖いんだって。いつまでも自由でいたいんだって。相手は名前は出さないけど、今でも芸能界で活躍してるあの人。母親はたこさんの話を聴きながらその彼女のことをずいぶん強引な人だと怒ってた。
           あき竹城   自殺
亡くなる一か月前は特に頻繁に電話がかかってきた。毎週、それこそ毎日。そして、あの日、たこさんは戻ってこなかった。私たち家族の間では、口には出さないけど、みんな、たこさんは自分で行っちゃったって思ってる。
たこさんの思い出。いやだなって思ったのは最初の日の、あの酒臭い、お風呂にも入っていない、強烈なあの匂いだけ。
ただただ思い出すのは人のいい笑顔と子供のようなあの泣き顔と。


夏の青空の下、いつものように酔っぱらったまんま、たこさんは自由の海に帰っていっちゃった。






 Somewhere over the Rainbow - IZ
  
 


イズラエル・カマカヴィヴォオレ
Israel Kaʻanoʻi Kamakawiwoʻole 愛称“IZ”ハワイアンの伝説的歌手。38歳の若さで死去。たこさんと一緒で神様に愛された人。
この曲、前にも紹介したけど、たこさんのための選曲となるとどうしてもこの曲しか思いつかない。僕も何かあると彼のアルバムを引っ張り出して聞いている。今も聞きながら涙が出てきて止まらない。

本当は日本ボクシング連盟の話を持ってこようかと思ってたけど、僕のたこさんと同列に書くにはあまりにあの会長は低俗すぎて。
たこ八郎の、斎藤清作さんの爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。

たこさん、ブログになんか書いちゃって、ごめんね。








女医さん

2018.08.04 (Sat)
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この間。ブログにも書いたけど、突然目が見えなくなったじゃない。見えないって書くと衝撃的だけど全部じゃなくって視界の一部がね。

その時見てもらった先生が女性だったのね。諏訪中央病院の若い女の先生。
まだ経験も豊富なわけじゃないけれど一生懸命診察してくれて、分かりやすく説明してくれて。
すっごく安心できたのね。
仕事休んでまで来てよかったなって。

東京医科大の事件/東京医大入試 女子一律減点
患者さんのためにしっかりした能力のあるお医者さんを育てるつもりが全くないんですね。他の大学も多かれ少なかれ同じようなことやってるんだって。私たちは高い能力のある、それに見合う努力を惜しまない、しっかり患者の目線で考えてくれる、女だろうが男だろうが、本当にいいお医者さんにかかりたいの。
こういうふざけた大学は『東京』とか名乗っちゃだめね。
東京の名も汚れるし、第一紛らわしいから。

ついでだけど日本大学もダメ。
学生のころは、『日本大学株式会社』って馬鹿にしてたな。
自主創造だっけ。笑わせるよな。学生たちがかわいそうみたいな報道が多いけれど、いつから大学生って『こども』になったんでしょうか。前にテレビで、あの事件に関するインタビューを当該学生に聞いてたのが流れてた。「興味ないから」「自分には関係ないから」みたいなのがほとんどだった。
「アメフト監督が解雇されましたけど?」
「自分には関係ありません」
これってアメフトの学生の発言ね。事件自体より実はこれが一番びっくりした。
何かあったら自分たちで変えてみろよ。これだけのことが起きてるのに学内で何も起こらない。これって普通に考えて異常だと思います。大学生っていつから『ガキ』になったんだろうか?
日本大学に『日本』の名称を許可した覚えはありません。



Swans - Big Strong Boss







スワンズ
アメリカのポストパンクバンド。一時期こんなのばっかり聞いてた時期がありました。てゆうか、結構長い期間、音楽に本当に目覚めたころはこんなのばっかり大音量で聞いてました。
で、なんで今夜この曲かっていうと、なんか強くなったような気分になるじゃない?
ただの自己顕示、強がりでございます。




Swans - Stay Here












ありがとう

2018.05.10 (Thu)
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『くんざん』さんから夏ミカンが届いた。
手作りの自家製味噌と一緒に。







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畑の合間にみんなで夏みかんを頬張った。
そういえば寒い信州では夏ミカンを見かけることがあまりない気がする。

仕事のほうは順調。
派遣社員のくせに研修に来た新入社員に一日付きっ切りで仕事を教えている。
おかげで一日の作業はあっという間に過ぎてゆく。








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職場で知り合ったインドの青年。
食堂での自分の居場所がなかなか見つからずたまたま座った席の隣がインド人の集団だった。
それも私がよく知っているチェンナイのエンジニア。
『イチド、ハタケヲテツダッテミタイデス』
お、いったな♪ ということで先月休日返上で無理やり畑に連れ出してジャガイモを植えました。
今年はあきらめていた畑仕事、ふたを開ければ村の誰よりも早く仕事を始めています。
そういえば、アイヤッパの旅、書きかけの『南インド紀行』
いつになったっら完結するのだろう。









