雨乞い

2018.08.16 (Thu)
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ここ一か月、まともに雨が降っていない。
世間ではゲリラ豪雨と連日方々で騒々しいが、方や、この峠の村は雨雲に嫌われているかのように全く雨が降っていない。
数えてみてもこの一か月、雨が降ったのはたった二日だけ。それもほんの一時の通り雨と、お付き合い程度の霧の雨。
畑にトラクターで入れば二、三分で車も体も真っ赤赤のほこりまみれ。流砂に埋まるように、ついにトラクターは乾いた土に飲み込まれて動かなくなった。



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それでも夕方には雨が降り始めて。まとまった雨はこの夏初めての待望の雨。今まで行ったこともない山林の山道を雨乞いの雨の匂いに誘われて奥へ奥へと分け入って。




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開けた草原に大きな角を広げた雄鹿が悠然とこちらを眺めている。あまりの見事さにこちらも呆然とにらみあう。




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雨のない日が続いているのにこんこんと湧き続ける谷間の湧水。
手で受け取ってのどに流し込むその掌が凍えるほどに冷えて冷たい清流の泉。




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この一か月、一滴も雨を降らせなかったお天道さんはよりにもよって、花火大会の当日に久々の恵みの雨。






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しかし、百姓の私にとっては一年に一度の花火大会よりも大切な、大地に降り注ぐ今夜の雨。ゲリラ豪雨だろうと集中豪雨だろうととにかく気のすむまで雨を降らせてくれ。
そういえば諏訪の花火はいまだかつて見に行ったことがない。大会の日に行かなくとも夏の間、諏訪湖のほとりでは毎日15分間、観光客のために打ち上げ花火があがる。大体いつもは忙しく、花火大会の日程なんて毎年すっかり忘れてしまう。
ところで、夕立とゲリラ豪雨ってどこが違うんだ?テレビ局から流れる言葉は増々下品になってゆく。






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峠の上から眺める花火。
雨露に濡れた夏草にうずくまって一人眺める夏を見送る湖面の花火。














Alice Fredenham   'My Funny Valentine'









アリス・フレドナム
イギリスのジャズボーカリスト。Britain's Got Talent / ブリテンズ・ゴット・タレントで一躍注目を浴びプロデビューの道を開く。デビューアルバムはコアなファン達からの出資で製作開始、2015年には発表される予定でしたが、伸びに伸びて去年の2017年2月にあの懐かしのチェリーレッド・レーベルから発売の運びとなりました。
このアルバム、すべてジャズのスタンダード、カバー曲を集めた一枚になりますが、彼女の謳うマイ・ファニー・ヴァレンタインを聴く為だけでも手に入れる価値あり。子供の時に聞いたヘレン・メリルが歌う“My Funny Valentine”の衝撃は今でも鮮明に覚えていますが、星の数ほどいる女性ボーカリストの中で、これほど切なく、この名曲を歌い上げる鬼気迫る姿はなかなか見れないのではいかと思います。
彼女のどこか危なっかしいキャラクターを生かすだけのコンセプト、バックを固める優秀なミュージシャンやアレンジャー、技術屋、コンポーザーがそろえばさらにいい作品ができるのではないかな。二枚目に期待。


“My Funny Valentine” を初めて聞いたのはサラボーンでもなくチェット・ベイカーでもなく、ましてやオリジナルのフランク・シナトラでもありません。そのうえ、私の手に入れたヘレン・メリルのミニアルバムは市販されていたものではなく何かオーディオ雑誌の付録でついてきた24bit試験録音の視聴盤。オーディオファンのためにわざわざ来日して収録した貴重なものでした。それ以来、ジャズボーカルといえばヘレン・メリル。彼女のハスキーな歌声は今夜紹介したアリス・フレドナムと通じるものがありますね。ところで、一時期聴きまくっていたその視聴盤、今でも実家を探せばあるのかな。


Alice Fredenham - Hushabye Mountain











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たこ八郎

2018.08.05 (Sun)
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ある日、いつもの公園から帰ってくると家の中がすっごく臭かった。
昼間からカーテンを閉めて薄暗いリビングに母親がこっちを向いて鼻をつまみながらソファーのほうを指さして苦笑いしている。
並べられたソファーには見たこともない浮浪者がいびきをかいて眠っていた。

