上野大根 疎抜き終了
2020.09.28 (Mon)
インドのコロナ
2020.09.26 (Sat)

南インドの国民的歌手、S・P・バーラスブラマニアム/S P Balasubrahmanyam/எஸ். பி. பாலசுப்பிரமணியம் が25日コロナのため亡くなりました。享年74歳。このサイトでもたびたび紹介していた南インドの映画音楽で私が一番好きな曲、タミル映画『Chinna Thambi』の挿入歌『 Povoma Oorgolam 』を歌ったプレイバックシンガー。歌った曲は実に4万曲以上、「世界で最も多く映画の曲を歌った男性歌手」としてギネス世界記録に登録されている偉大な人です。
現在、インドではコロナ患者が急激に増えています。多くの映画俳優もその猛威に次々と倒れていると聞きます。
Chinna Thambi / Povoma Oorgolam
疎抜き 二日目
2020.09.19 (Sat)

見事に生えそろった上野大根の畑。
疎抜きとは間引きのこと。二粒三粒、一緒に生えてきた大根の苗を一本にします。

本当のところ何本あるのでしょう。
一日どんなに頑張っても1000本。三通り分しかできません。一緒に生えてきた雑草も取ってきれいにしていかなければいけないのでとても時間がかかります。他の家は土曜日、日曜日に家族親戚総出でやっつけてしまって、秋空の下、今日畑にいるのは私だけ、黙々と大根の芽を摘み取っています。

出荷もしかきゃいけないし、草だって刈らなくちゃいけないし、いろいろ考えているとおかしくなりそうだからとにかく今は黙々と土に指を突っ込んで暗くなるまで疎抜き。
日が落ちて風も冷たくなってきました。夏ももう終わりです。

Les Négresses Vertes - Voilà l'été
レ・ネグレス・ベルト
エテとは『夏』のこと。「ほれ夏だ!それ夏だ!今日も夏だ!いつでも!夏だ!」こんな風に歌ってる能天気な歌です。今年は一か月間、ずっと雨ふりでまるっきり失われた7月でした。そうでなくてもコロナのせいで都会に住んでいた人は夏を楽しむ気分にはなれなかったと思います。八月の炎天下の中、果物を摘みながらこの夏が永久に続くような錯覚にとらわれるあの瞬間。大根の葉を摘みながら気が付けばもう空の色は秋一色です。
Les Négresses Vertes ずいぶん前に紹介したフランスのバンド。前々回の記事でもちょっと触れました。1987年結成、パンク、ポップス、シャンソン、タンゴ、民謡、アフリカンから中近東、ジプシー音楽、フランスを旅していると移民の多様性も相まってワールドミュージックを肌で生のまま体感することができます。Les Négresses Vertes はまさにそんなフランス音楽の縮図のよう。ツアー会社の団体旅行では見ることができないフランスの裏町の猥雑な香りをとくとご堪能あれ。
Les Négresses Vertes - Zobi La Mouche
Les Négresses Vertes - Il

GoToキャンペーン
2020.09.11 (Fri)

「首が飛ぶちゅうに、ヒゲのしんぺえしてどうするだ!」
映画『七人の侍』より
村の長老の台詞。
命あっての物種、はっきり言って経済なんて後回しでいい。
戦後の焼け野原みたいにみんな貧乏なら何も恥ずかしいことなどないだろうに。
The Fall - Prole Art Threat
ザ・フォール
1976年、イギリスのマンチェスターで結成。マーク・スミス / Mark E. Smith率いるポスト・パンクバンド。マーク・スミス以外のメンバーはほぼ流動的、メンバーチェンジを繰り返しながら40年間現役で様々な分野に影響を与え続けた偉大なバンド。半世紀近く走り続けた彼は、肺がんと腎臓がんの長闘病の末、60歳で2018年1月24日に亡くなりました。翻訳不可能な彼の歌詞を理解するために英語がもう少し理解できたらなと悔しく思ったあのころ。20代、本気でこんな音楽がやりたいとあこがれた私のアイドルです。
The Fall - An Older Lover etc

奇譚、目黒寄生虫館 参
2020.09.09 (Wed)

前回からの続きです。
『奇譚、目黒寄生虫館 壱』
『奇譚、目黒寄生虫館 弐』
長期のインド旅行の結果、お腹のお友達とともに無事帰国したすくなひこな。帰国後真っ先に、目黒寄生虫館に電話いたしました。
「ぜひ、来館ください!いろいろ話を聞きたいので!!!」
少々興奮気味の寄生虫館館長さん、
次の日曜日に行く約束をして。