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やりたいこと。やるべきこと。やらなければいけないこと。
やらなければがたくさんあり過ぎて心が痙攣してしまう。
レナードの朝のあの病気のように、激しい痙攣はまるで死んでしまったように私の心を縛り付けてしまう。
気持ちばかりが焦って春のとめどない季節の流れをただ見送るばかり。
走ってもいないのに動悸ばかりが激しく胸を打っている。








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『ぽっけ』さんからバレンタインデーにもらった大きなチョコレートの包み。
とてもおいしかった。食べ終わるのに一か月かかった。
簡単に『とてもおいしかった』と書くのははばかれるほどおいしかったのに・・・・
何もお礼できるものがないなあと思っていたらホワイトデーにメールが届いて、おかえしがないぞー、コラ。と怒られた。
仕事は順調だ。しかし、いつの間にか日常に安心して私の心は痙攣で動かなくなった。









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『カレーリーフ・久美子』さんからもたくさん贈り物をいただいた。
金山寺味噌やらシガレット・チョコやら手作りギーやら。
会社帰りのスーパーで夕方セールの半値になったお刺身を買って、酢飯に乗せた即席ちらし寿司にいただいた和歌山のたまり醤油をかけていただく。これが最近の私の夕飯。
トロリと少し甘みがあって、九州で頑張っていた時にいつも使っていた甘いお醤油を思い出す。
夏みかんに、大きなチョコレートに、特製たまり醤油。考えてみればなんて贅沢な毎日なのだろう。あーあー、と一人めそめそしている場合ではない。








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今年は毎月、新曲をアップしようと心に誓ったのにもうすでに挫折しかけている。
あらら、また動悸だけが激しくなる。
鬱の人に「頑張れ」と声をかけるのはいけないと聞いた。しかし、それでも頑張れと自身に声をかける。









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日頃のお礼に、贈り物をいただいた皆さんに、上野大根の糠漬けを送りました。
去年はあまりに寒くて大根が凍ってしまって漬けあがりがいまいちだけど、おいしく食べてください。
しかし慌てて送ったのでポッケさんとカレーリーフさんの荷物を取り違えて送ってしまいました。
お詫びの電話をして初めてカレーリーフさんとお話をした。早口のかわいらしい声の人だった。どんな人かなと考えたことはなかったけれど話してみたら何となく想像していた感じだったのでちょっと可笑しかった。









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「今夜は必ずブログを更新します。そういう決意で今家に帰っているところです。」
そう言い切って電話を切ったがあまりにつかれていてパソコンの前で気が付いたら眠っていました。
春の山は日々色を変えて私を置いてきぼりにする。
もうすぐ夏が来るよ、さあがんばれがんばれ。








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出来ないことを可能にするために力を注ぐより、出来ることをこなしてゆくほうが実はとても難しい。
自分の中にあるものをひとつづつ形にしてゆく。
書き留めることでひとつづつ形にしてゆく。
今まで簡単にできたことが何故かむづかしく感じられる。
あたらしい本を開くのにとてつもなく勇気が必要になる。
日常に埋没する恐怖。日常の安心の中によどんでゆく病。
ああ、いけないイケナイ、ガンバレガンバレ。









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『くんざん』さんから頂いた手作り味噌、『ズク』がない私は真っ白なご飯にそのまま載せていただいている。
自分で作った新米の香りと手作りの麹の香り。
なんて贅沢な食事でしょう。

そうだ、今日あたり『お化けの猫』さんから贈り物が届く。
彼に会わなかったら・・・実際は未だあったことがないのだが・・・彼と出会わなかったらブログも書いていなかったし、もしかしたら長野にも引っ越ていなかったかもしれない。
未だあったことのない友達、送られたお酒を開けるときはまだ見ぬ友を想って独り乾杯をする。











Soha - Mil Pasos





Soha
ソア。『ソア』と呼ぶのか『ソハ』なのかは知りません。フランス語では『H』は発音することがほとんどないので。しかしお名前なので例外もあります。アルジェリア系フランス人の女性歌手。2007年のアルバム『D'Ici Et D'Ailleurs』からの一曲。
言葉もわからないし旋律も日本のものとはかけ離れている異国のものだけど何故か郷愁を誘う。こういった成熟した音楽を聴くと低俗でつまらない雑音で満たされている日本の街を飛び出してバック一つ、見知らぬ国をさまよっている自分の姿を夢想してしまいます。









御神渡り 復活 2018年2月17日

2018.02.17 (Sat)
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先週の温かさで溶けかけていた御神渡り、
休みの朝は御神渡り参りが日課になりつつあります。




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同じような写真ばかりになりますが今度はいつみられるかわかりませんのでなるべく記録にとどめておきたい。




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まづは穴場のファミリーマート岡谷濱湖畔店前。
正式な御神渡りではないですがここは人がいないのでゆっくりできます。

地図はこちら




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御神渡りの向こうにワカサギ釣りのドームに向かうお客を乗せた釣り船。ここだけ一本氷を割った小道ができています。





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諏訪湖畔には何故か二両のデゴイチが二か所に離れて展示してあります。一つは諏訪市に。もう一両は岡谷市に。





