奇譚、目黒寄生虫館  壱

2020.08.20 (Thu)
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寄生虫館で寄付を募っているというニュースを耳にした。
東京にいた時はよく訪問させていただいた。
今夜はそんな目黒寄生虫館にまつわるお話。







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もう何年前になりますか。インドに初めて行ったとき、まずはタイにわたって、カオサン泊、バンコクで二週間遊んで、現地で買った航空チケットはミヤンマー経由のカルカッタ行き。ヤンゴンで友達のおじいさんの家に三週間泊まって(当時のミヤンマーは軍事政権で個人宅での外国人宿泊は重罪でした)、マラリヤにかかったり、洪水にあったり。裏路地の汚いカレー屋で初めてインド人を見て、カレーをすすっている私を瞬きもせず凝視する老人の、ガラス玉のような底抜けの瞳に心底ビビッて、『インド行くのやめようかな・・・・・』ってマジで思ったけど、買っちゃったチケットを捨てるわけにもいかず、インド行きの飛行機に乗ったらそこから一年の旅はまさに文字通りのカオスだったのです。
で、長い長い旅の間に筆舌に尽くせぬ驚くような体験を何度もしてきた旅の終わりに、私はジャイサルメールの荒れ果てた平原に立っていました。






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ラジャスタンはインドの西、もうちょっといけばイスラム国家が割拠する中東地域。砂埃の舞う乾ききった大地の果てに、陽炎に揺らぎポツンとそびえる街の鐘楼はまさに月の砂漠に歌われた夢の風景。旅ももうそろそろ終わりということでホテルのオーナーがしきりに営業をかけてきたキャメルサファリなるものに、いつもは春秋することもなく問答無用で断るのですが、旅の予算も見えてきたということですんなり彼の提案に乗ってみました。






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長らく旅を共にしてきた女性と二人でいざ出陣。
ま、ただただラクダに乗ってお散歩するだけなんですけどね。それでも、見渡す限りの乾いた平原はなかなかの見もの。強面のガイドと相まってスリル満点です。










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で、途中、砂漠のオアシスで小休止、チャパティと紅茶でおもてなしを受けました。お湯は足元に広がる湖の水、といってもとっても浅い、くるぶしまでしかない大きな水たまり。そこにコッフェルを突っ込んで携帯用のバーナーでお湯を沸かします。お茶が入る間その湖を見渡してみると、何やら暗緑色の丸い敷石のようなものが規則正しく敷き詰められている。まるでパンケーキか大きなピザがパン屋の店先に並んでいるみたい。
時期は雨期。乾いた大地に突如現れた幻の湖。湖底に丸く敷き詰められていたのは荒野に放牧された牛達のうんこでした。








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二人はインド人ガイドが入れてくれたお茶を覗き込みながらお互い顔を見合わせます。それでものどが渇いて仕方がない私たち、ガイドがカップに口をつけたのを確認してから恐る恐るその茶色い液体をのどに流し込みます。一年間インドを流浪したバックパッカーとしてのプライドもあるし、何より、砂漠を何時間もさまよったのどの渇きに勝てるわけもなし。砂糖のきいたブラックティーのなんておいしかったこと。そう、それはうんこの出汁のきいた地の果てのごちそう。





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休息を終えてやれ出発かと思いきや、当のガイドが何やら妙なことを言い出した。
『ちょっと忘れ物をしたから取りに行かなきゃいけない。少しここで待っててくれないか。すぐ戻ってくるからさ。』

かくして、異国の地の荒れ果てた荒野の真ん中で、日本人の若い二人は、あわれ取り残されてしまったのであります。





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さて、今夜はこの辺で、この話の続きはまた次回。明日も一日炎天下で収穫しなきゃいけないのでね。

これって、インドよりきついから。





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以上、掲載した写真はヒマーチャル地方のものです。







Roxy Music - Avalon





ロキシー・ミュージック
ブライアン・フェリー率いる色気たっぷり、いやったらしさ満点のイギリスのバンド。1971年デビュー、初期メンバーにはアンビエントミュージック生みの親、ブライアン・イーノが参加していました。
当時の世界は今よりもとっても幸せな時代。少なくともヨーロッパやアメリカ、日本などの先進国では血なまぐさいニュースなどは遠い遠い別世界の話。冷戦時代、代理戦争、犯罪や殺し合いは一部の地域、貧しい後進国の不幸な人々の間だけで行われていました。どこにでも行けた、バック片手に、自由にどこへでも。
冷戦が終わって、死んだはずの神々がよみがえって、キリストだとかアラーだとか。神の名のもとに人間がヤギのように首カットされる。今までテレビの画面の中でのみ見ていた妖怪たちがどろどろと私たちの周りにあふれ出る。
アバロンはイギリスにあるという伝説の楽園の島。コロナが過ぎ去った後、私たちは楽園を見ることができるのでしょうか。






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コメント
目黒に寄生虫館なんてあったんですね。
知りませんでした。
近いので、今度行ってみます😊
風花(かざはな) | 2020.08.21 06:38 | 編集
風花さん

寄生虫館いきました?
Sukunahikona Parthasarathy | 2020.09.17 22:54 | 編集
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