中秋の名月

2017.10.06 (Fri)
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もうそろそろアイヤッパへの道、執筆再開と思っていましたら今日の月が本当に美しくって、街に用事で出かけていても車の窓からヘッドライトの列とやまの陰から顔を出した大きなまん丸いお月様を見比べて、一年に一度しかない特別な月をいろんな思い出に青く照らして眺めていました。
ちなみに中秋の名月は昨日のお月さま。なんだかややこしい事情があってか、本当の満月が何故か明日の六日のお月さま。
真ん中とって、今夜書いてみようかなと。




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無事、稲刈りも終わって、午後からレストランに送るためのジャガイモ掘ってたら寝不足からか頭がふらふらして仰向けに畑で大の字になっていたらかすむ視界の先にはきれいな列のイワシ雲。市場なんかに出してたら結局買いたたかれるから小さくやってる農家さんは生きていくのがやっとのことで、この村でもジャガイモを出荷してるのは私だけ。袋に詰めた芋を積んだ車は日が落ちると同時に湖へ降りて、宅急便はアマゾンのせいで軒並み値上がり、利便性の陰でとばっちりを食うのはいつも正直な生活者、私が政治家になったら必ずアマゾンを潰します。寒くなってきたので温泉によろうかと思ってましたら行きつけのお蕎麦屋さんに無性に行きたくなって、温泉出たらもう閉まっちゃうし、私だけの特別メニュー、特盛を頼んだら今夜のおかずだって味のしみたおでんを出してくれて、それはそれは心から温まるごちそう。体も心もあったまって、温泉なんてどうでもよくなっちゃいました

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帰ってきてすぐカメラ片手にいそいで裏山に上って、冷たい秋風にかすれた虫たちの小さな声を聴きながら月を渡る雲を眺めていたら、幼いとき夜空に流れる雲を発見した時の文字道理天地のひっくり返る瞬間のあの時を思い出した。
小さいとき、本当に物心つく頃に、私は世界というのが私の住んでいる木造のぼろ長屋と赤や白の鯉の泳ぐ四角い池と真っ赤な鳥居のお稲荷さんと日々行きかい挨拶をする二、三の大人たちだけしかいない、紙芝居か操り人形の劇のように囲われた舞台と赤い垂れ幕の下がった限られた空間に住んでいる顔見知りの人たちだけの閉じた世界だと思っていました。太陽は神様がスイッチを入れた大きな街灯で、消灯後には裸電球のお月さまと砂糖のようなこまかな星が空に瞬いている。黒く塗られた小さな箱の天井を毎日眺めて暮らしているものだと思っていました。
そんなある夜、向かいの飼い犬が具合が悪いとかで、夏の夜中に、小さな子供には珍しいことだったのでしょうか、木造アパートの玄関先に出て、集まった近所のみんなが心配して眺めているときに、隣に立っていたおじさんが空を指さして明日は雨降りかななどといったのだろうか、指さす先を見上げた私の目に飛び込んできたのは月の明かりに浮かび上がっては激しく頭上を流れてゆく夏の夜空の綿を伸ばしたようなあの白い雲の列。


『夜なのにお空に雲があるよ!!!』


思わず大きな声で叫んだのを覚えている。
宇宙が連続してつながっている広大な広がりだということを発見した瞬間だった。









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書いていて思い出したあの大きな犬。
僕のことを初めて噛みついたあの大きな犬。
あの後しばらくして、真っ赤な血を吐いて死んでしまったあの大きな犬。

今夜の月はルドンの目を思い出すなぁ。










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The Honeymoon Killers - Flat






今回は選曲悩んだな。記事のイメージで真っ暗な曲っていうのも黒いインクで黒い雲書くようで選んだ音楽家にも失礼だし。
ハネムーン・キラーズ、ニューウエーブの大御所、と思っているのはたぶん私だけ。ベルギーのバンドです。ベルギーはフランスとイギリスをミキサーでごちゃまぜにした国、ちっちゃなユーロ共和国。世界一いろんなビールを作ってる国。ビールのおつまみにムール貝オーダーするとボール山盛りの酒蒸しが出てくる国。ハネムーン・キラーズは私には終わりの始まりのバンド。いつまでも新しいバンド。こんなに上手にやられてこれ以上何をすればいいの?




The Honeymoon Killers - Tueurs de la Lune de Miel



The Honeymoon Killers - Decollage



Honeymoon Killers - Histoire à Suivre







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コメント
 こんばんは😊
こちらも雲の具合が同じような感じでした。

私、小さな頃「月」が怖くて仕方がありませんでした!小学校に入ったかどうかの頃なので、理由は全く分からないんですが💦
 見られている感じがして、怖くて、カーテンから入る光も遮って寝ていました。
 親に言っても取り合ってくれませんし…。
 ルドンの絵を見て、そんなことをふと思い出しました(苦笑)


いつものお店で美味しいご飯、心も体もあったまりますね♪
はのん | 2017.10.07 01:32 | 編集
はのんさん
月が怖いって相当大変ですね。ドラキュラかな、狼男か?西洋のイメージって月がいけないものですよね。東洋だとかぐや姫なんですが。
月は自分の心を映す鏡、自分の心の中を透かして見るようで怖いのかもしれません。

あのお蕎麦屋さんでおでん食べなかったらこの記事を書かなかったと思います。それくらいこの経験は自分にとってはコアな体験でした。
sukunahikona | 2017.10.07 02:24 | 編集
とってもいい写真ですね~。
確かにちょっとルドンっぽいかな。少しゴシックメルヘン。
pukupuku | 2017.10.08 18:20 | 編集
このコメントは管理人のみ閲覧できます
| 2017.10.10 22:52 | 編集
pukupuku さん

ちょっと留守にしてました。
ルドンとかブリューゲルとか日本だと月岡芳年とか、パラダイムの転換点にいる芸術家って心惹かれます。混乱の中で光ってる妖しいともしびのようです。
sukunahikona | 2017.11.27 15:06 | 編集
くんざん さん

応援ありがとうございます。
しかしながら今年も負け越しのようです。なかなか思ったようにはいきませんが苦しいのは一時と割り切って踏みとどまるしか仕方がないのかなと。
光は見えませんができれば光になれればいいと思っているのはうぬぼれでしょうか。
sukunahikona | 2017.11.27 15:09 | 編集
このコメントは管理人のみ閲覧できます
| 2017.11.28 00:06 | 編集
鍵コメさん

そういってもらえると嬉しいです。
せっかくほめてくれるなら鍵コメじゃなくって大っきな声でお願いしますw
sukunahikona | 2017.11.29 20:23 | 編集
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