奇譚、目黒寄生虫館  弐

2020.08.23 (Sun)
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前回からの続き。
『目黒寄生虫館 壱』





真っ青な空と眼下に広がる湖と。取り残された二人とラクダ2頭。時折乾いた熱風が大地を渡って行きます。

湖のほとりに座って水を覗き込むと何やらしきりに動いているものがあります。
無数に泳ぐこの生き物が、あれが何だったのか、長い年月がたっているにもかかわらずいまだにその正体がわからないのですが、図鑑の中にも、もちろんネットでも見たことがありません。体は透明で、両手に大きなはさみのようなものを持った、体長は7~8センチくらい。仰向けに泳いでいるのか、ホウネンエビを巨大にして、扁平で幅広、複雑で奇怪な骨格の頭を持ったそれはまるで宇宙から来た生物のよう。そんな奴らがたった今口にした水の中に無数に泳いでいます。







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この旅で目撃した謎の生物でいまだに自分の記憶を疑う驚くような者がほかにも二つありました。
一つはネパールの山奥で見た光るゴキブリ(ゴキブリくらいの大きさの昆虫)。山中の丘の上に立つ小さなゲストハウスの玄関から山腹を下る細い階段に出ると、辺り一面、緑色の絨毯のように足元が光っている。よくよく見るとその光は川の水のように右へ左へうごめいてる。湿気のある草の中を大きな昆虫が光りを放ちながらうようよひしめき合っています。その光は私たちの姿を漆黒の闇に浮かび上がらせるほど強かった。
もう一つはインドのバンディクイという小さな町で見た大きな精子型の生き物。円筒型の長い頭と長く伸びたひものようなしっぽ。アブの幼虫がちょうどそんな形なのですがそのサイズがこれまた想像を超えている。頭の長さは10センチ、尻尾に至ってはその倍の長さ。そんな薄気味悪いのが真っ黒などぶの中を悠々と泳いでいました。








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さて、小一時間待たされた私たちはお茶も飲みほしてしまって、特にやることもなく、ただただガイドの戻てくるのを待つばかり。と時間を持て余していたら急におなかが痛くなってきました。同行の女性にはちょっと失礼させていただいて少し離れた草むらの中、サボテンを便器の柱にトゲトゲを目の前に眺めながら、痛むおなかをさすりさすりほかほかの大地にホカホカとさせていただきます。おなかを壊すのはインドではいつものこと。しかし今日飲んだうんこ水のせいではなさそうです。一緒に飲んだ連れの女性は全く問題なかったのですから。
で、一応いつもの決まりで自分の出したものをしげしげと観察したのですが、そのほかほかのお山のてっぺんで小さな白いものがうごめいています。

『おや、あなたはだーれ?』

この長かった放浪の旅、いつの間にやら私のおなかの中にはお友達が住み着いていたようです。

『お助けアレー。こんにちはご主人様、短い間でしたけど、ありがとう。さようなら・・・・』

彼はそんな小さなつぶやきを残して私の残したうんこの山の中に潜っていきました。






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結局、ガイドさんは二時間くらいしてから戻ってきて事なきを得たのですが、ジャイサルメールでのキャメルサファリ、いろんな意味で楽しめたなかなか乙な体験ではありました。
さて帰国後、普通の日常に戻った私。あの日出会った小さなお友達がやっぱり気になって寄生虫館にお電話してみました。
受付の女性に事の次第を伝えると、少々お待ちください。次に電話を取ったのが寄生虫館の館長さん。ぜひ話を聞きたいので本館まで来てくださいとのこと。なんだか館長さん、電話口で妙に興奮しています。
 

さて、今日はこの辺で。
次回は奇譚、目黒寄生虫館 第三話。完結編です。



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掲載写真はタミルナード、ケララ地方の風景です。







Hunx and His Punx - Lovers Lane









『ハンクスと彼のパンクス達』

『少彦名のきのこ図鑑8 クリタケ』で紹介したバンド『シャノンと可愛いアサリ達』のリーダー、シャノン・ショーがベース、ボーカルで参加しているバブルガム・パンクバンド。どこかで聞いたようなメロディーにゆるゆるのコーラス。このいかれポンチがと一蹴したいところですがなんだかとっても楽しそう。こんなバンドでいいから、否、こんなバンドだからこそ癒せる魂もある。出てくる音、映像、表現って、集まってきたみんなの心が同じに一緒ならそれだけで立派な作品になるという良い見本です。リーダーのセス・ボガード / Seth Bogart は絵画や彫刻も手掛ける芸術家、ブティックも経営しているようでちょっとしたカルト・ファッションリーダーのようです。









Hunx & His Punx - Street Punk Trilogy





Too Young to Be in Love


Street Punk [Explicit]


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奇譚、目黒寄生虫館  壱

2020.08.20 (Thu)
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寄生虫館で寄付を募っているというニュースを耳にした。
東京にいた時はよく訪問させていただいた。
今夜はそんな目黒寄生虫館にまつわるお話。