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こちらは岡谷市のD-51
近くに足湯もあります。







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寒暖を繰り返して見事に折り重なった御神渡り。
大きい時は2メートルもある隆起が見られるそうです。






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デゴイチの前の河口では早朝、白鳥の餌付けも見られます。







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そこから西に向かった赤砂崎公園が一番の観光スポットでしょうか。






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湖で冷やされた冷たい風に凍えながら観光客がこぞってシャッターを切っています。


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それにしても今日は寒い。
風が強くてそのうえ雪まで舞ってきました。



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涙は出るは鼻水は垂れるは。
でも、これだけの美しい景色はそれに耐えるだけの価値はあるでしょう。






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車で通り過ぎたセブン‐イレブン 下諏訪湖岸通り店前の御神渡りは溶けてなくなっていました。傷跡のような切れ目が氷の上に残るくらい。
写真は八重垣姫、浄瑠璃、歌舞伎の演目『本朝廿四孝』の登場人物だそうです。足元の溶けだした亀裂がわずかに変化しているのでしばらく眺めていると音を立てて隆起してくるのがわかります。今夜再び気温が下がればこの場所も御神渡りができているかもしれません。





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昔は湖の上でスケートができたくらい。
母親も子供のころ滑ったそうです。








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Antony and the Johnsons
- Her Eyes Are Underneath The Ground






アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズ / Antony & the Johnsons
なんだか洗剤メーカーの社名みたいなバンド名、イギリスのボーカリスト、アントニー・ヘガティ / Antony Hegarty率いる音楽ユニットからの一曲。ルーリードに「天使の歌声」と絶賛され一時期ツアーやアルバム制作にも参加していた。天使の歌声かどうかはさておき、かなり癖のある好き嫌いがはっきりする印象的な声の持ち主。実際私も波長が合わない日は耳にしたくもない。ただ、今日のような雪の舞う湖畔を見渡す山の中で酒を酌み交わすには結構粋な雰囲気ではある。






Antony and the Johnsons - Hope There's Someone




Antony and the Johnsons - The Spirit Was Gone



踊るのは世界的な日本の舞踏家、大野一雄氏、アントニーが敬愛してやまない芸術家の一人だそうだ。私もほんの物心ついた幼い時、銀座の路上で音楽に合わせもだえ苦しむ彼の姿を目の前で見て心底ショックを受けた記憶がある。











『フィリピン・南国の光』 大家族

2018.01.25 (Thu)
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兄弟11人が一人もかけることなく元気で顔をそろえるなんてそれだけで素晴らしい。


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神に祝福された大家族。
二百人を軽く超えてる今日のパーティ。


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お世辞だとわかっていても君ももうすっかり家族だよなんて言われるとやっぱりうれしい。



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親戚がこれだけ集まって飲んで騒いで。
日本だったら酒に飲まれて管巻いてからんでくるおやじの一人や二人。




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しょうもない喧嘩の一つや二つ。
当たり前にあるんだけど。




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暗い顔した奴は一人もいないんだもんな。





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バトン片手にセクシーダンス。
観客がたくさんな分、おひねりいっぱいもらってました。当然私も御贔屓で。
踊る曲はドナサマーのホットスタッフでした。





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Donna Summer - Hot Stuff







お伊勢講

2018.01.15 (Mon)
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先輩方とともに村の代表としてお伊勢様に参拝に参りました。



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参道には古風な屋敷を改装した立派な店屋が軒を並べていて思いのほか活気のある華やいだ様相です。
もっと、落ち着きのある神聖な場所を想像していたのでびっくりしました。




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神様の宿る場所は神聖であると同時に民衆の楽しめる幸せで平和な場所じゃないといけませんね。
と、じぶんに言い聞かせながら早くも参拝後のビールとおつまみをひそかに物色しています。




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今朝はよく晴れてとても暖か。信州の山奥から来た私たちにとってこの暖かさはまるで楽園のようです。
天照様をお参りするには絶好の春めく日差し。さんがにち仕事で終わった私には本日が初詣です。



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境内には冬というのに青々と葉を茂らせた巨木が林立しています。
「これはなんて~木だい?」
大先輩の質問にすかさず「クスノキです」と答える私。
寒い信州の山間にはめったに生えない楠、生まれながらの山の男でも見たことの無い樹木の名は知る由もなく。


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伊勢神宮・内宮 『御正宮』
写真を撮影できるのは石段下のここまで。
周りをぐるりと取り囲む巨木と同じ時代。太古の姿を現代にとどめている質素な姿は神々しく見る者を魅了します。



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母方の屋号は『伊勢屋』
伊勢から信州に落ち延びた源氏一族の末裔です。
信州で細々と大根を作っております。どうかお守りください。



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帰ってからおいちゃんに聞いたら、御柱の年のお伊勢参りは諏訪大社の氏子ということで特別に『御正宮』の中まで参拝させてもらったそうです。
すっごいうらやましい。



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そんなわが村のお伊勢参りも今年で最後。
村民の高齢化もあり、代々続いた村の伊勢講も今日で解散です。





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