常夏のインドから極寒の東京へ、
季節は冬、真っ黒のフェイクファーのコートとエナメルのとんがった靴というインドでのバックパッカー姿を見ていた人なら思わずのけぞるゴージャスないでたちでそれこそ場違いな目黒寄生虫館におっとり刀で出かけたのであります。

日曜ということもあり、寄生虫ファンの見学者で小さな館内はそこそこにぎわっています。不思議なことに原宿なんかを歩いているような若いカップルなんかもいたりします。
いつも思うのですがこの博物館、展示は奇異なものですが見に来る人は若い普通の人たちが多い印象です。
受付で事の次第を伝えて入館。
事務所の鉄扉の見える廊下で壁を背に待っていると、その扉が勢いよく開いたかと思うとまだ壮年な若々しい館長さんが飛び出してきました。

「君か!お腹から虫が出ったっていうのは!!!!」
館長の大きな張りのある声が館内中に響き渡ります。
その勢いにたじろぐフェイクファーのすくなひこな。
来館者のすべての目が廊下にたたずむ哀れな一人の男に注がれています。
「ささ、こっちに来なさい!いやー、めずらしいなーーーー!今時寄生虫がお腹の中ににいるなんて!!!いやーあなたは貴重だ!!!で。どんな奴だった!!!色は?形は?大きさは?」
貧血でしょうか?瞳孔が閉じていきます。きゅうと視界が狭まっていくのを感じます。全館の視線を一身に浴びながら、しかし私自身は周囲を気にする余裕もありません。
「さあ、どれなんだ?ここに並んでいる標本のうちの一体どれが君のお尻の穴から出てきたんだい?」
気がつけば私は館長にいざなわれ標本群の並列された陳列棚の前に立っていました。

「さあ、この中に君の見たものと似たものはあるかい?」
陳列ケースに10種類くらいの標本がきれいに並べられています。
私は右から左からしげしげとその標本を凝視しながらあの日、私が別れを告げた友達の姿を思い出そうとしています。
その標本の中には蟯虫やら回虫やら、昔からなじみのある連中も顔をそろえています。

「これ、ですかね・・・この小さいやつ。」
私はその中の一つを指さして館長に伝えました。
「おう、こいつか、これはなかなか珍しい。ところで、旅行中だんだん痩せていったとか、これがいたのならどんなに食べてもその間太らなかっただろ?」
インドの食事は大盤振る舞いである。特にタミルなどの南インドに行くと普通に食べ放題である。昼食時はどのレストランでも『ミールス』と呼ばれるランチを提供する。
さて、ここで少し読者には断っておかなければいけない。ミールスとはインドの言葉ではない。インドを少しばっかり聞きかじった人間によくある間違いなのだが『ミールス』というものをある固有のメニューだと勘違いしている輩が多くいる。ミールスは英語。ご存じの通りミールスは英語で単に食事のこと。タミル地方のお客に提供する食事のスタイルをイギリス人が『ランチ』と呼んだだけの話なのである。タミル語で料理全般をカレーと言っていたのをイギリス人がカレーという料理として限定して命名したのと一緒である。日本のインドレストランでミールスを見つけて『なんで食べ放題じゃないだ!!!!』とインド人店員に食って掛かるにわかインド通には今後注意していただきたい。
「そういえばいくら食べても太らなかった気がします。」
タミルでミールスを頼むと際限なくご飯からカレーからアチャールから器に放り込んでくる。「やめて!」と言わない限りバケツとお玉を持って店内を歩き回っている子供たちが私のお皿めがけて烈火の速さで投げ込んでくる。最初のうちはその素早さに慣れていないものだから制止する間もなく気がつけば目の前にはホッカホカのインド料理が山盛りになっていることになる。最後にはテーブルに覆いかぶさって「もうやめて!」と小僧に嘆願することになる。インドで食事の提供は神に仕える一つの形。特に南インドではその傾向が顕著だ。インド料理は北より南の方が格段においしい。量もおいしさも底抜けなのである。

「あれだけ食べたのに一時期から太らなくなった気がします。それはすさまじい量でしたが逆に痩せて精悍になった気がします。暑さのせいだと思ってました。」
「そうだろう、こいつがどんどん栄養吸い取っちゃうんだよ。こいつがいると人間、太れなくなるんだよ。」
「ところで、何か大変なことになりますか?病院に行った方がいいのでしょうか。」
「心配いらないよ、人の中では長くは生きられない。そのうちいなくなってしまうよ。便から出てきてからどれくらいだい?うん、うん、そうか、それならもう君のおなかの中にはいないはずだよ。」
「ところで、やっぱりこいつは口から入ってくるんですか?」
「いいや、君、サンダルで歩いてたろう?足の皮膚から入ってくるんだよ。素足で汚染された泥の中とか歩いていると足の皮膚からが入り込んでくる。」
「そいつが血管に入り、心臓を通て肺に入り最終的に腸にたどり着いて排便される。たまに他臓器で悪さをすることもあるけど今のところ問題なければ大丈夫だよ。」
私は館内の来館者の視線を一身に浴びショーケースの中の “十二指腸吸血虫” の肌色の標本を、うつむき加減に凝視しながら館長の言葉にうなずいていた。