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もう何年前になりますか。インドに初めて行ったとき、まずはタイにわたって、カオサン泊、バンコクで二週間遊んで、現地で買った航空チケットはミヤンマー経由のカルカッタ行き。ヤンゴンで友達のおじいさんの家に三週間泊まって(当時のミヤンマーは軍事政権で個人宅での外国人宿泊は重罪でした)、マラリヤにかかったり、洪水にあったり。裏路地の汚いカレー屋で初めてインド人を見て、カレーをすすっている私を瞬きもせず凝視する老人の、ガラス玉のような底抜けの瞳に心底ビビッて、『インド行くのやめようかな・・・・・』ってマジで思ったけど、買っちゃったチケットを捨てるわけにもいかず、インド行きの飛行機に乗ったらそこから一年の旅はまさに文字通りのカオスだったのです。
で、長い長い旅の間に筆舌に尽くせぬ驚くような体験を何度もしてきた旅の終わりに、私はジャイサルメールの荒れ果てた平原に立っていました。






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ラジャスタンはインドの西、もうちょっといけばイスラム国家が割拠する中東地域。砂埃の舞う乾ききった大地の果てに、陽炎に揺らぎポツンとそびえる街の鐘楼はまさに月の砂漠に歌われた夢の風景。旅ももうそろそろ終わりということでホテルのオーナーがしきりに営業をかけてきたキャメルサファリなるものに、いつもは春秋することもなく問答無用で断るのですが、旅の予算も見えてきたということですんなり彼の提案に乗ってみました。






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長らく旅を共にしてきた女性と二人でいざ出陣。
ま、ただただラクダに乗ってお散歩するだけなんですけどね。それでも、見渡す限りの乾いた平原はなかなかの見もの。強面のガイドと相まってスリル満点です。










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で、途中、砂漠のオアシスで小休止、チャパティと紅茶でおもてなしを受けました。お湯は足元に広がる湖の水、といってもとっても浅い、くるぶしまでしかない大きな水たまり。そこにコッフェルを突っ込んで携帯用のバーナーでお湯を沸かします。お茶が入る間その湖を見渡してみると、何やら暗緑色の丸い敷石のようなものが規則正しく敷き詰められている。まるでパンケーキか大きなピザがパン屋の店先に並んでいるみたい。
時期は雨期。乾いた大地に突如現れた幻の湖。湖底に丸く敷き詰められていたのは荒野に放牧された牛達のうんこでした。








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二人はインド人ガイドが入れてくれたお茶を覗き込みながらお互い顔を見合わせます。それでものどが渇いて仕方がない私たち、ガイドがカップに口をつけたのを確認してから恐る恐るその茶色い液体をのどに流し込みます。一年間インドを流浪したバックパッカーとしてのプライドもあるし、何より、砂漠を何時間もさまよったのどの渇きに勝てるわけもなし。砂糖のきいたブラックティーのなんておいしかったこと。そう、それはうんこの出汁のきいた地の果てのごちそう。





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休息を終えてやれ出発かと思いきや、当のガイドが何やら妙なことを言い出した。
『ちょっと忘れ物をしたから取りに行かなきゃいけない。少しここで待っててくれないか。すぐ戻ってくるからさ。』

かくして、異国の地の荒れ果てた荒野の真ん中で、日本人の若い二人は、あわれ取り残されてしまったのであります。





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さて、今夜はこの辺で、この話の続きはまた次回。明日も一日炎天下で収穫しなきゃいけないのでね。

これって、インドよりきついから。





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以上、掲載した写真はヒマーチャル地方のものです。







Roxy Music - Avalon





ロキシー・ミュージック
ブライアン・フェリー率いる色気たっぷり、いやったらしさ満点のイギリスのバンド。1971年デビュー、初期メンバーにはアンビエントミュージック生みの親、ブライアン・イーノが参加していました。
当時の世界は今よりもとっても幸せな時代。少なくともヨーロッパやアメリカ、日本などの先進国では血なまぐさいニュースなどは遠い遠い別世界の話。冷戦時代、代理戦争、犯罪や殺し合いは一部の地域、貧しい後進国の不幸な人々の間だけで行われていました。どこにでも行けた、バック片手に、自由にどこへでも。
冷戦が終わって、死んだはずの神々がよみがえって、キリストだとかアラーだとか。神の名のもとに人間がヤギのように首カットされる。今までテレビの画面の中でのみ見ていた妖怪たちがどろどろと私たちの周りにあふれ出る。
アバロンはイギリスにあるという伝説の楽園の島。コロナが過ぎ去った後、私たちは楽園を見ることができるのでしょうか。







上野大根 準備

2020.08.18 (Tue)
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上野大根を作る畑に機械を入れる。
雑草の中に一筋の道ができる。


今日一日、私は言い訳せずに生きていただろうか。













THE HOLLIES - He Ain't Heavy He's My Brother



The road is long
With many a winding turn
That leads us to who knows where
Who knows where

曲がりくねった長く続く道
どこへ続いているのか
どこへ導いているのか
それはだれも知らない






ザ・ホリーズ
ビートルズ・ブームにのって1963年にデビューしたイギリスのバンド。1966年のヒット曲『バスストップ』で一躍世界的人気バンドに。 『He Ain't Heavy He's My Brother』はビートルズに夢中だった小学生の時にビートルズ以外で何故かよく聞いてた一曲。母親にホリーズのバスストップって曲知ってる?て聞くと即座に母は平浩二の『バス・ストップ』を歌いだした。ちなみに私はどちらのバスストップもリアルタイムで聞いたことがありません。




THE HOLLIES - Bus Stop





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