ザイゴート組曲

2015.11.25 (Wed)

諏訪湖姫お料理コンテストに新たな猛者のご参加をいただきました
ほんというとほぼ強制参加だったんですけどね


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ザイゴート組曲/ZYGOAT - バート・アラカンタラ

少年はなけなしのおこずかいを左手に握りしめ銀色の地下鉄を乗り継いで新宿のとある中古レコード屋に来ていた。まっすぐに地下に続く階段を下りるとだだっぴろい空間に何万枚ものレコード盤を収めた段ボール箱が整然と列をなして連なっている。そのレコード盤を先客たちは器用に箱から引き抜き再び落としながらみな無言でお目当ての一枚を探している。   ・・・タンタンタンタン
彼は意を決して彼らの間を縫いながら段ボールの中の一枚をおぼつかない手つきで引き出してみる。それはまるで何か秘密の儀式に参加するかのように
町の小さなレコード店しか知らない彼にとってそこは未知の深遠な空間だ。AからZまで、向こうがかすむほど連なる箱の中に彼のまだ見ぬ数限りない宇宙が眠っている。少年にとってジャケットに書かれた横文字のタイトルはまるで何かの呪文のようだった。彼は恐る恐る、しかし誇らしくもあり、一枚一枚、一言一句見逃さないように無言でジャケットの文字を追ってゆく。    ・・・・タンタンタンタン


今夜は私が中古レコード店で初めて買った、もしかすると私の人生を決定付けた一枚をご紹介いたします


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音楽といえばビートルズとブルースぐらいしか知らない少年だった私に新しい扉を開いてくれた作品。時代は80年代、私の中では革命の火種はすでに芽生えていて、ピストルズはもちろん、ブライアン・イーノ、ペンギンカフェオーケストラ、キャバレーボルテール、ミヒャエルローテルなどの当時、一風変わった音楽等も聞きかじるようになっていましたが、未だ、自分の本当に求める音楽、本当に好きな音の見定めができず、若さからか、音楽に過大な意味を求めようとする性分がゆえに、何か神秘的なもの、重厚なもの、人生にとって特別なものを日々さまよいながら探していたように思います。
私が当時新しい音楽に接する機会はある一人の友人からもらった一つのカセットテープと古いFMラジオのみ。そこから流れる未知の音楽は私をいたく混乱させました。混乱は混乱を呼び毎日がその泡立つ泡沫の中から真実を探そうともがいているようでした
そんな中出会ったのがこのレコード、ザイゴート組曲です。
前にも言ったように当時の私は音楽に過大な意味を見つけようとしていました。それはビートルズに出会った時から、ブルースこそが本当の音楽だと信じていた時から、そして新しい世界を求めていたこのとき、プログレという難解で重厚な、存在という意味を体現するにふさわしい音楽として光明を見出しかけていました。確か、この一枚はプログレの棚、もしくはユーロロック・プログレッシブという風に区分けされていたと記憶しています。まったくのジャケ買いでした。おこずかいに余裕のない少年が手を出すにはあまりにも危険な一枚、でもそれだけの衝撃がこのジャケットにはあった気がします。
さて、結論から言いましょう。このレコードを聴いて、その後、私の音楽嗜好はあらゆる方向に向かうことになります。音楽にある一定の価値観を見出そうとする、そんなことすらばかばかしくなるほどこのレコード盤に収められていた音は強烈でした。この一枚を手に入れた当時、毎日擦り切れるほどに私はステレオにかじりついていました。ジャケットの絵の意味するところ、あらゆるディテールが暗示する本当の意味はなんなのか?いつか天から降ってくるように神の啓示が舞い降りてくると信じながら。そして一枚通してそらでなぞれることができるようになったとき、ついにその天啓が私に訪れたのです、
それは