それがたこさんとの初対面だった。

たこ八郎。本名、斎藤清作。元日本フライ級チャンピオン、日本屈指の名コメディアン。父とは同じボクシングの仲間、一つ下の後輩、階級も彼のほうが軽い一つ下のフライ級。
現役の時はよくスパーリングの相手をさせられた。させられたというのもたこさんとやるのが本当に嫌だったそうだ。父のほうが彼より一つ重いバンタム級(当時はスーパーフライ級という階級はありませんでした。1980年新設)。当然試合をすれば圧勝なのだが、たこさん、これがどれだけ打ったって倒れない。打たれても打たれても手をぶらっと下げたままノーガードで頭から突っ込んでくる。しまいには相手が根負けしてみんなリングから逃げだしちゃう。『あしたのジョー』、矢吹丈のモデルになった伝説のボクサー。

たこさんは僕のことを『お坊ちゃん』と呼んでいた。お酒を飲むとすぐに酔っぱらった。というかお酒を飲んでないたこさんを見たことがない。酔うと子供の時の話ばかりした。僕のような子供を相手に楽しそうにお酒を飲んでいた。飲めば故郷が懐かしいとこぼした。終いにはいつも必ず泣き出した。おねしょしたカーキ色の作業ズボンを母親が洗ってた。

「お坊ちゃん、子供のころ、学校帰りに、毎日、麦畑に寝転んで、あの青い空を眺めながら、あれだよ、オナニーをするんだよ。きもちよかったなあー。あの真っ青な空。あの日に帰りたいなぁ。本当にあの青空はきれいだったなぁ。」

そういいながらいつものようにおいおい泣いていた。母親はたこさんがいるときはいつも黙って苦笑い。私は、とっても嬉しそうに話すたこさんが実はとっても寂しそうなんだなって。昼間、父が留守の家でたこさんの相手するのは私。酔っ払いのわけのわからない苦だ話になぜだかいつまでも付き合ってた。父ら友人の間では「迷惑かけて、ありがとう」というのが合言葉のようだった。  

ある日、明日CMの撮影がハワイであるので飛行機に乗らなきゃいけないという日に、家で、前日から飲み続けてべろんべろんに酔っぱらってて。仕事に行きたくないよーっ、て子供のように駄々をこねた。母親がタクシー呼んで無理やりに車に押し込めた。
「空港に行くにはね、こうこうこの電車に乗って、この時間には間に合うようにこうしてああして・・・運転手さん、お願いしますね。」
次の日たこさんから電話がかかってきた。飛行機に乗り遅れたって。山手線で眠りこけてぐるぐる回ってる間に飛行機、飛んでっちゃったって。
こんなこともあった。
カルビーだったかな?ポテトチップか何かのCM撮りでスポンサーの社長に製品の感想を聞かれたら、「おいしいけど、ちょっとしょっぱいね」って。
結局CM降ろされちゃった。

忙しくなって顔を見せなくなっても、よく電話だけはかけてきた。

「たこです。え、っと・・・・清作です。お坊ちゃまでいらっしゃいますか?お母上はいらっしゃいますか。」
「はい代わりました、はい、そうよ。仕事行ってる?ちゃんと食べてる?お酒ばっかり飲んでちゃだめよ。ご飯ちゃんと食べなさいね。」

ー 何の電話だったの?
ー 今何時かって、家に時計がないんだって。 
  
たこさん、他の人の話は駄々をこねて聞かなかったけど母親の言うことだけは素直に聴いていた。  




それから何年かしたある夏の日、たこさんが死んだ。お酒を飲んだまま海に入ってそのまま帰ってこなかった。
その日から直前、ここ半年、一年間はたこさんからかかってくる電話は長電話が多くなっていた。いつも母親は困ったような、深刻な顔で親身になって相談に乗ってあげていた。
電話口でいつも泣いていた。結婚するのがどうしてもいやだって。あるひとにずいぶんと言い寄られて、それこそ家にまで押しかけてくるようで困っているって。確かそのころはほとんど彼女と一緒に暮らしてたみたい。たこさんもその人がとっても面倒見のいい、良い人で好きだって言ってたらしいけど、でも自分には結婚する自信がないんだって。怖いんだって。いつまでも自由でいたいんだって。相手は名前は出さないけど、今でも芸能界で活躍してるあの人。母親はたこさんの話を聴きながらその彼女のことをずいぶん強引な人だと怒ってた。
           あき竹城   自殺
亡くなる一か月前は特に頻繁に電話がかかってきた。毎週、それこそ毎日。そして、あの日、たこさんは戻ってこなかった。私たち家族の間では、口には出さないけど、みんな、たこさんは自分で行っちゃったって思ってる。
たこさんの思い出。いやだなって思ったのは最初の日の、あの酒臭い、お風呂にも入っていない、強烈なあの匂いだけ。
ただただ思い出すのは人のいい笑顔と子供のようなあの泣き顔と。