これが目黒寄生虫館にまつわる私の体験談
日本ではもはや消え去ってしまった寄生虫。しかし寄生虫は思ったよりも身近な存在。そのうえ寄生虫は時にダイエットに効果がある。これはのちの、第二回のインド訪問で聞いた事なのだが寄生虫がアトピーなどの過剰免疫疾患に効果がある可能性があるということ。(北欧の女性バックパッカーに聞いいたところ彼女の国では、ノルウェーかフィンランドか、アトピー患者が日本並みに多いそうです。反対に同じ西洋でもスペインやフランスなどの衛生観念が日本より格段に低い国ではそういうことはないようです。要はお腹に友達がいる国ではアトピーなどの清潔病は発生しないということ。アトピー治すのに蟯虫を飲みなさいとは言わないけど、コロナで成功した日本ですが、実はもっと自然となじんだばい菌まみれの健全な生活が子供たちには必要なようです。) そして目黒寄生虫博物館の館長さんはとっても親切で熱心だということ。
皆さん、機会があったら是非目黒寄生虫館に足を運んでみてください。そして、もし可能ならばお腹のお友達と同伴で。
※死に至る寄生虫もたくさんいるのでその辺は気を付けてね。

虫づくし (ハヤカワ文庫NF)
『虫づくし』別役実
劇作家、童話作家、随筆家、別役実の寄生虫等々虫と名の付く物の怪たちの可愛くおかしな随筆集。実はわたくし別役の大ファン、中短編を得意としたファンタジーあふれる幻想的な作風が特徴。特に舞台設定が奇怪なわけではないけれど日常に潜んだ怪奇を丁寧に怪しく紡ぎだし、回り幻灯のようにあなたの部屋の白壁に生々しく映し出す。虫が好きな人も大嫌いな人も一度読んでみてほしい。読後の苦情も真正面から受け付けますよ!名著です。
Gita Gutawa - Parasit
別役実『虫づくし』の初版が1988年のようなのでこの年に巷に流行っていたとんがった曲て何だろうって探したけどせいぜい出てきたのは『ジーザス・アンド・メリーチェーン』くらい。自分のライブラリーひっくり返してくまなくレビュー見ていけば何かしら見つかるんだろうけどそんなのめんどくさいし、どちらにしてもこのころの音楽シーンってパンク終了、ニューウエーブも商業主義でなにもかも出尽くした出がらし状態だったようだから、エンヤとか全く聴く気もしないし、思い返せばこのころは自分が生まれる前の、UKものやそれこそガレージパンクとかフレンチもの、フランスギャルとかそんなのを自分なりに発掘してた時代。巷の音楽がどんどんちんけになってた時代かな。
それで、気を取り直して寄生虫で何かないかなって探してたら突然目の前に飛び出してきた彼女、飛び切り可憐なかわいこちゃん見つけました。
Gita Gutawa インドネシアの可憐な歌姫。時代は2000年だというのにまるで聖子ちゃんをそのままコピーしたようなぴっちぴちの70年代風アイドルの再現です。いやーそれにしてもかわいい!早速アマゾンでCDはないかしらと探してみましたが当該この曲、『Parasit』を収録したアルバム『Harmoni Cinta』は売り切れ状態。中古に至ってはなんと一万円の値が付いてます。アイドル路線を地でいくド直球なこの曲。最近、新しい音源に飢えていた私にとってはまさにラジャスターンで見つけた砂漠のオアシスのよう。インドネシアの人と友達になって何とか手に入れてみようっと。
訂正
1988年が不作の年なんて書きましたが、ありました!というかすっかり忘れてました。私の大好きなバンド。フランスに行ったときにパリのラジオで耳にして速攻で購入した二つのバンド。レ・ネグレス・ヴェルト / Les Négresses vertes とマノ・ネグラ / Mano Negra 。ブログの初期に紹介してます。機会があれば再度登場して紹介したいと思います。めっちゃかっこいいですよ。
『トマトの苗を無料でゲットする方法』
『大根を干す』
Gita Gutawa - Parasit (Live at Music Everywhere)
いいですね。彼女のお父さんは作曲家、この曲もお父さんの作曲、作詞は娘の彼女自身。一目ぼれってこんな感じなんですよね。交通事故みたいなものです。

上野大根 種まき
2020.09.01 (Tue)
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