「音楽に音楽以外の意味を見出そうとすることほど馬鹿馬鹿しいことはない」


すべての事象にいかに接するか?世界の見方が変わる瞬間でした。
それはモノ本来には値札のないのと同じ、中古レコードに定価がないのと同じ、そう、商品の価格に決まりはない、値切っていいのです
この楽曲を作曲した作者としては何か彼にとって重大な伝えるべき意味があったのかもしれません。止むに止まれぬ理由があっての作品だったのかもしれません。見れば見るほど意味深なこのジャケットの中には重要な謎が潜んでいることでしょう。しかし、私に伝わってきたこの楽曲の凄まじい力はそういった観念的なものでは全くなく、彼の卓越した演奏力、綿密なまでの構成力、鬼神のようなアドリブとそして情念、ジャケットの美しさも頭でっかちなコンセプトも押し寄せる音の力が軽く凌駕してしまっているんです。と同時に今まで少年が信じてきた既存の音楽像、このアルバム一枚の中に凝縮された、と同時に逃げ場を失った行き詰まりの世界。私がこの一枚に巡り合った時代、もうすでにパンクムーブメントは次の次元に移りつつありました。が、早熟な、そして遅れてきた少年はついにそんな時代に追いつくことができたのです。以後、彼は自分の価値観を打ち壊すことに新たな活路を見出すことになります。

Zygoat(1974) - Burt Alcantara
BURT ALCANTARA ZYGOAT ELECTROPHON
Zygoat(ZYGOTE+GOAT?)ポーランド語で受精卵?Burt Alcantara / バート・アラカンタラ アメリカ人のようです。演奏も彼なのでしょうか?Burt ALCANTARA、ZYGOAT、ELECTROPHON、情報はこれだけ、その他はまったくわかりません。全編、シーケンサーをほとんど使わない手弾きシンセサイザーの怒涛の演奏です。私はもともとシンセサイザーなどの電子楽器は嫌いな類のものでしたがこの怒涛の音の洪水はそんなちっぽけなこだわりなど簡単に吹き飛ばしてしまいます。
もしかするとこのアルバムのクレジットがまったく没説明で不明なこと、それが私に『意味』を探す不毛な旅を断念させる一つの原因だったのかもしれません。自由の翼を与えられた一人の少年は自らを包んでいた受精卵(Zygote)の固い殻を突き破り自らの力で飛び立っていったのでした。





このアルバムは未だCD化もされていません。海外のサイトを見るとバート・アラカンタラの名がフュージョンのLP盤の中に見られます。同一人物でしょうか。これだけの名盤がまったく情報を残さず歴史の中に消えて行ってしまう。願わくばこの記事を読んでくださった人の記憶の中に名もない音楽家の血と汗の鼓動が深く刻まれんことを




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コメント
ザイゴート組曲、やもすると狂気のような世界で、不思議な雰囲気の音楽ですね。
これを一心不乱に弾き続ける演奏者は、いったい何を伝えようとしているのかと・・・確かに思ってしまいます。
sower | 2015.11.26 00:02 | 編集
sowerさん
くるってるでしょw
このアルバム聞かせるとみんながみんなそう言います。
特にキーボード奏者は面食らうみたい。
僕の場合あまりの凄さに思考停止してこんなになっちゃいました。
sukunahikona | 2015.11.26 16:45 | 編集
このアルバム、日本フォノグラムからも国内盤が発売されてました。ライナーノーツは初代フールズメイト編集長の北村昌士氏が書いてました。当時中学生だった私も「ジャケ買い」しましたが高校生の頃に売ってしまい、久しぶりに聴きたくなりYouTubeを漁って30数年ぶりにこのジャケットを見つけた次第です!
HAL5656 | 2017.03.04 00:33 | 編集
こんばんは
北村さんが書いてたんですね。なかなかそそる文章を書く人でしたよね
未だ持ってますよ。プレーヤーがないので聞けませんけどCDとかないですかね
sukunahikona | 2017.05.22 20:36 | 編集
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