夏の青空の下、いつものように酔っぱらったまんま、たこさんは自由の海に帰っていっちゃった。






 Somewhere over the Rainbow - IZ
  
 


イズラエル・カマカヴィヴォオレ
Israel Kaʻanoʻi Kamakawiwoʻole 愛称“IZ”ハワイアンの伝説的歌手。38歳の若さで死去。たこさんと一緒で神様に愛された人。
この曲、前にも紹介したけど、たこさんのための選曲となるとどうしてもこの曲しか思いつかない。僕も何かあると彼のアルバムを引っ張り出して聞いている。今も聞きながら涙が出てきて止まらない。

本当は日本ボクシング連盟の話を持ってこようかと思ってたけど、僕のたこさんと同列に書くにはあまりにあの会長は低俗すぎて。
たこ八郎の、斎藤清作さんの爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。

たこさん、ブログになんか書いちゃって、ごめんね。








女医さん

2018.08.04 (Sat)
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この間。ブログにも書いたけど、突然目が見えなくなったじゃない。見えないって書くと衝撃的だけど全部じゃなくって視界の一部がね。

その時見てもらった先生が女性だったのね。諏訪中央病院の若い女の先生。
まだ経験も豊富なわけじゃないけれど一生懸命診察してくれて、分かりやすく説明してくれて。
すっごく安心できたのね。
仕事休んでまで来てよかったなって。

東京医科大の事件/東京医大入試 女子一律減点
患者さんのためにしっかりした能力のあるお医者さんを育てるつもりが全くないんですね。他の大学も多かれ少なかれ同じようなことやってるんだって。私たちは高い能力のある、それに見合う努力を惜しまない、しっかり患者の目線で考えてくれる、女だろうが男だろうが、本当にいいお医者さんにかかりたいの。
こういうふざけた大学は『東京』とか名乗っちゃだめね。
東京の名も汚れるし、第一紛らわしいから。

ついでだけど日本大学もダメ。
学生のころは、『日本大学株式会社』って馬鹿にしてたな。
自主創造だっけ。笑わせるよな。学生たちがかわいそうみたいな報道が多いけれど、いつから大学生って『こども』になったんでしょうか。前にテレビで、あの事件に関するインタビューを当該学生に聞いてたのが流れてた。「興味ないから」「自分には関係ないから」みたいなのがほとんどだった。
「アメフト監督が解雇されましたけど?」
「自分には関係ありません」
これってアメフトの学生の発言ね。事件自体より実はこれが一番びっくりした。
何かあったら自分たちで変えてみろよ。これだけのことが起きてるのに学内で何も起こらない。これって普通に考えて異常だと思います。大学生っていつから『ガキ』になったんだろうか?
日本大学に『日本』の名称を許可した覚えはありません。



Swans - Big Strong Boss







スワンズ
アメリカのポストパンクバンド。一時期こんなのばっかり聞いてた時期がありました。てゆうか、結構長い期間、音楽に本当に目覚めたころはこんなのばっかり大音量で聞いてました。
で、なんで今夜この曲かっていうと、なんか強くなったような気分になるじゃない?
ただの自己顕示、強がりでございます。




Swans - Stay Here












ミンミンゼミ

2018.07.29 (Sun)
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今日ミンミンゼミが初めて鳴いた。
いよいよ八月、いろいろなものが一度にどっと押し寄せてくる季節です。





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田んぼの雑草もあらかたかたずいて、『恐ろしく草の多い田んぼ』から『普通に雑草の多い田んぼ』くらいにはなりました。
写真は今回大活躍した白兵戦の秘密兵器、『ゴリアテMk.II』 一代目は
『妄想・ドイツ機甲師団 第2話』で登場したすっごい重くて方向転換するのも一苦労だった奴。百姓初めて一年目だったのであの作業は心底泣きました。ブログも始めたばかりだったので何とかして面白い話題を書いてやろうと『妄想ドイツ機甲師団』なんて無理やりカテゴリー立ち上げたりなんかして、でもそうこうしてるうちに書きたいネタなんかは日々自然と降ってくるもので結局この企画、第二話で終わっちゃた。今読み返せばなんともかわいらしくわくわく感は伝わってくるけど、文字で残すというのは責任の伴うものでこの場合は責任というほど重大なものではないけど、「あら、恥ずかしい♡」というくらいのむずむず感はこうやって世界の片隅に残ってゆくんだろうな。ブログネタは日々増え続けて今では本当に書きたいことが書けなくなって、なぜって、書かなきゃという強迫観念もあるしそれに伴ってちゃんと書こうと意気込みするものだからどうしても筆が止まってしまう。インド紀行とか、フィリピンの旅とか、上野大根のこととか・・・・。そんなこんなでミンミンゼミにかこつけて息抜きがてらどうでもいいことを記事にしてかいています。






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やっと水面が見えるようになりました。あとは時間を見て株間の草をとっていくだけ。でも、普通の田んぼの管理でいえばこの状態から「草が生えてきたぞ!」とばかり草かきの作業が始まるんですけどね。
ミンミンゼミといえばこの辺では昔はあまり鳴き声を聞かなかったんだそう。そういえば、東京にいたときも子供の時はセミといえば“アブラゼミ”。東京でミンミンゼミが増えてきたのはここ数10年くらいじゃないですか?しかしそんなことよりいつも思うのはセミの鳴き声と書いてみてとっても違和感を感じること。だって、セミって声を出すような口もってないでしょ。







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カレーリーフ・久美子さんから頂いた金山寺味噌で、初物のキュウリをいただきました。金山寺味噌ってちょっと高級なお味噌だと思ってたら中にいろいろ野菜がつけてあって少し甘くって想像してたのと全然違った。これ、ご飯に乗せたらすごくおいしそうだね。新米ができるまでしまって取っておこう。お味噌といえば、そうそう、くんざんさんにいただいた手作り味噌。おつゆのみにして少しずついただいてたんだけど、おいちゃんがいたく気に入って、分けてくれって分けてあげたらあっという間になくなって、少し残しといてって言っておいたんだけど、あーあ、キュウリが採れ始まるのを楽しみにしてたんだけどな。

今日は一日炎天下で草刈り。水風呂浴びてパンツ一丁に金山寺味噌とお皿に乗ったキュウリ一本。首の日焼けにビールがしみるぜ。







Emilie Simon - Song of the storm





エミリー・シモン
フランスの女性歌手、作曲家。幼少より音楽の英才教育を受けた不思議少女。かと思ってたらなんてことない、今夜紹介した一曲目は"La Marche de l'Empereur"のサウンドトラック。いつか見てやろうと思ってた皇帝ペンギンの家族を一年間追い続けたドキュメンタリー映画を全編担当してる半端ない才女でした。大体私の持っているアルバムもデビュー作かなと思ってたら2006年までに発表していた三作品のベスト盤。情報的な音楽知識には全く無頓着なのでこういう機会がないとほぼ調べないのですがかえって予備知識なしに音楽に接することができるのでよしとします。さて、このコケティッシュな女の子、追いかければ追いかけるほど危ない香りが致します。どこか、ケイトブッシュを彷彿とさせるような、否、ケイトの生き写しではないかしら。いい女というのは世の中にたくさんいるけれどこういう女にのめりこんだらやけどじゃすみませんね。やけどというかドライアイスに触ったら手から皮膚が焼けてはがれて離れない感じ。そういえば皇帝ペンギンは遥か南極の南半球。今、日本は死人が出るほどの異常な夏ですが、南半球のペンギンたちは、たった今、この時間も世界で一番厳しい冬を耐え忍んでいるんだろうな‥‥ なんて考えてたら、ほら、彼女の音楽聞いてるとなんか不思議な気分になっちゃうでしょ。



Emilie Simon - Dame De Lotus




かっこいい女ですね。才能があって美人でしかも魅力的で、神様はどうしてこうもえこひいきなんでしょうか。二曲彼女のオリジナルを紹介したけど実は彼女の曲で一番好きなのはザ・ストゥージズのカバー曲。原曲のイメージを壊さずに全く別の楽曲に仕上げています。脱帽です。
そういえばずいぶん前に紹介した私の大好きな曲、クリス・アイザックの Wicked Game もカバーしてたな。もしかしたら音楽の趣味が奇麗な彼女と合うのかもしれないな。と、世迷言はこれくらいにして、では、オリジナルと合わせて、二曲続けてどうぞ。
(デビュー盤と今回紹介したコンピュレーション盤とは若干バージョンが違います。聞き比べるのも面白いかもしれません)




Emilie Simon - I Wanna Be Your Dog



The Stooges - I wanna be your dog










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Seeds of Night

2018.07.27 (Fri)
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家に帰ってみたらROUGEさんからバラの本が届いてました。
家の目の前に小さな畑を改めて造って、彩にバラを一本植えようと思って、何がいいですか?と数限りなく存在するバラの品種の中から無謀にも最高のものを一本選べと、なんとも失礼で無責任な質問をROUGEさんにぶつけたところ、それでは大事にしていたこちらの本をそなたに差し上げましょう、と優しいお言葉をいただきました。
私の畑は裏山の斜面に。夜中、なんか食べたいなと思ってもわざわざ暗闇の中採りに行くことも出来ず、ならばと思って台所のすぐ横に土留めの木枠は組んで見たものの未だに肝心な用土も運び込んでおらず空っぽのまんま。農作業がひと段落ついてから軽トラでえっちらおっちら運び込むとしましょう。

さて、ROUGEさんから届いた本に目を落とすもつかの間、まだ日が高いうちにやってしまおうと工場で働いている最中からグッと心に決めた勢いそのままに裏山の畑に向かいましたら、あらららら、ら!十日も見ないうちに、この暑さのせいでしょうか、株間の雑草が腰の高さまで、はるかに作物の背丈を超えて生い茂ってるじゃありませんか!すぐさま管理機のエンジンはフルスロットルに、夕日に照らされた夏草をバッタバッタとなぎ倒す。しばらくすれば夜空には真ん丸の赤いお月様、すっかり日が暮れたにもかかわらず大きな月は電球のように山の斜面の畑にくっきりと私の影を映し出し、砂ぼこりの舞う乾いた赤土の上に両手をついて腰を深々と落とし、匍匐前進さながら、耕運機の刃に残った青草を這いずりながら手当たり次第ひっこ抜く。しかしその間、血に飢えた山中の虫という虫たちが私の頭の上に無数に群がってきて目と言わず鼻と言わず、耳の穴から、口の中まで。穴という穴に向かって急降下で次々と突っ込んでくる、まるで私は今にも沈みそうな満身創痍の巨大戦艦。日が落ちて二時間の間、漆黒の山の中には私の断末魔の悲鳴が月光の里まで響いておりましたとさ。






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ROUGEさん、ありがとう。
いただいた本、大切にしますね。きっときれいなバラを咲かせて見せます。


ROUGEさんのブログはこちら










The Cave Singers - Seeds of Night



Pete Quirk – vocals, guitar, melodica, harmonica
Derek Fudesco – guitar, bass pedals
Marty Lund – drums, guitar






ザ・ケイブ・シンガーズ
今日の一曲は夜の農作業、Seeds of Night ということで。シアトル出身のアメリカンバンド。日本ではほとんど無名ですがアメリカンロック特有の乾いた、それでいておおらかでリラックスした良質なサウンドを聞かせてくれます。フェイスブックで確認したところ現在も活動中のよう。今夜紹介したのはデビューアルバム、2007年リリースの 『Invitation Songs』 から冒頭一発目の曲。マイナーながら良質なポップスを奏でる彼ら。時にアコースティックで、時にブルージーで、あるいはディープに、ノスタルジックに。まったりとしたサイケデリックな夜には冷えたビール片手に彼らの歌に体を揺らすのもいい。お勧めです。



THE CAVE SINGERS - Falls













キャンプだホイ

2018.07.22 (Sun)
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スリランカの友達がキャンプがしたいということで近所のキャンプ場を紹介してあげた。







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よくバーベキューなんかで利用させていただく憩いの場所。
地域の森林組合の方々が無料で開放している小さなキャンプ場です。草刈りも行き届き薪なんかもうずたかく積まれていて、こういった無報酬の取り組みには本当に頭が下がります。
とうとうと流れる湧き水はキンキンに冷えていて本当においしい。ただ水を飲みに訪れるだけでも十分癒される夢みたいな場所です。








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今回はインド人、スリランカ人、マレーシア人、そして日本人の混成部隊。女子供は家に置いてきた男だけの飲み会です。







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もちろん私はゲスト扱い。インドの男性はこういった時には非常に熱心で、てきぱきとよく働きます。先に混成部隊と書きましたが実を言えば皆さんインドをルーツにしたタミル人、私と話す以外は皆さんタミルの言葉で楽しんでいます。
さて、ビール片手におつまみが出来上がるのを待つ私の傍らには、本日の相棒、モーリスの『W-40』が控えめに佇んでおります。せっかくですから、お肉が焼きあがるまでこのギターについて少々ご紹介をさせていただきましょう。 

Morris W40
モーリス楽器、W-40、生産拠点は長野県松本市。70年代から80年にかけて製造されていた日本が誇るお手頃ビンテージギターです。所有の一本は1970年代のラインアップ、マーチン社製の名器D-45の完コピ品。1976年製造と聞いていますが何故かヘッドには横書きではなく縦長のロゴが、マイナーチェンジしたときの最初期のものかもしれません。バックは茶色とナチュラルのスリーバック。作りも非常にしっかりしていて、当時の一流海外製品にも引けを取らない見事な仕上がりです。しかしそうはいっても海外有名ブランド丸パクリのコピー商品、マーティンのバッタ物じゃない?などと、ブログをご覧の皆様、決して本機を侮るなかれ。ボディーを構成している木材は、幻の銘木、バック、サイド、そしてヘッドのツキ板にまで、現在は入手不可能なあのハカランダ材を、合板ではありますがふんだんに使用しております。現代の状況では再現不可能、販売当時の価格が4万円台ということを考えるとあり得ないほどのコストパフォーマンスです。
音のほうは非常にバランスのいい、いわゆる『フォークギターらしい』音色です。マーティンDタイプはドレッドノート型と言われるだけあっておおらかで豊かな低音が特徴、ボディー全体でなってくれるのがダイレクトに体に伝わり非常に心地いい。かといってフィンガーピッキングにもしっかり対応できるキラキラ感も兼ね備えた、飽きの来ないオールマイティーなギターだと思います。出過ぎず飾らず、かといって埋もれることのけっしてない粒立ちのいいサウンド、40年の年月を重ねた枯れた味わいを持つ逸品です。


ドレッドノート/ Dreadnought はイギリスの戦艦。就航以前の軍艦をはるかに凌駕する性能を持ちド級戦艦『大きくて強力な戦艦』という用語を生み出した。ちなみに大和などの対戦中の戦艦は超ド級戦艦。


モーリスW-40で録音してみた小品がこちら
犬の散歩 - すくなひこな


一人で重ね録りなんですけど、どのタイミングで終わるのか分からなくなってしまって最後はなんだか変なことになってます。


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例の田んぼの草取りは現在も継続中。
へとへとになった体に夕べのビールが染み渡ります。





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昼の暑さはうそのように、明かり一つない山間の夜はひんやりと冷えていきます。他愛もない話を肴に、満天の星空の下、男たちの夜がしんしんと更けていきました。





Stefan Grossman performs "Bermuda Triangle Exit"




言わずと知れたステファン・グロスマン先生。彼のビデオで日本でもラグタイム・ギターの名手がどんどんと増えてます。





Stefan Grossman / How To Play Ragtime Guitar (ステファン・グロスマン)




無農薬の証明

2018.07.16 (Mon)
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水草の森で優雅に泳ぐフレッシュウォーター・バンブルビーフィッシュ。レッドチェリー・シュリンプと一緒に水草の間をぷかぷか気ままに漂ってます。

ということで、皆様、この連休はどうお過ごしでいらっしゃいましたでしょうか?
私ですか?
私は当然、田んぼで泥まみれでございます。





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そして、これがその田んぼでございます。
一見至極平和な風景でござんしょ?









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ショックがでかいのでゆっくり近づいてみましょうね。
はい、ご覧の通りでございます。







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こんなのが延々と続いてございます。
え?なぜって?
そりゃもう、ひとえに除草剤を撒かなかったせいでございます。








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お隣の田んぼ。
薬が効いていますから全く草は生えてきませんね。
それにしても機械で田植えしたっきりで手植えもせずにほったらかし。暢気なものでございます。







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さてと、何日かかりますか。これから10日は修行のような草抜きの日々でございます。いい子の皆さんは必ず農薬をまきましょうね。
ちなみに無闇に「無農薬」と謳ってはいけません。田んぼの残留農薬等、土壌検査などはしていませんから、あくまで『育成中農薬不使用』ということで。

それにしても誰か助けてくれないかなぁ。
ご飯作ってくれるだけでいいから、すっぴんの似合う、笑顔がかわいい自然大好きな可憐な女の子とか・・・・






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とか、バカみたいなこと考えながら夕方まで泥だらけになって家に帰ってみたらこんなお知らせが届いておりました!








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キュートだって!
このあいだもブログで紹介した『Fazerdaze』のお姉さん!
つい昨日なんだけど、出来心で自分の動画『月を見てたら』を送ってみたのね。
そしたら『かわいい!』だって!!!!

私、アイドルとか女優さんにのぼせ上ったことなんて一度もないんです。テレビもそれほど見るほうじゃないし、大体、芸能人の名前すらあんまり知らない。でもね、なんだか彼女だけはすっごい気になるんですよ。初めて見たときから心の奥に引っかかって。顔も日本人みたいだし、もちろん曲も好みだし。普通にその辺で見かけてもおかしくないような自然な感じがする女の子・・・・
僕がもう少し若くって、イケメンで、金髪のニュージーランド人で、ちょっとお金持ちで、そんでもって彼女の隣に住んでいたら、絶対結婚申し込むよな!うん。

でも、この返事書いてくれたのがバンドのスタッフだったりベースのお兄さんだったりしたらどうしよう・・・・。






Fazerdaze - Lucky Girl



Little Uneasy - Fazerdaze









今回、彼女が『かわいい』って言ってくれた僕の曲も載せとくか。



月を見てたら





自分の好きなことを仕事にはするなって、心無い大人は君に人生を知り尽くしたようなこと言ったりするけど、若人よ!迷わず自分の好きなことを追い求めよう!失敗したとしてもその先にはきっと何かが見つかるはずだ。

ちなみにこの心無い大人って大概自分の母親だったりするよね。








『Fazerdaze』に関する過去記事
モロッコからの脱出
歌合戦 2017



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Fazerdaze / Morningside 【CD】







インドで民衆に向け警官が発砲

2018.07.15 (Sun)


インドの友人がフェイスブックにアップした動画
詳細確認中。







調査結果

結論から言うとこのビデオはフェイクです。実際はこのビデオがアップされたのは去年の11月、『Moke Dreal of Khunti Police』と題されてアップされた警察の訓練の様子です。




別角度からの映像






ただし、このビデオが関連づけられて報道されているマディヤ・プラデーシュ州、マンドサウル/ Mandsaur でのデモ隊への発砲事件は、警察による銃撃、暴行で6人の被害者を出しているようです。農作物の価格を見直してほしいと抗議に集まった非武装の農民に対して警察隊が無差別に発砲。一人は警察署内での暴行で亡くなったと考えられているようです。

今回、この映像に関しては誤報ということになりますが、本物の映像だと全く疑わずに動画をアップしてしまったムンバイ出身のインドの友人の行動にも十分理解できる節があるようです。というのも、今回この事件、映像の真偽を多数のインドの友人に問い合わせてみたところ、この手の『インドの警官』に関する犯罪はごくごく普通にインド各地で日常的に起きているからです。





今年の5月、マンドサウルの事件のほんの少し前、タミル・ナードゥで起きた抗議集会に警官が発砲したときの映像です。ショッキングな内容が含まれますのでご視聴は自己責任でお願いいたします。


トゥーットゥックディの大虐殺の動画
Thoothukudi massacre / トゥーットゥックディの大虐殺 Wikipedia


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2018年5月22日、Thoothukudi Tamil Nadu タミル・ナードゥ州トゥーットゥックディ。長年悩まされていた工場による環境破壊に抗議するため集まった地元群衆に無差別に発砲、13人の犠牲者を出しました。

事件は集会の最終日に起きました。集会も終わりに差し掛かり三々五々家路に帰ろうとしている人々に突如警官隊からの無差別な発砲がありました。その際、警官からの威嚇射撃などは一切なく、警告すらないままに突然銃撃が始まったとのことです。政府の言い分としては一部の群衆が暴徒化し放火、投石を始めたことへの警告だったと公表しています。実際、映像の中でも車や建物が燃えている様子が映し出されていますが、たぶんこれは警察自身が自ら放火した自作自演のものでしょう。マンドサウルでも同様ですが、警察による暴力的煽動によって現場の状況を悪化させ、それを理由に実力行使に出るのはインドの政府では常套手段です。過去、タミルの闘牛、私も大活躍したジャリカットの復活大集会でも、密かに警察官が車に放火している映像が多数アップされています。残念なことに先のこの事件でも無抵抗な市民が大勢虐殺されました。近日『アイヤッパへの道』で改めて報告させていただくつもりですので今しばらくお待ちください。



shree parthaSarathy
Parthasarathy



私の名前は『スクナヒコナ・パルタサルティ』
期せずしてインドの警察権力に対する抗議記事になってしまいました。
私の誤報から、かえって皆様に日々成長し発展してゆくインド社会の陰で増長してゆく負の力をお目にかけることになりました。
これからもインドのホットな生きた情報をお伝えして行きたいと思っています。









歌丸さん

2018.07.12 (Thu)
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歌丸さんが死んだ
なんだか嘘みたいだ

テレビで見たときからお爺さんだった
笑点では毒舌の憎まれ役だった
創作落語の出だとは知らなかった

私は東京の下町育ち
五代目三遊亭圓楽、『若竹ビル』のすぐ隣に住んでいた。
初めて見た落語はそこで見た円楽師匠の高座。
円楽さんは朝早くから箒片手に近所の路地を掃除していた。

歌丸さんの高座はきっと見たいときにいつでも見れると思っていた。
気がついたら一度も見ないで終わってしまった。
改めて思うのは
当たり前だけど『歌丸さん』て一人しかいなかったんだなと。
なんかミック・ジャガーとかデヴィッド・ボウイとか、そんなロックスター達と全くおんなじ。

歌丸さんが死んだ。
本当にかっこいい男が死んじゃった。




Shivaree - Goodnight Moon











歌詞和訳  Lost on You / LP

2018.07.07 (Sat)
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意味


『雪の御射鹿池』で紹介したLPの『Lost On You』
誤訳ばかりでネット上にしっくりくる翻訳が一つもなかったから頑張って訳してみました。トランスジェンダーな彼女、一人称は『僕』で書きました。








『Lost On You / LP』
Laura Pergolizzi / Nathaniel Campany / Michael Gonzales


When you get older, plainer, saner
きみが歳をとって平凡な大人になったときに、
Will you remember all the danger
若かった二人の危なっかしい日々を、
We came from?
いったい覚えているだろうか?
Burning like embers, falling, tender
燃え残った残り火の、静かに落ちてゆくように、
Longing for the days of no surrender
強がっていたあの頃が、
Years ago And will you know
ほんの数年前だったのに、すっかり変わってしまったことにあなたは気付くんだ。

So smoke 'em if you got 'em
君の好きにすればいいさ、
'Cause it's going down
どうせこの愛は終わってしまったんだから。
All I ever wanted was you
僕は君だけが欲しかったのに。

I'll never get to heaven
天国にはいけない、
'Cause I don't know how
なぜってもう君はいないから。
Let's raise a glass or two
乾杯しよう。
To all the things I've lost on you
我を忘れて君を追いかけていたことに。
Tell me are they lost on you?
君だってそうだったんだろ?
Just that you could cut me loose
でも、君は私の心を打ち砕いた。
After everything I've lost on you
そして、その時初めてあなたを愛していたことを知るんだ。
Is that lost on you?
あれが恋だったの?
Is that lost on you?
我を見失うほどに、
Baby, is that lost on you?
ねえ、君、僕はあなたに恋をしていたの?
Is that lost on you?
あれが恋だったの?

Wishin' I could see the machinations
あなたの苦しみを知っていたら、
Understand the toil of expectations in your mind
あなたの望みを理解することができたら、
Hold me like you never lost your patience
ねえ、怒らないで。僕を抱きしめて。
Tell me that you love me more than hate me
「つらいこともあるけど愛してるわ」と、
All the time and you're still mine
何度でも「私はあなたのものよ」と。

So smoke 'em if you got 'em
君の好きにすればいいさ、
'Cause it's going down
どうせこの愛は終わってしまうんだから。
All I ever wanted was you
僕は君だけが欲しかったのに。
Let's take a drink of heaven
二人で最後の酒を飲もう。
This can turn around
もしかしたらこれでまた、二人で始められるかもしれない。

Let's raise a glass or two
さあ、一緒に乾杯しよう。
To all the things I've lost on you
我を忘れて君を追いかけていたことに。
Tell me are they lost on you?
君だってそうだったんだろ?
Just that you could cut me loose
でも、君は僕の心を打ち砕いた。
After everything I've lost on you
そして、その時初めてあなたを愛していたことに気づくんだ。
Is that lost on you?
我を見失うほどに、
Is that lost on you?
あれが恋だったの?
Baby, is that lost on you?
ねえ、君、僕はあなたに恋をしていたの?
Is that lost on you?
あれが恋だったの?

Let's raise a glass or two
さあ、乾杯しよう、
To all the things I've lost on you
我を忘れて君に夢中だったことに。
Tell me are they lost on you?
君だってそうだったんだろ?
Just that you could cut me loose
でも、君は僕の心を打ち砕いた。
After everything I've lost on you
そして、その時知ったんだ。
Is that lost on you?
あれが恋だったの?
Is that lost on you?
あれが恋だったの?



                 訳 少彦名



訳注
『Lost On You』
恋に落ちて自分のことがどうでもよくなっちゃうこと
『So smoke 'em if you got 'em』
あなたが望むことをしなさい。スラングです。
『drink of heaven』
天国の酒、転じて最後に飲む酒










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